横浜のFP大家が、お客様からいただいた質問を元に、
お金や不動産についてお話し致します。

CONTENTS

80 2024年度の不動産に関して

79 マンションの第三者管理

78 節税

77 お金の終活

76 コストについて

75 どんな方に住んで欲しいですか?

74 不動産の出口

73 不動産にインフレの影響を感じていますか?

72 賃貸管理会社、うまく頼っていますか? 

71 不動産投資で相続税対策 

70 4%で運用続けられますか?

69 NISAについて

68 FPは保守的だと思いますか?

67  不動産の売却、考えたことありますか?

66  リターンだけを意識していませんか?

65  金利、気にしていますか?

64  不動産投資と相性の良い制度

63  相続税の試算、したことはありますか?

62  キャッシュフローの大切さ

61  マンションに係る固定資産税の減税措置


80
2024年の不動産に関して


年末年始になると経済誌などで、
「大予測」的な企画、
特集が組まれることが多いです。


エコノミストと言われる方々が、
「日経平均がいくらくらいになる」などを、
思い思いに語られているような内容ですが、
皆さんはそのような
特集記事を読むのは好きですか?


私個人の想いを伝えると、
あまり好きではありません。
未来のことは誰にも分からないからです。


とは言え、少しでも未知の未来のヒントを
つかみたいということで、
手に取られる方、興味を持たれる方も多いからこそ、
企画、特集として成り立つのだと感じます。


そこで、勝手ながら、私斎藤なりの雑感として、
2024年の不動産に関して考えてみました。


あくまでも個人的な見解、私見ですので、
1つの参考として、
お目通し頂ければと思います。


みなさんがどんなことを
読んでみたいと思うかも分からないのですが、
不動産の価格が上がるのか、下がるのか、
みたいな内容にしてみたいと思います。


最初に大枠として感じている想いとしては、
上がるか下がるかは、金利次第
ということです。


つまり、日本銀行が、
どんな金融政策を打ち出すかに左右される
部分があるのではないか、ということです。


金利の動向に関しても、いろいろな方が、
それぞれの立場で予想を語られていますが、
私としては、4月にゼロ金利政策は
解除されるのではないか、と感じております。


日銀総裁が、
物価と賃金上昇の確度という点に、
事あるごとに触れられていることを勘案すると、
賃金の動向が出揃う3月以降の近い時期に、
判断を下されると思うからです。


釈迦に説法かもしれませんが、
金利と不動産価格の一般論に触れておきます。


教科書的に言えば、
金利が上がれば不動産価格は下がり
金利が下がれば不動産価格は上がる
です。


これは、金利が上がると、
年収が同じだとしても、
借りられる金額が下がるので、
物件価格が高いと購入できる人が限られ、
下げないと買い手がつきにくく
なるというのが理由です。


現金で購入する方にとっては影響のない話ですが、
不動産は融資を利用して購入される方が、
マイホームでも賃貸用物件でも多いからです。


例をあげてお伝えします。
年収600万円の方が、
35年のローンを借りてマイホームを購入する場合、


・金利が0.5%であれば、約6,700万円。
・金利が 3%であれば、約4,500万円。


計算上では、
上記が借りられる金額の上限になります。


つまり、金利が上がると、
借りられる金額が下がり、
購入できる物件の価格も下がるので、
高額の物件が売れにくくなるというイメージです。


ゼロ金利解除の話に戻りますが、
これが現実になると、
マイホームであれば変動金利のローン、
賃貸用物件の場合はほぼ変動金利なので、
少なからず金利上昇という変化は生じると思います。


とは言え、上がったとしても、
0.●%などという小幅な変動にとどまり、解除後、
金利がぐんぐん上がり続ける可能性は低いのではないか、
とも感じています。


ゼロ金利が解除されて、
いわゆる「金利ある世界」に入るかもしれませんが、
昨年のアメリカのように
日本で政策金利が5%近くまで上昇する可能性は
低いと感じています。


と、ここまで書かせて頂き、
ゼロ金利解除で金利が少しでも上がるなら、
不動産価格は下がる、というのが、
教科書的な見立てにはなると思いますが、
私はそう感じていません。


金利と別の所で、
価格が上がる要因もあるからです。


それは、
資材費や人件費などの上昇です。


これは、主に、
新築物件にあてはまることですが、
仮に金利が少しあがって
不動産価格が下がる要因があったとしても、
ゼロ金利の解除は、
賃金上昇の確度がキーワードの1つです。


となると、


不動産の建築に関わる方の賃金が上がることは、
不動産価格にも反映されるとなってきます。


そのため、差し引きトントンか賃金アップの分、
ゼロ金利が解除されたとしても、
不動産価格はアップするかもしれない、と感じます。


中古物件に関しても、
不動産会社で働く方の賃金上昇、
部屋のメンテナンスやリノベーションなどに
携わって頂く職人さんたちの人件費上昇
などの要因が考えられます。


そのため、
ゼロ金利解除があったとしても、
それで不動産価格が下がるか、と聞かれれば、
私はうなづくことができないな、と感じます。


なので、2024年の不動産に関しても、
全体として見れば、価格の面では、
昨年までと大きく変わらないのではないか、
というのが、私の私見です。


79
マンションの第三者管理

私は、自分でできないこと、
苦手なこと、不得手だと感じることは、
それを好きで、得意だと感じる方にお願いして、
お任せすることが多いです。


費用とのバランスを考える必要はありますが、
お任せすることで、自分の悩みが軽くなり、
時間をかけて自分でやる以上の結果を
もたらしてくれるからです。


苦手を克服して、
できることを増やすことも
必要だと感じるのですが、
私の場合は、意志が弱いのか、
やろうという気持ちが全然湧いて
こないのです…


あなたは、自分でできることを
増やせるように行動できますか?
私のように、任せてしまうことが多いですか?


どちらが良い、という話ではないので、
どんなスタンスで過ごすのが
自分らしく過ごせることになるか、
今一度考えてみても良いかもしれません。


少し前置きが長くなりましたが、
今回取り上げたいテーマは、
マンションの「第三者管理」についてです。


先日、
NHKのクローズアップ現代で
取り上げられており、
改めて、マンションをどこまで任せるのか
ということを考える機会となりました。


マイホームにせよ賃貸用物件にせよ、
あなたのマンションは、
第三者管理が取り入れられていますか?
もし、取り入れられているマンションの場合、
総会や修繕などは円滑に
行われていますでしょうか?


当たり前のように
第三者管理」という言葉を使ってしまいましたが、
「第三者管理って何?」
という点に、触れておきます。


どこまで任せるかに違いはありますが、
大枠としては、
マンションの組合運営や共用部分の維持管理を
区分所有者に代わって、
計画や方向性などを示すまとめ役を
外部の専門家や建物管理会社に任せる
というのが第三者管理のイメージです。


つまり、
区分所有者と直接利害関係のない
「第三者」に
マンション管理の方向性などを委ねる、
と言い換えても良いかもしれません。


メリットとしては、
理事を誰かがやらないといけないという
心理的な負担から解放されること。


区分所有者の1人として、
総会での議決権を行使する権利は残りますが、
基本的な運営にはノータッチで、
外部の第三者が行ってくれる動きに関して、
監督するくらいの立ち位置になります。


組合員の高齢化や
日々の生活の忙しさなどから、
管理組合の役員のなり手が減りつつある昨今、
第三者管理はうまく取り入れられれば、
資産価値を保つ点なども考えると、
良い方法の1つであるとは思います。


とは言え、第三者管理は
良いことばかりではありません。


むしろ、気を付けておかないと、
管理費や修繕積立金を、
いいように使われてしまう危うい可能性も
はらんでいるのです。


まず、第三者に管理を委託する
基本料のようなものが必要になるので、
委託する前よりも管理費は上がります。


誰に委託するかにもよるのですが、
最近増えつつあるのが、
建物管理会社です。


あなたがマンションを持っていれば、
毎月、管理費・修繕積立金を、
建物管理会社に収納代行という
形で払っているケースが多いです。


自主管理のマンションでない場合、
管理組合の運営を補助してもらう立ち位置として、
建物管理会社が入っている場合が多いです。


その補助的立場の建物管理会社が、
管理組合の管理も担うことになるのが、
第三者管理です。


先程、危うい可能性もあると伝えましたが、
第三者管理を取り入れて、
組合の理事長的存在と建物管理会社が同じとなると、
極論、建物管理会社のやりたい放題になる
懸念もあるのです。


つまり、他の区分所有者さんも含めたみなが、
毎月払っている管理費、修繕積立金の
お財布状況を見ながら、
理事長的立場の建物管理会社が
自社に修繕工事などの発注を行うことができるようになる、
というイメージです。


もちろん、
必要に応じて総会や臨時総会などを通し、
審議することにはなります。


ただ、もし多くの区分所有者さんが
「委任状の提出で済ます」
「内容を吟味せずに賛成の議決を行使する」
ことが常態化すれば、
払う必要のないお金を使われてしまい、
区分所有者が負担した大切なお金を、
いいように使われてしまう事態になりかねないのです。


その結果、お金が足りなくなれば、
管理費、修繕積立金の値上げという形で、
区分所有者に負担は回ってくるという流れです。


第三者管理のメリットと
最悪のシナリオ、両面からお伝えしましたが、
どう感じましたか?


もしあなたのマンションで、
第三者管理を取り入れることが議題にあがった場合、
賛成したいと思いますか?
反対したいと思いますか?


私は、冒頭でも伝えたように、
自分よりうまくできる人がいるなら、
任せたい気質の人間なので、
決して第三者管理を
否定している訳ではありません。


いい意味で、計画的に、
適時適切なタイミングで修繕などを行い、
資産価値を維持し続けてくれることにもつながる
という利点はありうるとは感じています。


ただ、第三者管理にしたことを良いことに、
区分所有者が、
マンションの管理に無関心になってしまうと、
手痛いしっぺ返しをくらう可能性があるということを
伝えたいのです。


どうしても、マンションを買う時は、
自分が所有する部屋のことばかりに意識がいきがちですが、
マンションの価格には、
部屋だけでなく、エントランス、廊下、
エレベーターなどの共用部分も一緒に購入していることを
忘れないで頂きたい。


不動産投資、大家業で区分マンションを選ぶことは、
手離れが良い仕組みができることになる、
ということは、
私もセミナーなどで良くお伝えする内容ではあります。


ただ、これは、
ほったらかしで良いという意味ではありません。


日常生活に影響を及ぼすことなく、運営がしやすい、
取り組みやすいという意味合いであって、
購入後、何もしないで良いということではありません。


借りて住みたい、という方に選んでもらい続ける部屋、
マンションであり続けられるように、
管理に無関心にならず、
任せられる所は外部の知見を活用しつつ、
これからも不動産投資、大家業を
末永く続けていきたいですね。


78
節税


今回は、税金関連に関してですが、
不動産投資、大家業をされたい方の
サポートをしていると、
必ずと言って良いほど聞かれることがあります。


それは「節税」についてです。


「どれくらい、
 税金の支払いを抑えることができるのか?」

「経費は、どのくらい入れて大丈夫なのか?」


私は税理士ではないので、
個別具体的な計算をすることができませんが、
一般的なことをお伝えさせて頂いています。


不動産投資、大家業のメリットの1つとして、
節税があげられていることが多いことも、
上記の質問につながっているのかな、
と感じます。


そこで、最初に私がお伝えすることは、


「所得税や住民税という、
 今払う税金を抑えるという点では、
 不動産投資は期間限定


相続税に関しては、
 節税効果が出やすい


という内容です。


節税の質問をしてくる方の多くは、
前者の意図、つまり、
今の所得税や住民税を抑えたい
という意図で話されてきます。


そのため、私が、長期的な視点に
たったお話をさせて頂くと、


「節税を一番の目的として、
 不動産投資、大家業をしようと
 考えるのはやめます」


とおっしゃられる方が多いです。


賃料収入<経費」となり
不動産所得がマイナスとなることで、
給与など本業の収入と相殺し、
所得税、住民税を下げられるというのが、
大枠としての仕組みにはなりますが、


「相殺できない利息分がある」

「減価償却も、築年数に応じた期限がある」


ことにより、思ったほどの節税効果、
つまり相殺できるマイナスが
生まれにくかったり、
生まれても数年で効果が切れたり
ということが、往々にしてあります。


皆さんにもぜひこの点は、
抑えておいて頂きたいな、と思います。


また、
経費をどこまで入れられるかに関してですが、
教科書的な言い方をすれば、
収入に関連するものです。


いろいろな領収証を経費に入れ込もうとする方も
いらっしゃいますが、
もしも万が一、税務調査などがあった場合は、
手痛いしっぺ返しをくらうこととなりかねません。


そもそも、不動産投資、大家業は、
あまり経費がかからない業種だと
私は感じています。


遠方に物件を保有していて、
視察、管理で現地へ行くなどであれば、
旅費などが経費になるかもしれませんが、
基本的には、
利益が出やすい業種だと私は感じています。


そうなると、利益が出る=税金を払う、
にもつながるのですが、
私個人的には、それで良いのでは?
と考えています。


税金を払った後、手元に残ったお金は、
税務署など誰に文句を言われることなく、
自由に使えるからです。


例えば、税率が30%の方だとして、
利益が100万円出た場合。


単純計算すれば、30万円を税金として
払うことになりますが、
70万円は自由に使えるお金として
手元に残すことができます。


少々極端な例ですが、
その利益100万円を減らすために、
100万円の経費を用意するとします。
(減価償却費は加味しません)


この場合、経費に相当する100万円を、
なんらかの形で使う、つまり、
お金として支払う必要が出てきます。


そう考えると、最初の逆で、
税金として出ていく予定だった
30万円は手元に残せますが、
経費として100万円支出しているので、
結果としては、差し引き70万円の
お金が出ていっていることになります。


税金を払えば、70万円お金が残る。
税金を抑えれば、70万円お金が減る。


節税を第一目的に意識して取り組んで
しまうと、このような本末転倒な
結果が生じかねないのです。


お金を税金で払いたくない意図で
行う節税が、ふたを開けてみたら、
お金が減ってしまっていた。


このような結果には陥らないように
皆さん、気を付けてください。


節税するのであれば、
限られた範囲にはなってしまいますが、
所得控除」を
活用するのが良いと私は考えています。


資産形成という意図であれば、
イデコが一番の選択肢になるかと考えます。


私のような個人事業主や法人役員の方
であれば、小規模共済
良い選択肢だと考えます。


その他は、
ふるさと納税寄付を行ったり、
ご両親や配偶者、お子様などが、
扶養の範囲でいらっしゃれば
漏れなく控除を受けること。


今年の私のように、
医療費が多くかかった場合は、
医療費控除も活用する。


所得控除で節税していく
メリットとして私が思うのは、
お金を借りられる余地を
残しておきやすいことです。


金融機関が融資の審査をする場合、
給与は額面の収入になりますが、
事業や不動産に関しては、
所得(利益)をベースに判断されます。


そのため、所得控除は、
その所得(利益)からマイナスして、
税金がかかる課税所得を下げる効果はありますが、
融資審査などの判断には影響を及ぼさないのです。


節税は、どうお金を使い、
どうお金を残していくか、
を考えるポイントになってきます。


皆さん私も、
自分が持ち合わせているお金の経営者です。
お金をどう采配して、
使っていくかを考えるという意味で。


無理に多くの税金を払う必要はありませんが、
できる範囲で節税は行った上で
生じた利益に対しての税金はそのまま払う方が、
実はお金を残せることにも
つながる可能性もあるという点、
お考えの選択肢のひとつとして
頭の片隅に入れて頂ければと思います。


77
お金の終活

 
今回はお金の終活、
についてです。


資産運用、資産形成で増やしたお金を、
どう使い、過ごしていくか、
ということを考えると言い換えても
良いかもしれません。


例えば、子育てにお金がかかるなどで、
自分の将来のお金のことにまで考えられない
という時期もあるかもしれません。


ただ、あなたが今、
どんな過ごし方をしていたとしても、
引退時期は、必ずやってきます。


落ち着いたら考えよう、
と先送りしてしまうことは、
時間を味方につける点からもデメリットしかないので、
金額の多少にかかわらず、
意識して、行動に移すことは必要ではないか、
と私は考えています。


もし、現状、どんな準備や行動ができるのか、
などが分からない、というような時は、
ぜひファイナンシャルプランナー
という存在を利用してみて下さい!


私でなくても良いですから、
相性が良さそうと感じる人に話をしてみる、
聞いてもらうことで、
考えや気持ちを整理できると思いますよ。
(ちょっと宣伝めいた話をしてしまいごめんなさい。)


さて、お金の終活のことに話題を戻しますが、
頭では理解して頂いたかもしれませんが、
具体的に、どうして良いか分からないかもしれません。


そこで、僭越ながら、
私自身が取り組み、考えていることに関して、
シェアしてみたいと思います。


最初に確認していることは、
ねんきん定期便」です。


通常、誕生日の月に届く、
払った実績や見込額などが書かれている
ハガキ、封書です。


65歳まで20年弱あるので、
受け取れる金額が変わる可能性などもありますが、
0円になることはないと思うので、
ベースの収入のひとつの目安として
考えるようにしています。


公的な年金でまかなえないと感じる部分に関しては、
自助努力で用意している金額をあてることになります。


私の場合、その自助努力にあたるものとしては、


「イデコ」
「小規模企業共済」
「NISA」


をメインに備えています。


皆さんも、上記制度のどれかを
利用しているかもしれませんが、
取り崩して使う順番を考えることも大切ではないか、
と私は考えています。


これは、税制の兼ね合いもあるので、
今後税制が変われば、
修正する必要があるかもしれませんが、
現時点での私の計画としては、


(1)
60歳になったらイデコを取り崩して使う。


(2)
65歳になったら小規模企業共済を取り崩して使う。


(3)
NISAは、
非課税期間も2024年から無期限になるので、
できる範囲でつみたてを続けながら、
必要に応じて取り崩して使っていく。


上記のような順番で、形成してきた資産を使い、
活用していこうと考えています。


イデコに関しては、FPを学んだタイミングで知り、
2004年の27歳から始めて継続しています。


60歳までの33年間で運用してきた資産
不動産からの収入、そして、
仕事を継続することで、
65歳までの5年間は過ごしていけるだろうという
イメージです。


65歳で取り崩そうと考えている小規模企業共済は、
非課税で受け取れる分は一括で受け取り、
それを上回る分は
分割で受け取ろうと考えています。


公的年金は繰り下げて、
最後まで受け取るのを待つ予定なので、
65歳から70代前半くらいまでは、
65歳までのイデコ資産の残りや不動産からの収入に加えて、
仕事の継続収入、そして小規模企業共済を使いながら、
過ごしていこうと考えています。


その後、繰り下げた年金を受け取りながら、
NISAで運用した資産を取り崩し、
仕事もしつつ、
不動産からの収入も活用しながら過ごしていく。


状況に応じて、不動産は一部売却して、
まとまったお金を手にすることも
視野に入れながら過ごす。


上記のような流れで、資産運用、
資産形成をしてきたお金を活用し、
将来過ごしていこうというのが、
私のお金の終活のアウトラインです。


もちろん、上記でお話したことは、
現時点で意識し考えていることなので、
今後の生活スタイルや状況等により、
変わることも十分ありえます。


運用状況などにより、予定が変わったり、
計画の修正を迫られることも十分ありえます。


とは言え、目安というか、
アウトライン的な考えを持っておくことは、
お金の不安を安心に変えるひとつの
方法であるとは思います。


ぜひ皆さんも、
資産運用や資産形成を行った先にある、
ご自分のお金の終活、
考えてみてはいかがでしょうか?


76
コストについて

 
金融商品のコストに関して、
できる限り抑えることだと、私は考えています。


実物資産である不動産のコストは、
抑えられるに越したことはないですが、
ケチらない。


と考えています。


金融商品に関してですが、
新年から始まった新NISA
話題を耳にすることが多いと感じます。


枠組みとして、かなり拡充はされるので、
無理ない範囲で利用していくのは、
資産運用の手段の王道の1つになると考えています。


私は、個別株式を選んで投じることは苦手なので、
投資信託のつみたてをメインに、
来年以降も続けていきます。


そこで、意識するのは、投資対象もそうですが、
信託報酬」と言われる、
保有している間に継続的にかかるコスト、
に目を光らせています。


仮に、
年利3%の運用成果があがったとしても、
信託報酬が0.2%と1.5%であれば、
資産残高には、
長期目線で見ると差が出てきます。


運用成果が、
信託報酬のようなコストを大きく上回って
上げられているのであれば良いのですが、
そのような商品、
いわゆる市場平均を上回っている商品というのは、
全体の3割くらいと言われています。


なので、
その3割くらいのアクティブ型と言われる
投資信託を探して投じるよりも、
平均点を安定的に狙える可能性の高い、
インデックス型を選んだ方が、
コストが低い商品も多く、
長期的に資産も目減りしにくく、
失敗しにくいと私は考えています。


なので、コストが最安のものを選ぶ
ということでもないのですが、
最安に近い商品の中から、
自分が投じてみたいと思う
投資信託に絞ったつみたてを続けるというのが、
金融商品に対しての私のスタンスです。


一方、不動産投資、大家業に関しては、
基本的にはコストの出し惜しみはしない
くらいのスタンスで考えています。


理由としては、部屋の中で生活をされている、
生身の「人」が
いらっしゃるからです。


予防接種や健康診断とは異なりますが、
不動産投資、大家業は、人を相手に行う、
住まい提供サービス業だと私は考えています。


だからこそ、
部屋の中で安心してお住まい頂ける環境を、
しっかりと整えて差し上げることこそ、
安定した収入につながると私は思っています。


その点で、コストが多少かかったとしても、


「どうすることが、
 入居者さんにとって、
 より良いことにつながるのか?」


を考えた上で、何か起きた時などの
判断は行うようにしています。


コストがかかることで、
一時的には支出が膨らむことにはなりますが、
受け取る賃料収入が途絶える期間を
最小に抑えることができるなら、
その方が長期的に良いと考えているからです。


昨年、こんなことがありました。


ユニットバスから水漏れが発生して、
お風呂が使いづらい、
という事態が発生しました。


賃貸管理会社さんから状況を伺い、
選択肢をいくつか提示頂きました。


その中で、コストとしては一番高くつく、
ユニットバスの交換と
その工事期間中の数日、
ホテルに仮住まいをして頂くという
選択肢を選びました。


コストを抑える方法を選ぶと、
ある程度の応急処置的な修理を行い、
入居者さんには気を付けて頂きながら、
お風呂を使って頂くという方法もありました。


ただ、ストレスがかかってしまうような状態のまま、
お住まい続けて頂き、賃料を払って頂くのは、
自分が入居者の立場なら避けたいな、
と感じたのです。


また、今、応急処置的に修理したとしても、
根本の解決にはならず、
今度はお風呂がまったく使えなくなる
という事態も生じかねません。


であれば、入居者さんも私も、
双方が気を遣うことなく、
すっきりした気持ちでいられる方が良いと判断し、
コストはかかるけれど、
交換&仮住まい
という根本解決できる方法を選んだのです。


その後、
ご結婚されて退去にはなってしまいましたが、
次の方にお住まい頂くときには、
何も気にすることなく
募集活動を進めて頂くこともできました。


このように、不動産投資、賃貸業は、
リアルな人相手なので、
予防接種などと同じように、
未来のマイナスシナリオを回避するためにも、
コストは出し惜しみしない方が良いと
私は考えています。


コスパが良いなど、
支出に対してシビアに考えるという視点は大切だし、
忘れてはならないとは思います。


ただ、出し惜しみしてしまうことで、
今後の安心感を得られなくなってしまうのであれば、
本末転倒だと思います。


資産運用、投資の面などを中心に、
コストに対しての私の想いを
今日はお伝えさせて頂きました。


あなたが、
NISAや不動産投資などを行う際に、
少しでも参考に感じて
頂ける部分があれば嬉しく思います。


75
どんな方に住んで欲しいですか?

   
不動産投資、大家業をする上で、
大切なことのひとつに、
どんな方が借りて下さるか?
があると思います。


借りて住んでくださる方がいなければ、
売上にあたる賃料が入らず、
支出ばかりがかさんでしまい、
成り立たないからです。


あなたさん、
自分の部屋を貸すとした場合、
こんな方に住んでもらえるといいなぁ、
と想い描いているイメージはありますか?


「滞納をしない」

「隣近所に迷惑をかけない」

「少しでも長く住んで頂ける」

「上場企業にお勤めの方」


などなど、考えていくと、
いろいろなイメージが湧くと思います。


ただ実際は、私もそうですが、
賃借人さんを探す時、
賃貸管理会社さんに募集の依頼をしている方が
多いと思います。


そうなると、よっぽど変な条件などでなければ、
最初に申込みが入った方に決めるケースが
多いのではないかと思います。


さらに、
賃貸保証会社の審査も通過している、となれば、
基本的には賃料がとりっぱぐれる可能性も低いですから、
その方で進めて下さい、
となるケースが多いと思います。


とは言え、先程伝えた、
理想の入居者さん像を思い浮かべておくことは、
空室になった時に、
そういう方からの申し込みを頂けるような、
引き寄せにもつながるかもしれないので、
イメージしておくことは良いのではないか?
と思います。


一方で、
こんな入居者さんはできれば避けたい、
というイメージを持たれている方も
いらっしゃると思います。


よくあるのは、
「年配の方」や「外国籍の方」
ではないか、と感じます。


私自身は、
気にしたことがありません。


実際、今、
70代の方にお住まい頂いている部屋もありますし、
外国籍の方にお住まい頂いていたこともありました。


私は運が良いだけなのかもしれませんが、
そのような方が住まわれていても、
滞納が起きた経験はありませんし、
退去された後、部屋を見に行っても、
すごく綺麗に丁寧に住んでくださっていた、
という経験しかありません。


こればかりは、
老若男女、国籍問わず、
個人差の問題だと思いますが、
今後を考えた場合、
年配の方や外国籍の方の賃貸需要は高まってくると
私は考えています。


理由としては、単純に、
そのような方々の人数が増えると思うからです。


なので、もし皆さんが、
年配の方や外国籍の方にお部屋を貸すことに
マイナスイメージを持たれていたら、
賃貸の機会損失につながるかもしれないので、
見方、捉え方を、見直してみるのも良いのではないか、
と私は思います。


私自身、気にしていないとは言いながらも、
自分でもケアしていることはあります。


1つは、主に年配の入居者さん
対策ではありますが、
家賃補償保険」というものに加入しています。


とは言いながら、この保険には、
入居者さんの年代、性別問わず加入しています。


少額短期保険と言われる、
1年~2年単位で加入するタイプの保険です。


内容としては、
部屋の中で亡くなられた場合に、
賃料の6か月分を補填してくれたり、
特殊清掃など次の方にお住まい頂く環境を
整えるのにかかった費用を補填してくれる(上限あり)
という内容です。


また、数年前に、
いわゆる事故物件のガイドラインも変わったので、
年配の方へお貸しする心理的ハードルも
下がりつつあるのではないでしょうか。


外国籍の方に関しては、
来日される事情も様々だとは思いますが、
どのような背景があるにせよ、
日本に少なからず
好意的な想いを抱いて頂いているのではないかな、
と思います。


例えばですが、
語学留学で来日のような方であれば、
日本で仕事、ないし、日本語を使って仕事がしたい、
という方だというようなイメージです。


また、現実問題として、
人手不足などと各所で言われていますが、
その部分の戦力として、
外国籍の方が担われる機会も増えてくるのでは、
と感じています。


円安で日本を避ける傾向がある
などとも言われたりしていますが、
報酬だけにとどまらない魅力が、
日本にはあるのではないか?
と私は感じています。


労働で来日される方と同系列で考えるのは
違うかもしれませんが、
インバウンドで来日される方が増えているのは、
円安で割安に感じているだけではない魅力が
日本にあるからだと私は考えています。


だからこそ、労働で来日された方も、
職場との相性もあるとは思いますが、
日本人の優しさを感じながら働き、
職を失いたくない思いから、
住まいの賃料を滞納するようなこともしない方が
多いのではないか、と思います。


さらに、今後は労働で来日された方が、
転職しやすくなる環境を整備するという検討も
政府で進められています。


来日されて働いている方は、
多くの方は賃貸に住んでいらっしゃると思います。


だからこそ、
日本での働きやすい環境が整えば整うほど、
外国籍の方の賃貸需要も高まるのではないか?
と私は考えています。


不動産投資、大家業に対しては、
今後空き家が増えるなど、
ネガティブな話題の方が耳にすることが多いですが、
どんな方に住んでもらいたいか、という視点から、
見方、捉え方を変えたりしてみれば、
今後も末永く続く投資、というよりは
事業であると私は思っています。


73

不動産にインフレの影響を感じていますか?

   
最近のインフレ傾向


いろいろな要因があるとは思いますが、
モノやサービスの値段があがっていますよね。


消費者の声に応えたいと
値下げに踏み切る企業なども一部にはありますが、
じわじわと値上げをしている
会社の方が多いと感じています。


そんな中、住まいを提供するサービス業である、
不動産投資、大家業には、
変化が起きているのでしょうか?


修繕工事が必要になった時にかかる
材料費や人件費などが上昇傾向にあると感じます。


その点に関しては、
マイナスインパクトだとは思います。


ただ、一方で、今後を考えた時には、
プラスのインパクトも生じる可能性があると
私は考えています。


それは、賃料のアップです。


インフレ傾向にある世の中に沿う形で
賃料を上げるというだけの話ではありません。


賃料を上げたとしても、
それを受け入れてくれる素地が
整いつつあるのではないか?
ということです。


その一番の要因になりそうだと
感じているのが、「賃上げ」です。


国としても、賃上げに伴う税制を整えるなど、
賃金アップということに
本腰を入れている印象があります。


しかも、一過性のものではなく、
継続的にという流れにもなりそうな様子です。


もちろん、個々の企業の事情により、
必ずしも賃上げが行われるとは限りません。


ただ、世の中的には、
心理的に賃上げの風潮が広がり、
給与を受け取る人の気持ちにも
変化が出てくるような気が私はしています。


その心理的な部分が広まってくると、


「少し賃料が高くても、
 利便性の良い部屋を選びたい」


「設備が良いならば、
 賃料が少し高くてもそっちが良い」


という形で、
住まいにかけたいと思う財布のひもも、
少しずつゆるんでくる可能性が高まるのではないか、
ということです。


中でも朗報ではないか、と私が感じているのは、
新入社員の初任給をアップさせている
企業が増えていることです。


会社勤めの方の場合、
住宅手当や家賃補助のある企業もあります。


福利厚生的な補助があることは、
今でも少し高めの賃料の部屋を
選んで頂ける一因になっていますが、
手当や補助以外の、基本給の部分があがることで、
より一層、賃料が少し高めでも
選んで頂ける可能性が高まるのではないか、
と私は感じています。


また、新入社員という点で考えると、
20代前半の単身者が多いと思います。


その点で、私もそうですが、
単身者向けの部屋で不動産投資、大家業を行っている場合、
部屋を探される方のニーズと
マッチしやすいとも感じています。


不動産に関しては、世の中の動きから、
少し遅れて動き出す傾向があると
私は考えています。


株価などは、その時々の状況や
見通しなどを先読みして先行的に動きますが、
不動産に関しては、実際の生活が伴って初めて動く、
遅効性があるという意味合いです。


空室期間を少しでも抑えるという点を考えると、
賃料をあげるのは、
今の入居者さんが退去された後の
募集時に行うのが良いとは思います。


ただ、もし入居者さんが長年にわたって住まわれていて、
賃料が相場とズレてきている、と感じる場合は、
更新のタイミングなどで賃料アップの提案をするのも、
今後という点では、
選択肢としてありかもしれない、とも思います。


そして、賃料アップが実現できると、
収益物件としての価格のアップにもつながるので、
もしも売却して換金したいという
時にも、その効果は及んできます。


今回の内容は、
賃上げ機運が広まりつつある昨今を踏まえて、
今後起こりうる可能性に関して考えてみました。


不動産の場合、
インフレ傾向にあるからと言って、
それが株価のようにすぐに反映する訳ではない
遅効性がある点等も考えると、
賃料に関しては、世の中の情勢などを踏まえながら、
今後じわじわと上げられる可能性がある
と私は考えています。


72

賃貸管理会社、うまく頼っていますか?

   
購入を検討している、
賃貸用物件についてお話しします。


久しぶりに、ネットで見つけた
仲介物件を購入することに決めたのですが、
その一番の決め手が、
表題にもしている「賃貸管理会社」です。


タイミング良く
売り物件を見つけられたこともあるかもしれませんが、
今回の私のケースは、


「この会社に賃貸管理をお願いしたい」
というのが、出発点にありました。


今からさかのぼること約2年。


場所は、淵野辺。


「どこですか?」
と言われてしまうかもしれません。


ここを目的にして足を運ぶような街ではない、
マイナーな街、駅だと思います。


数年後にリニア新幹線が「橋本駅」を通ることを
ニュースなどで耳にされた方もいらっしゃるかもしれませんが、
その橋本駅から3駅くらい隣の、
神奈川県相模原市にある街です。


淵野辺は、木造アパートなども多く、
東京23区のような都市部と比べると、
空室率は高めのエリアです。


そんな場所にも関わらず、
入居率98%近くをキープしており、
会社の看板に「空室募集」とまで書いている管理会社。


思い立ったら行動するがモットーの私は、
不躾にも問い合わせをし、食事をしながら、
社長さんにお話を伺う時間を作って頂きました。


その後、タイミングを見ては、
「この物件、どう思いますか?」
と、管理受託して頂いた後のことを考えて、
不定期にやりとりをさせて頂きました。


その結果として、2年が経った今、
管理会社も私も良いと感じる物件と出会うことができ、
購入に向けて進んでいる、という流れです。


どんな賃貸管理会社か知りたいですか?


ご興味あれば、
こちらの書籍を手に取ってみて下さい。
https://www.amazon.co.jp/%E3%83%88%E3%83%BC.../dp/4770900783


さらに、今回購入物件を検討するにあたって、
探していた所、私が購入進めているA物件の他にも、
この管理会社が仲介で売りに出している
B物件も掲載されていました。


「あれ?紹介の声かけ頂けず、
 ネットに仲介で売りに出てるよ」


と、私は感じました。


そこで、


「A物件とB物件だったら、
 どちらが良いと思いますか?」


と伺いました。


すると、


「斎藤さんに紹介せず、
 ネットに掲載しているということで、
 ご理解頂ければ、と」


端的にまとめると、
そのような返答を頂きました。


そのお返事を踏まえて、
私はA物件に決め、話を進めることにしました。


短期的な利益を求めるのであれば、
会社の立場とすれば、B物件を販売し、
仲介手数料を受け取った方が、
収益が大きくなることは明らかです。


にもかかわらず、
A物件の方が良いと背中を押してくれた。


このような応対からも、
信頼を寄せるに値するとさらに想いを深めることになりました。


正直、ふたを開けてみないと、
今回の淵野辺という賃貸需要の弱いエリアに物件を持つことが、
本当に良いのかどうか分からない、
という想いもあります。


ただ、信頼を寄せるに足る管理会社の
応対や意見を踏まえて選んだ物件であれば、
賃貸経営面で、大きな失敗にもならないのではないか、
という想いの方が現時点では強いです。


ちょうど、私自身の現在進行形の実体験があったので、
それと合わせて、賃貸管理会社とのやりとりなどを
お伝えさせて頂きました。


ただ、私の場合、
今回の淵野辺に限らず、他の物件であっても、
賃貸管理の担当者に、


「この物件って、
 管理引き受けてもらうこと可能ですか?」


ということを、今までに何度も相談したことがあります。
(実際は、相談はしたけれど、
 購入に至っていない物件の方が多いです)


販売後、
そのまま自社で賃貸管理まで引き受けるという会社の場合は、
今日お話したような面倒なことはしません。


自社で管理できないような物件であれば、
そもそも販売しないからです。


なので、今日お伝えしたのは、
融資付けの面など踏まえれば、
進め方としておススメはしにくいですが、
ネットに掲載されている物件で魅力があると感じる。


ただ、その仲介会社がどんな所かも良く分からないから、
管理は、いつもお願いしているE社にお願いしたい。


そんなケースがある時に、
ぜひE社さんを、いい意味でうまく活用し、
やりとりし、コミュニケーションを取ることが、
失敗しにくい不動産投資、大家業にもつながる、
ということを伝えたかった、
というのが主旨です。


また、物件購入時以外でも、


「賃料設定のこと」
「設備の交換のこと」
「空室時に部屋をリフォームしてみるかどうか」


など、賃貸管理会社は、
不動産投資、大家業を継続していくにあたって、
きってもきれない大切なパートナーです。


毎月、賃料が振り込まれてくるから安心だ。


それだけにとどまらず、
聞きたいこと、確認したいことが生じた時は、
賃貸の現場を一番良く分かっている、
賃貸管理会社に確認することが、
懸念や不安を解消してくれる存在になる
と私は考えています。


71

不動産投資で相続税対策

   
不動産投資、大家業のセミナーでは、
年金対策、節税対策、生命保険代わりなどを
耳にすることが多いかもしれません。


それぞれの立場に応じた効果はありますが、
今回は、相続と生命保険という視点から、
お伝えします。


題して、団体信用生命保険を利用して、
資産承継を考えてみませんか?です。


数年前に、初めてご相談を受けたお医者様と
話題になったテーマでもあります。


ご自分が50代、60代で、
お子様や配偶者などに資産を遺したい。


あるいは、50代、60代のご両親がいらっしゃり、
普段話題にしない相続のことを
話してみたいと思っている。


そんな方にとっては、
参考にして頂けるかもしれません。


最初に結論をお伝えしてしまうと、
団体信用生命保険に加入して、
ローンを組んで、
個人名義で賃貸用不動産を買うことで
相続対策、相続税対策にもなる
ということです。


現預金で3,000万円あったとした時に、
相続が発生すれば、3,000万円そのままの金額が、
相続税の課税対象になります。


NISAを利用するなどして、
株式や投資信託を保有している場合も、
株式の評価方法は数パターンありますが、
基本的には、その時の時価が、
相続税の課税対象になります。


金融資産の場合、
資産形成という点では
複利の効果などが目に見えて分かりやすいですが、
相続税という点では、
行える対策はないに等しいです。
換金しやすいので、納税資金にはあてやすいですが、
含み利益があれば、
課税の対象になる金額は増えることにもなります。


一方で、賃貸用不動産の場合、
不動産というだけで、
いわゆる時価よりは低い場合が多いです。


賃貸中であれば、評価額がさらに下がるので、
相続税の課税対象になる金額は下がる
ひいてはかかってくる相続税が
下がることになります。


と、ここまでは教科書的な
内容をお伝えしました。


この賃貸用不動産を50代、60代の方が、
団体信用生命保険を利用してローンを組んだ場合、
どんなことが起きるか、
をここからお伝えします。


内容のイメージがしやすいように、
新築の賃貸マンションを購入したと仮定します。


団体信用生命保険は、
完済時80歳くらいまで、
という条件がついている金融機関が多いです。


そのため、50代、60代であれば、年齢によりますが、
15年から30年くらいの期間、
加入できる可能性があります。


頭金をどれくらいいれるかなど
条件によって変わりますが、
存命中は、定期的な収入を得られる
資産活用の手段として利用できます。


また、物件を具体的に検討する時は、
お子様や配偶者に遺すことになる。


とか、


親に相続が発生したら
自分が受け継ぐことになる。


という視点から、物件を選ぶ際にも、
お子様や配偶者、ご両親と一緒に行うのが
良いのではないかと思います。


仮に20年後に、相続が発生したとします。


一例をあげますが、
当初2,500万円のローンを組み、
金利2%、期間30年で借りた場合、
20年後の残債は、約1,100万円になります。


ただ、この残債は、
団体信用生命保険に加入していることで、
ゼロになります。


つまり、相続発生時に、今回の例で言えば、
築20年の賃貸不動産を、
ローンなしで受け継ぐことになるのです。
あるいは、お子様や配偶者に
遺して差し上げることになるのです。


引き継いだ時、築20年の物件であれば、
まだまだ末永く、
賃貸物件として活躍してくれます。


売却して手放しても、
まとまったお金を手にすることができ、
教育費に充てたり、マイホームの購入に充てたり、
相続税の納税資金にあてたりすることも
可能になります。


あえて、団体信用生命保険に入らず、
ローンの残債がある状態で、
相続の発生を迎えることで、もしかしたら、
不動産の評価額 < ローンの残債
という状態になり、他の金融資産などと相殺して、
納税額を下げられる可能性もあるかもしれません。


ただ、もし私だったら、
遺される側としても、
遺す側だったとしても、
ローンなどの負債がない状態で引継ぎたいし、
引き継いでもらいたいと考えています。


引き継いだ後、引き継いでもらった後、
その不動産をどうするかという
自由な選択肢があった方が良いと思うからです。


ローンが残った状態で、
資産も負債も引き継ぐのは、
相続税対策にはなるかもしれませんが、
気持ちの良い相続対策にはならない
可能性も考えられます。


だからこそ、
ローンを使って賃貸不動産を手に入れる時は、
加入ができるなら、そして加入するのに、
あまりにも不利な条件にならないのであれば、
団体信用生命保険には加入しておくのが、
50代や60代の方が個人名義で購入する場合には、
良いのではないかと私は考えています。

※法人の場合は、違った視点があるので、
ケースバイケースですが、
今回は長くなるので割愛させて頂きます。


ある程度まとまった現預金や金融資産がある年配の方の場合、
ご自身で考える使い道があるのであれば良いのですが、
いつ使うか分からないから貯めておく、
いずれ相続で配偶者やお子様に引き継ぐことになるから、
使わずに貯めておく、というのは、
ご自分にとっても、遺されたご家族にとっても、
あまり効果的なお金との向き合い方ではないのではないかと
私は感じてしまいます。


現預金などの金融資産を
一定額保有しておくことはもちろん大切ですが、
引き継ぐということが視野に入ってきた時には、
ローンを組めるなら
団体信用生命保険に加入しながらローンを利用して、
仮にローンを組まないとしても、
賃貸不動産という資産に変えておくことで、
存命中の私的年金対策、
あるいは相続対策や相続税対策として、
活きたお金の使い方にもつながるのではないでしょうか。


ぜひ一度、
親の立場、配偶者の立場、子どもの立場など、
それぞれの立場に置き換えながら、
考えてみて頂ければと思います。


70

4%で運用続けられますか?

   
先日、海外にお住まいの方から、
「繰上返済」について相談を受けました。


海外で生活をされている中で、
円安の恩恵を実感しての相談
という感じでした。


日本国内で過ごしていると、
円ドル相場のニュースなどを通してしか
感じにくい為替の世界ですが、
外貨で生活している方にとっては、
インバウンド需要ではないですが、
日本が安く感じていることの一端を
垣間見た気がしました。


さて、あなたが、
マイホームにせよ、賃貸物件にせよ、
融資を受けて不動産を所有しているなら、
購入した後、繰上返済はしていますか?
それとも、まったくしていませんか?


繰上返済をすれば、融資残高は減るので、
気分的にはラクになるけれど、
手元のお金が減ることへの抵抗や不安感がある。


そう考えて、
繰上返済をされていない方のほうが
多いかもしれないな、
と個人的には感じています。


するしない、
どちらが正解という訳ではないので、
したいと思えばする、
したくないと思えばしない、
というご自身の判断が、
一番優先すべきことだとは思います。


ただ、繰上返済するかどうかの
判断基準が分からないという方も
いらっしゃるかもしれません。


そこで、今日は、私なりに考えている目安を
お伝えしようと思います。


そのキーワードが
冒頭の「利回り4%」です。


どういうことか?


最初に繰上返済には、
期間短縮」と「返済額軽減」の
2種類があります。


● 今の返済額は変えずに
残りの返済年数を短くするのが
「期間短縮」


● 残りの返済年数は変えずに
今の返済額を下げるのが
「返済額軽減」


です。


それぞれに一長一短はありますが、
私は「返済額軽減」をおススメしており、
私自身も繰上返済する際は、
返済額軽減を選んでいます。


賃貸用不動産の場合、
保有を続けている中で、
安心感が高まる方法の1つに、
毎月のキャッシュフローのアップがあると
私は考えています。


例えばですが、
毎月のキャッシュフローが1万円増えれば、
年間で12万円通帳残高が
増えることになります。


少しずつかもしれませんが、
毎月、毎年のお金の流れが増えることは
嬉しさと安心を感じることに繋がると思うのです。


これを実感できるのが、
返済額軽減型なのです。


では、返済額軽減型と利回り4%は、
どう関係しているのか?


例をあげてお伝えします。


金利2%、借入年数35年で2,000万円を
借りたとします。


この時、元利返済額は毎月66,252円です。


では、返済額軽減の繰上返済を100万円
したとすると、毎月の返済額は、
いくらになるでしょうか?


答えは、約62,940円で、
差額は3,312円です。


これは毎月の差額なので、
年間にすると12倍して39,744円になり、
この金額分、繰上返済で
キャッシュフローが増えることとなります。


ここまで伝えて、気づいて頂けましたか?


100万円繰上返済して、年間39,744円増える。
約4万円と考えると、
100万円の繰上返済に対して、
約4%のリターンを得ていることになるのが、
返済額軽減の繰上返済なのです。


しかも、この約4%のリターンは
相場など関係なく、確実に得られるリターンです。


これは、一例で、
金利や年数による違いは出てきますが、
もし2%前後で30~35年のローンを借りているならば、
返済額軽減の繰上返済で、
おおよそ4%に近いリターン
になってくるケースが多いです。


なので、考え方の基準の目安として、
約4%のリターンを確実に得たいのであれば、
返済額軽減の繰上返済を選ぶ。


株式やつみたて投資などで、
4%を上回るリターンを目指す運用に
取り組んでいくのであれば、
資金効率としても繰上返済は劣るので、
運用に回す方を選ぶ。


繰上返済に関して、
4%を上回る運用をできそうかどうか、
という視点で考えてみるというのが、
今回、私が一番に伝えたかったことです。


例として100万円の繰上返済をあげましたが、
金融機関によって、
最低50万以上からできたり、
1万円からでもできる所もあります。
金額は異なっても、
4%という「率」は変わりません。


繰上返済を急いで、
手持ちのお金が心もとなくなるのは、
本末転倒です。


なので、無理なくバランスを考えて、
繰上返済から生まれるキャッシュフローを、
利回りという視点で考えながら、
やるかやらないか考えてみるのも、
選択肢の1つとして良いのではないか、
と私は考えています。


69

NISAについて

   
私は不動産のご相談をメインにお受けしていますが、
先日はNISAについてのご相談をお受けしました。


不動産投資だけの人間ではないですよ!
というアピールも兼ねて(笑)
今回はNISAについてお伝えしようと思います。


ニュースなどでご存じかもしれませんが、
2024年から利用できる金額が増え、
期間の制約もなくなるので、
使い勝手が良くなると私は考えています。


本文では、

2024年からのNISAを「新NISA」
2023年までのを「現行NISA」

と呼ぶことにします。


あなたは、
NISA利用していますか?
利用して、資産形成したいと思っていますか?


最初に、私自身のことをお伝えすると、
現行NISAでは
「つみたてNISA」を
上限の年間40万円、継続して行っています。


新NISAでも、
個別の銘柄を選んでお金を投じることに
苦手意識があるので、
「つみたて投資枠」「成長投資枠」
いずれでも「投資信託のつみたて」を
ベースに制度を利用していこうと考えています。


制度そのものに関しては、
書かせて頂くと長くなるので、
確認したい方は、個別にメッセージ頂くか、
下記URLご参照下さい。
https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/about/nisa2024/index.html


さて、
この時期で聞かれる良くあるご質問が、


「新NISAを待って始めた方が良いか?
 現行NISAを利用して今から始めた方が良いか?」

という内容です。


現行と新、
制度としては別物になるので、
新がスタートする2024年は、
ゼロからのスタートにはなります。


ただ、たとえ残り数ヶ月だとしても、
現行NISAから始めるのが良いと私は考えています。


その理由は、ただひとつ、
時間は待ってはくれないから。


少しでも早く始めることで、
長期投資の恩恵を受けやすくなるから、です。


ただ、ここでまた受ける質問があります。


新NISAは無期限だから良いのですが、
現行NISAは非課税の期限があります。
現行で投じている商品はどうしたら良いですか?


という内容。


私自身も、新と現行が、
別制度として分断されることを知った時に、
どうしようと思い巡らせました。


その結果、私が思い至った考えは、

「新NISAでのつみたてを開始した後、
 現行NISAでつみたてている商品に関しては、
 少しずつ売却して、
 新でのつみたてに回していく」

という結論。


現行でも新でも、
メインとしてつみたてる投資信託を
変える予定は、今の所ありません。


であれば、
複利効果の雪だるまの元本にあたる部分を、
早いうちに少しでも増やしておきたい。


そのために、
新でつみたてる金額に上乗せするなどして、
現行の枠内でつみたてている投資信託は、
遠くない将来にゼロにして、新に一本化する、
というイメージです。


あるいは、まずは預貯金などの手元資金をNISAに回し、
手元予備資金的な預貯金が一定金額を下回るまでは、
そのままほったらかしで
現行の制度内に置いたままにしておく。


どちらにするかは、その時々の手元資金と相談しますが、
いずれにしても、NISAの非課税元本枠は、
無理ない範囲で、優先して活用していこうと考えています。


将来的には、年金の上乗せとして、
一定割合ずつ取り崩しながら使うことも良いですし、
例えば、マイホームにせよ、賃貸用不動産にせよ、
不動産の残債があれば、その繰上返済に回すのも、
良いのではないか、と私は考えています。


本来、税金を徴収したいと考えている国が、
特別待遇的に設けてくれた制度であるNISA。


税金上の特典がある=お金をその場に置くのが有利ですよ、
というメッセージではないか、と
私は捉えています。


その点で、イデコとNISAは、
金融資産投資で優先して活用するのが
良いと私は考えていますし、
実際、どちらの制度も活用しています。


私のようにつみたてで利用するのも、
個別株を買って配当や優待を目的にするのも、
ありだと思います。


金融資産投資の醍醐味は
複利効果」にあると私は考えています。


そのためにも、時間を待たずに、
できる時から、無理なくできる範囲で行い、
継続して行うことが大切だと考えていますし、
税金面の優遇がある制度は、
優先して利用することが、
皆さんの複利効果をより高めてくれると
私は考えています。

68

FPは保守的だと思いますか?

   
「FPで不動産投資をしている人が少ないのは、
 なぜだと思いますか?」


先日、相談にお越し頂いた方から、
そんなご質問を受けました。


いろいろな方から伺って、
統計をとっている訳ではありませんが、
私の肌感覚としては、
不動産投資に取り組んでいるFPは、
少数派ではないか、という気がしています。


その理由として、私が思うのは、

● 銀行や証券会社、保険会社など
 金融機関出身のFPが多いこと

不動産に対する誤解が多いこと

ではないか、と感じています。


つまり、株式や投資信託、
債券や保険などの金融商品に携わる機会は多く、
長けていらっしゃる一方で、
不動産に実務的な面で触れた経験は少ない。


そのため、相談でアドバイスを求められた際に、
自分が長けている金融分野を中心に
話される可能性が高いのではないか、
ということ。


そして、
自分自身で不動産運用のご経験がないことで、

「不動産は換金性が悪いから、
 ポートフォリオの一部に組み入れるのは
   避けた方が良い」

「借金をして不動産をポートフォリオに組み入れる
 ことはおススメしにくい」

というようなお気持ち、
考えになられている方が多いのかもしれないな、
ということです。


そのことを実感した出来事があります。


ある不動産会社の方と話していた時に、

面談したお客様から、
「FPに今度相談に行くんです。」
と言われた場合、相談後、大体のケースで、
検討を見送るとお返事頂くことが多い。

と言われたことがあります。


もちろん、相談を受けたFPさんが
悪い訳ではありません。


資産運用、運用効率などを勘案して、
取り組むべきではないような内容の
提案を受けていることもあるからです。


ただ、
不動産投資の提案を受けているというだけで、
否定から入られてしまう方もいらっしゃるということも
耳にしたことがあります。


不動産投資=悪、
みたいなバイアスがある方も、
一定数いらっしゃるのかもしれないとも感じます。


そうでなければ、
多くのケースで検討見送りになることはないと、
感じるからです。


私の場合、
同じようなケースで相談に来られた方に対して、
純粋な視点で資料などを拝見し、
セカンドオピニオンという立ち位置で、
良いと伝えるケース、
良くないと伝えるケース、
それぞれ経験したことがあります。


私自身も、2007年から不動産投資を行っていますが、
区分マンションに特化した経験しかないため、
一棟アパートや戸建ての不動産投資に対しての知見は、
そこまで深くはない、というのが正直な所です。


とは言え、性格による向き不向きは、
資産運用の世界に限らず、何にでもある話です。


また、何を目的にされたいか、
という相談者様の立ち位置から考えた時に、
区分マンションよりも、
一棟アパートや戸建てが向いている
というケースもあります。


FPという存在は、
ご相談者様のお考えを伺い、
お気持ちを汲ませて頂きながら、
極力主観を挟まずにお話させて頂くことが
必要な存在だと私は考えています。


金融商品にせよ、不動産にせよ、
メリットやデメリットを伝え、
選択肢を提示させて頂きながら、
相談にお越し頂いた方の、
これからの道筋を一緒に描く
お手伝いをさせて頂くような存在、
と言い換えても良いかもしれません。


保険は悪い、とか、不動産は悪い、など、
何かを否定することは
一番してはならないことだと考えています。


FPという存在は、ご相談者様のお金の
お話というデリケートな内容を扱うからこそ、

成功というよりは 失敗させたくない

と考えて、
保守的なお話をするケースが多いかもしれません。


不動産投資にも中立的で、
自分でも運用している私の場合でさえも、

「斎藤さんの提案は堅実すぎる」

というご指摘を受けたことさえあります。


先日頂いた冒頭のご質問を、
再度私の中で整理し、紐解きながら
今日はお伝えさせて頂きました。


FPも、私含め、
様々な立ち位置の方がいらっしゃいます。


また先程お伝えしたように、
やや保守的なアドバイスや提案をされることが、
もしかしたら多いのかもしれません。


もし、皆さんが、
FPに相談したいと思われる際は、
相談しようとしているFPさんが、
どんな想いを持っている方なのか、
そして、どんなバイアスがありそうなのか、
という点を意識しながら、
話して頂けると良いのかと思います。


そして、何より大切にした方が良いと思うことは、
話していてストレスを感じないなど、
ご自分との相性が合うかどうか、という部分を見ること。


相性が合わないと感じる方に、
自分の資産状況などを
信頼して伝えたいと思わないですよね。


FPは中立な存在と言われることが多いですが、
人次第で、考え方もバイアスもスタンスも異なるのだ、
ということを忘れずに意識して頂き、
相談する相手を選んだり、話を聞いたりすることが、
失敗しにくい相談につながると
私は考えています。


67

不動産の売却、考えたことありますか?

   
「あなたの物件を、●●万円で買いたい
 法人様がいらっしゃいます」


「●●万円の予算のある方が、あなたの
 物件を買いたいと言っています」


ニュアンスに違いはありますが、
不動産を保有していると、
上記のような内容のDMが届くことがあります。


しかし、DMでのアプローチは、
基本スルーして頂くのが良いです。


例えばですが、
先程伝えた●●万円のような金額の提示には
根拠が薄いからです。


登記簿謄本で所有者は分かっても、

「いくらの賃料で貸し出しているのか?」
管理費修繕積立金はいくらなのか?」

などまでは確認しにくく、
特に賃料に関しては確認できないからです。


ありがちなケースとしては、
高めの金額を提示して、
専任媒介契約を結んだあと、
購入希望者が現れないと言いながら、
少しずつ金額を下げていくパターンです。


そうなると、
売却まで時間もかかりますし、
思っていた金額で売却できないことにもつながり、
メリットがかなり薄くなってしまいます。


DMの金額は高めに書かれていることが多いので、
心が動くことがあるかもしれませんが、
もし売却を考えていたとしても、
DM経由では依頼されないことをおススメします。


では、売却することを具体的に考えた場合、
どのようにするのが良いのか?


私なりの結論、意見を申し上げると、

購入した不動産会社さん」
賃貸管理を依頼している不動産会社」

へ連絡をすること。


この方法が、
王道ではないかな、と考えています。


私の実例も踏まえながら、お伝えします。


実は今、私は1部屋、
売却に向けて動いています。


理由は、管理組合の総会で耳にした話、
やりとりなどを踏まえると、
長期的に修繕積立金が不足する可能性が高いこと。

仮に、
回避するために値上げをするとした場合、
受け取っている賃料に対して、
毎月の管理費・修繕積立金の合計額が
40%くらいになる可能性が高いと感じたからです。


あくまでも長期修繕計画をもとにした話なので、
工事時期の調整をするなどで、
不足は回避できる可能性もあります。


修繕積立金の値上げの話も、
まだ検討事項としてあがっていないので、
現行のまま推移するかもしれません。


「もし」とか「かも」という
推測の話にはなってしまうのですが、
保有継続に対して、
前向きな想いが抱けなくなった時も、
売却を考えるきっかけの1つではないかと
私は考えています。


そのタイミングがいつ訪れるか分からないので、
不定期にではありますが、
自分の保有物件の査定をして頂くようにしています。


基本、物件の価格は利回り換算で決まる、
というお話はしたことがありますが、
自分と不動産会社さんとの見立ての違いを
知っておきたいという想いも兼ねています。


さて、
現在進行中の売却検討物件の件ですが、
購入した会社以外の所で、
査定をしてもらったことがありました。


査定に関して申し添えておくと、
ネットで良くある「一括査定サイト」を
利用するのは避けた方が無難だと私は考えています。


登録してしまうと、その後、
営業の電話やメールを頻繁に受けるようになるからです。
(過去に経験済です・苦笑)


なので、依頼するのであれば、
信頼できる担当者、会社に、
個別にお願いするのがベターだと考えています。


話を戻します。
その時は、2社に依頼していたのですが、
おおよそ近い金額が両社から提示されていたので、
その価格をひとつの目安にしていました。


今回、具体的に売却検討をするにあたり、
購入した会社さんへ査定をお願いしました。


すると、その査定額は、
予想を上回っていました。


先程伝えた2社から提示されていた
「仲介」での目安価格を、購入した会社では
「買取」の価格時点で上回っていたのです!


一般論の話にはなりますが、
買取価格は、仲介価格の、
おおよそ7~8割くらいになると言われています。


つまり、
仲介価格の方が査定評価は高く出るのですが、
他社で提示された仲介価格を、
購入した会社での買取価格が上回っていたという、
一般論では考えにくいことが今回起きたのです。


そのため、私自身の目線とも合う金額だったので、
今回はあえて仲介で売りに出さず、
買取でお願いすることにしました。


仲介の方が、成約した場合、
価格は高くなるのですが、

●いつ購入希望者が現れるか分からない。

●購入希望者が現れても、
  提携ローンなどの融資を基本的には使えないため、
  現金購入でない場合、
  自分で融資先を探してくる必要がある。

●仲介で成約した場合、成約価格から、
  3%強の仲介手数料がマイナスになる。


などを考えた時に、
仲介手数料をマイナスした価格と買取価格に
大きな差がないのであれば、
買取という選択肢もありだと私は考えています。


実体験をもとにしたお話をお伝えしましたが、
過去に売却を経験した時、
仲介を選んだことも
買取を選んだこともあります。


ただ、いずれにも共通しているのは、
最初にお伝えした、

● 購入した会社
● 賃貸管理を依頼している会社

に連絡を取り、
売却のサポートをして頂いたことです。


購入した会社さんにしてみれば、
自信を持って販売したという自負があるからこそ、
売却時にも価格面含めて、真摯に向き合って頂ける。


私は、自分の経験も踏まえて、
そのように感じています。


66

リターンだけを意識していませんか?

   
投資をする上でどのくらいのリターンを求めるかは、
皆さんの考え方や目標によって変わります。


ただ、リターンと合わせて意識した方が良いこと。


それは、「コスト」です。


毎月、ないし、毎年かかってくる「経費
と言い換えても良いかもしれません。


私が、収入(リターン)を増やすことと
支出(コスト)を減らすこと、
どちらを大切にしますか?ともし聞かれたら、
収入を増やす、と答えます。


支出を減らすことは、もちろん大切ですが、
削れる部分には限界があるからです。


とは言え、収入が増えても、
それに合わせて支出も増える状態になってしまうと、
手残りは変わらないか減ってしまうことさえあります。


だからこそ、支出、コストへの意識も、
必ず持っておく必要があると考えています。


例えば、投資信託を使って、
つみたて投資をする場合。


投資信託には、
保有している間かかってくるコストがあります。
信託報酬です。


投資信託の目論見書などを見れば、
例えば年1%のように必ず記載されています。


拙著でも触れさせて頂いていますが、
年利3%のリターンがある投資信託があった時。


コストにあたる信託報酬が0.2%であれば、
差額の2.8%が実質的なリターンになります。


もし信託報酬が2%であれば、
実質的なリターンは1%になってしまいます。


リターンを求めることを優先する意識は大切なのですが、
保有している間にかかるコストも見ておかないと、
経費倒れのような状態になってしまいます。


長期間保有すればするほど、
リターンが同じくらいの商品の場合、
コストの差によって、実質の手残りの差は広がっていきます。


イデコやNISAなどで、
投資信託を使った資産形成を行っているのであれば、
一度、信託報酬は確認をしてみて下さい。


私の考えとしては、
年利0.5%以上の信託報酬がかかる投資信託は、
ちょっと高いなぁ、と感じてしまいます。


変額保険、変額年金など、
生命保険の中で投資信託を運用するような商品もありますが、
それこそ、コスト倒れになっていないかを、
確認してみることをおススメします。


コスト負けしない、
大きなリターンを得られていれば良いのですが、
変額保険のような商品の場合、
投資信託の信託報酬というコストと、
生命保険会社に払っているコストという
二重のコストがかかっています。


死亡保障がメインだというケースもありますが、
「保障」と「運用」は、同じ箱の中で行わず、
分けて行う方が良いと感じています。


リターンというよりも、
コストの負担を抑えたいというのが、その理由です。


保険も分かりにくいコストがかかっている商品です。
もし今まであまり意識したことがなかったのであれば、
一度確認されてみることをおススメします。


最後に、不動産投資にもコストはつきものです。
不動産の場合は、目に見えて分かりやすいので、
コストへの意識は向けやすいかもしれません。


例えば、区分マンションの場合。


コストで言えば、

● 管理費・修繕積立金
● 賃貸管理委託料
● ローンの利息
● 火災保険
● 固定資産税
● その他設備不具合の交換

などが、主だった所として考えられます。


その中でも、一番意識した方が良いコストは、
毎月払う 管理費・修繕積立金 です。


キャッシュフローとして、
毎月の収支に響き続けるからです。


賃料に関しては、
場所による差が見受けられます。


例えば、都心部であれば10万円超の部屋もありますし、
少し郊外の方へ眼を向けると、
4万円台とか5万円台の部屋もあります。


では、管理費・修繕積立金は、
場所によって、値段の違いはあるでしょうか?


答えは、Noですね。


東京中心部のマンションと郊外のマンションで、
賃料のように、立地の違いで、
管理費・修繕積立金に大きな差が生じることは
考えにくいです。


築年数が経過すれば、修繕の必要性などに応じて、
修繕積立金は値上げされる可能性もあります。


先程の例を使いながら話すと、
仮に、管理費・修繕積立金が月20,000円の場合、
賃料が10万円受け取れるのであれば、手残りは8万円ですが、
5万円の賃料であれば、手残りは3万円です。


この手残りの差は、
物件の価格という点に反映はされるので、
必ずしもどちらが良い、という話ではありません。


ただ、収入に対してのコストの割合という点を考えた時、
コストの割合が抑えられている、
つまり収入の多い部屋の方が、
長期的な視点で見た時には安心感があるのではないか、
と私は考えています。


金融商品、そして実物資産の代表である不動産を例にしながら、
今日はお伝えしました。


様々な投資対象、資産運用の商品は存在しますが、
リターンだけでなく「コストの面」から、
長期的にどんな影響が出そうか。


そんな視点から、一度考えてみるのも
良いのではないでしょうか?

65

金利、気にしていますか?

   
7月末に、
日銀決定会合が開催されました。


結果を端的にまとめると、


金融緩和、短期金利はそのまま継続
長期金利の変動幅は広げる


という内容でした。


幅を広げると言っても、
0.5%なので、現状を踏まえると、
1%くらまでが、容認する長期金利になる
というイメージです。


私個人の意見として言えば、
まだまだ低金利だな、と感じています。


むしろ、政府や日銀としても、立ち位置的に、
金利を上げたくてもあげられない、というのが、
本音なのではないか、と感じてしまいます。


さて、不動産には融資がつきものです。
マイホームの住宅ローンにせよ、
賃貸用のアパートローンにせよ。


日銀決定会合のニュースなどを見て、
もし金利が上がって、
困ったことになるかもしれない、と感じた場合。


最初にすることは、
「金銭消費貸借契約書」
を確認することです。


融資を受ける時に、
金融機関と交わしたローンの契約書のことです。


ここでは、変動金利で借りている方を
前提にして話を進めます。


確認する箇所は「基準金利」の所。


短期プライムレートになっていますか?
長期プライムレートになっていますか?


短期プライムレートであれば、
現状、気にする必要はありません。


先程お伝えしたように、金融緩和継続で、
短期金利は政策に変更なしなので、
今すぐに影響が出ることは考えづらいです。
※金融機関内部で変更があった場合は、
個別の話なので割愛させて下さい。


当面、今借りていらっしゃる、
低金利を享受しながら、
住宅ローンの返済、アパートローンの返済を続けて下さい。


長期プライムレートになっている場合。


今の所、先程伝えた、変動幅の上限である、
1%にまであがっていないので、
いきなり大きくあがることは考えづらいと思います。


ただ、金融機関の個別判断で、
例えば9月とか10月とかに、
若干上げてくる可能性はありえます。


とは言え、それほど大きく、
困ったというような影響が生じてくるとは考えにくいのでは?
と、私は考えています。


例として、今回広がった変動幅と同じ、
0.5%の金利アップがあったとします。


当初、2,000万円を2%の金利で35年
借りた方が、5年返済が進み、
残高が1,800万円になったケースを考えてみます。


この場合、当初の返済額は毎月66,252円です。


その後、5年経過して、残高1,800万円の時に、
金利が0.5%アップして2.5%となった場合、
毎月の返済額は、いくらになるでしょうか?


答えは、71,121円です(2.5%、残り30年)


5年後に0.5%金利があがることで、
毎月の返済額は、
約5,000円増えることになります。


あなたは、毎月の返済が5,000円増える、
つまり、毎月のキャッシュフローが
5,000円少なくなると聞いて、
そんなに減るのと感じましたか?
そこまでインパクトないと感じましたか?


どのようにローンを組まれているかなど、
立場によって感じ方は異なると思いますが、
5,000円キャッシュフローが減ることで、
ものすごく大打撃、来月から生活が成り立たなくなる、
ということには、
なりにくいのではないでしょうか?


また一方で、
金利が0.5%あがったとしても、
毎月の返済額をあげないように、
この5年の間に、繰上返済の原資を作って備えておく、
という方法もあります。


先程の例を使って伝えますが、
仮に5年後に2.5%にあがった時でも、
毎月の返済額を、
当初の66,252円のまま据え置くためには、
いくら繰上返済をする必要があるでしょうか?


答えは、約120万円です。


5年で120万円ということは、
1年あたり24万円、月当たり2万円
ということになります。


そう考えると、例えば、月に2万円、
NISAでつみたてなどを行っておくことが、
結果的に金利上昇への備えになるかもしれません。


仮に、毎月2万円をNISAでつみたてて、
5年間、年利3%で運用できた場合。


5年間の元本120万円は、
いくらになっているでしょうか?


答えは、約129万円です。


短期間なので、そこまで大きく
増えている訳ではないですが、
預貯金に置いておくよりは良いのではないか、
と私は感じます。


もし金利があがって、
キャッシュフローを保ちたい場合は、
NISAで運用していたお金を
繰上返済の原資にしても良いですし、
仮に、金利があがらなかったり、
あがっても許容できる範囲であれば、
そのままNISAの運用を継続していけば良い話です。


このように考えてみると、
不動産ばかりに資産が偏るのは避けて、
金融資産での資産形成も並行して行うこと。


全体のバランスを考えて、
資産運用、資産形成に取り組むことが大切だということを
改めて感じて頂ければと思っております。


先々の金利がどう変わっていくか、
どんな推移をしていくかなどの未来ばかりを考えて、
不安な想いになるのは、
今を楽しめないことにも繋がってしまいます。


だからこそ、低金利が続くならそれを享受し、
仮に上がり始めたとしても、
それに対応できるように備えておくことが大切だと
私は考えています。


その意味で、大谷選手ではありませんが、
不動産とNISAの二刀流で資産運用を行っていくことが、
面白味はないかもしれないですが、
王道ではないか、私はそのように感じています。


64

不動産投資と相性の良い制度

   
私は、不動産のご相談をメインにお受けする、
ファイナンシャルプランナー
として活動させて頂いております。


資産運用、資産形成という点でも、
2007年より、区分マンション投資をスタートし、
途中でやめることなく、続けています。


これも、自分が楽しく取り組むことができ、
相性が良かったからだと感じています。


不動産投資、大家業は好きだし、
メインとして行ってはおりますが、
資産運用、資産形成という点では、
不動産だけに取り組んでいる訳ではありません。


今でいうイデコは2004年から行っていますし、
つみたてNISAや金の積立など、
お金の置き場の分散にも注意を払って取り組んでいます。


そんな私が、不動産投資、
大家業と相性が良いと感じている制度。


それは、
「NISAでのつみたて」です。


短期間で大きな利益が出るようなことはないですが、
10年、20年という時間を活用した資産運用の方法、
という点で、
不動産投資と共通しているな、と感じています。


不動産投資とNISAでのつみたての二刀流が、
どんな効果を生むのか?


考え方の1つとして、今日はお伝えします。


融資を利用して物件を購入し、
不動産投資を始めた方を例にあげます。


45歳で、2,000万円を金利2%、
35年借りたケースを考えてみます。


65歳で年金を受け取ると想定し、
20年後を考えてみます。


当初借り入れた2,000万円の元本は、
途中で繰上返済をしなかった場合、
20年後の65歳時点で、
いくらになっているでしょうか?


答えは、「約1,030万円」です。


空室の期間が発生することがあるので、
100%入居者さんに返してもらったとは言えないかもしれませんが、
20年間で、借り入れた金額の約半分を、
他者の力を借りて資産が増えたことを意味します。


つまり、20年で約970万円のつみたてを、
自分の元手をほぼ使わずにできた
ということを意味しているとイメージして下さい。


また、このケースの場合、
元本と利息の毎月の返済額は
「約66,000円」になります。


途中で返済額軽減型の繰上返済をした場合、
100万円ごとに、年間の手取りは約4万円増えます。


つまり、繰上返済をすることは、
約4%のリターンを得ることにもつながるので、
他に良い資金の運用先などが思い当たらない場合は、
返済額軽減型の繰上返済を行うことも、
資産運用の1つの方法だと私は考えています。


次に、
NISAでのつみたての話をします。


仮に、毎月3万円を20年間、
年利3%の複利運用ができた場合、
20年後、元本の720万円はいくらになっているでしょうか?


答えは「約980万円」です。


20年で、約260万円の運用益が出ることになりますが、
NISA口座内の利益なので、課税はされず、
運用益をまるまる享受することができます。


ここで、
気づいて頂けましたでしょうか?


不動産投資で借りた残債は、
20年後に約1,030万円に減っている。


NISAでつみたて運用したお金は、
20年後に約980万円に増えている。


約50万円の差額は生じていますが、
20年運用を続けたことで、
金融資産を残債とほぼ同額に近い金額を用意できるのです。


この時に、一括完済をすれば、
借入のない不動産からの賃料収入を
年金の上乗せとして受け取ることができるようになります。


あるいは、20年後の時点で不動産を売却する。


残債以上で売れる可能性が高いので、
そこで得た手取り金額を、
NISAでの運用に回し、
NISAでの運用を継続しながら、
年金の補完として毎年一定割合ずつ、
取り崩しながら使っていく、
という選択をすることもできます。


このように、
不動産投資とNISAでのつみたては、
相性の良い組み合わせだと私は考えます。


今回は、イメージしやすいように、
20年でNISAでつみたてた資産と
残債の残高がほぼ同額になるケースをお伝えしましたが、
必ず20年必要と言う訳ではありません。


10年でも15年でも効果はありますし、
皆さんの資産背景なども考えると、
個別にいろいろな選択肢が考えられます。


例えば、
● 退職金を受け取った(受け取る予定)
● 相続などで資産を引き継いだ
● イデコや小規模共済などの制度で築くことができた資産がある
などです。


今日の内容が、あなたの資産運用、
資産形成のひとつのヒントになれば嬉しいです。

63

相続税の試算、したことはありますか?

   
「マンション節税 防止へ」
先日の日経新聞の1面の見出しです。


どうしてもメディアなどは、
目をひくことを意識しながら記事を書くと思われるので、
致し方ないとは思います。


ただ、不安を煽るかのような書き方だけは、
できれば避けて頂きたいな、というのが、
1読者としての願いです。


さて、冒頭の「マンション節税」ですが、
相続税に関しての評価の計算方法を改訂しよう、
という国税庁の動きがあることが背景です。


株式相場とは異なり、不動産は個別性が強いです。


仮に同じマンションだとしても、
階数や部屋、売りたい事情などが異なれば、
価格にも差が出てくるのが、
不動産の個別性であり面白さでもある、
と私は考えています。


ただ、税金的な観点からは、
個別性という恣意性を持たせてしまうことは
公平性に欠けるという視点からでしょうか。


建物に関しては、固定資産税評価額


土地に関しては、
路線価と土地の持ち分で計算した価格


これが、相続税の評価額になることで、
実際の売買価格と相続税の評価額に乖離が生じている。


この乖離の差を小さくし、
過度な相続税の節税を防ごう、
というのが今検討中の内容です。


と、ここまでは、今回の概要的な部分を、
かいつまみながらお伝えしました。


ただ、私がここでお伝えしたいことは、


「今回の見直しで、
 計算ルールが変わることで、
 影響が及ぶのは、ごく一部ではないか」


ということ。


つまり、インパクトのある見出しで注目は集めていますが、
実際に影響を受けるのは、
いわゆるタワーマンションの高層階を、
投資、節税目的で購入しているような方に、
ある程度は絞られてくるのではないか、ということです。


これを機会に、参考として、
所有している賃貸物件の1部屋を試算してみました。


横浜駅から徒歩8分、11階建ての9階。
築37年の23平方メートルの賃貸中の部屋です。


固定資産税評価額は約210万円。


土地の評価額は、
土地の持ち分が、約5平方メートル。
路線価が53万円なので、
53万×5=約265万円。


合計すると、475万円でした。


建物割合が約45%。
土地割合が約55%です。


実勢価格がいくらになるのか、というのが、
正確には不動産鑑定士さんなどに
依頼する必要があるのかもしれませんが、
購入したのが7年前くらいなので、
当時の購入価格より少し高く見て1,000万円と仮定します。


すると、


1,000万円÷475万円=2.10


となり、
今回の計算方法の見直しに該当してしまいました。


この場合、
実勢価格の約60%で計算されることとなるので、
相続税評価額は約600万円。


当初の475万円より、
約130万円増えてしまいました。


とは言え、
この600万円に対して相続税が計算される訳ではなく、
借家権や借地権という割合が差し引かれることとなります。


すると、


● 建物:600万円×45%×(1-30%)=189万円
● 土地:600万円×55%×(1-70%×30%)=260万円 
合計で約449万円。


今までの計算方法だと、
約360万円だったので、約90万円くらい、
計算上の相続税評価額は増えることが分かりました。


実際には、複数部屋所有していますから、
合計した時にどうなるかまで
まだ試算はできていませんが、
相続税の基礎控除を勘案したり、
他の金融資産や借入の残高などを加味しても、
実勢価格との乖離が大きい部屋を持っているような方と比べれば、
影響は最小限に抑えられるな、と感じました。


不安や怖さ、恐れは、
理由や内容が分からないことが原因で
生じることがほとんどです。


なので、
もし今回のような記事や内容が出て、


「私は影響ないかな…大丈夫かな…」


と、感じるようなことがあれば、
試算してみることで、
気持ちや心構えにもつながり、
不安な想いを安心に変えることにもつながります。


先月には、
2023年の路線価も公表されました。


場所にもよりますが、
上昇傾向だとも言われています。


今すぐ相続は関係ない、相続税は影響ない、
と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、
自分が保有されている物件を見て、
評価額の試算、不動産に限らず、
金融資産もどのくらいあるのかなどの確認などをしてみること、
おススメします。

62

キャッシュフローの大切さ

   
「3泊4日!」


と聞いて、
何を思い浮かべますか?


私もそうですが、
「旅行」などを思い浮かべる方が多いのではないか?
と感じます。


そういう前向きな休暇であれば嬉しいのですが、
「3泊4日」の入院をすることになってしまいました。


小学校の時に、扁桃腺の手術で入院して以来です。


唯一加入している「医療保険」から、
はじめて、入院給付金を受け取る機会にもなりそうです。


ずっと保険料を払っていただけだったので、
こういう時には、少し受け取らせて頂いても良いのかな、
などと楽しみにしています(笑)


と、少し前置きが長くなってしまいましたが、
入院するということは、
仕事から離れることとなり、
収入が途絶えることにつながります。


会社勤めの方であれば、
有給休暇や健康保険からの「傷病手当金」などを活用することで、
収入の補填ができるかと思います。


FPらしく(笑)、
傷病手当金について、少しだけ触れておきます。


おおまかに言えば、
3日連続して病気やケガなどで働けなかった時に、
4日目から最長1年6ヶ月、
月額給与の3分の2を支給してもらえる、という制度です。
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g3/sb3040/r139/


仕事上で病気やケガをした場合は、
労災保険からの給付があるので、
この傷病手当金は、
仕事と関係ない所で病気やケガなどをされて、
休むことになった場合が対象です。


また、上記で私がお伝えしたように、
保険会社の「医療保険」に入っていらっしゃれば、
保障内容に応じた給付も受けられます。


と、会社にお勤めの方の場合、
収入減を補える仕組みがあるのですが、
私のような自営業の人間にとっては、
有給休暇も傷病手当金もありません。


ただ、私の場合、
このメルマガをお読み頂いている方はご存じかと思いますが、
不動産投資、大家業を2007年から行っています。


空室にならない限り、
保有している部屋が稼ぎ出してくれる
「賃料収入」というキャッシュフローがあります。


他にも、株式などの金融資産にもお金を置いており、
そこから少額ではありますが、
配当金や分配金を受け取れる仕組みも作っています。


私自身が休まざるを得なくなったとしても、
お金を運んでくれる仕組み
キャッシュフローが途絶えにくい仕組みがあることで、
ありがたいことに、入院のことを言われた時でも、
お金のことを過度に気にかけることはありませんでした。


そう考えると、資産運用の中でも、
キャッシュフローを意識して取り組むというのは、
私的な保険を作っているようなことなのかな、
とも思ったりしました。


先程お伝えした、
「傷病手当金」のような仕組みを、
自分で作っているようなイメージです。


最近、株式投資の世界では、
高配当株の存在が注目されていますが、
不動産からの家賃にせよ、
お金の流れを産み出すことを意識した資産運用は、
保険のような気持ちの安心感を抱かせてくれるのだな、
と改めて最近思いました。


よく用いられる例として分かりやすいので、
コップの例を使います。


コップに入っている水。


そのコップからあふれ出た水を飲んで、
中身を減らさなければ、
あふれる状態を継続できる。


これが、
キャッシュフローを意識した運用スタイルです。


配当金や分配金のようなあふれた水を飲まず、
それがあふれないように、
コップそのものを大きくしていく、
水の入っている器を大きくしていくというのが、
再投資、複利効果を得られる運用スタイルだと
私は考えています。


仕事を休まざるを得なくなるなど、
自分が動きにくくなった時に、
効果のある運用スタイルは、
コップからあふれた水を味わうキャッシュフロースタイル。


そして、コップそのものを大きくしていく複利、
再投資スタイル。


これらのスタイルは、効率的ではありません。
1ヵ月とか1年とかでできる仕組みではないので、
時間と忍耐が必要にはなってきます。


ただ、これらが積みあがってくれば、
私的な保険のような安心感があり、
お金面の不安を和らげてくれる、
大きな効果をもたらしてくれるのではないかと私は思うのですが、
どう思いますか?

61

マンションに係る固定資産税の減額措置

 
昨年12月に発表があった「税制改革大網の内容」


その中に、
「マンションに係る固定資産税の減額措置」
というものがありました。


区分マンションの大家をしている私としては、
見逃せないテーマです。


さて、どんな内容か?


令和5年4月1日~令和7年3月31日までの間に、
マンションの長寿命化を図る大規模修繕工事を行い、
市町村に申告すると、
翌年度のマンションの家屋の固定資産税が
6分の1~2分の1減額される。


という内容です。


とは言え、ただ大規模修繕工事を行えば良い訳ではなく、
都道府県から長期修繕計画を認めてもらったり、
指導を受けて見直した場合、
という条件もついています。


つまり、
マンション全体の未来の維持管理の計画を適切に立てて、
それに沿った形で行った大規模修繕を行った時には、
その翌年の固定資産税を減額します、
という内容だと私は捉えました。


● 管理が行き届いていないマンション
● 修繕積立金が貯まっておらず、
 修繕したくてもできないマンション


があることを、
あなたも耳にしたことがあるかもしれません。


そんな状態が続くと、
マンションは朽ち果てる方向に進んでしまい、
住む方もいなくなり、廃墟と化してしまいます。


そうなる事態を未然に防ぎ、
築年数が経過しても、
住まいとしての維持管理ができるように保つことを
後押ししようという意図のもと、
税制改正大綱に
固定資産税の減額という形で盛り込まれたものと思われます。


偶然ではありますが、
私が保有しているマンションで、
現在大規模修繕工事の計画が進んでいます。


住宅供給公社のサポートを頂きながら、
工事業者さんの選定など含めて進めており、
もしかしたら結果的に、
タイムリーに恩恵を受けられるかもしれないと感じました。


私の場合、現在築36年で長期修繕計画もあり、
修繕積立金が不足する可能性も低いので、
安心感を持って、大規模修繕工事の実施に向けて動いて頂いています。


それでいて、もしかしたら、
固定資産税が1年だけだとしても、
減額の恩恵を受けられるかもしれないのであれば、
これは嬉しい話だと感じています。


修繕積立金が不足するようなマンションだったとしても、
建物全体で抑えられる固定資産税の各部屋の負担分を
大規模修繕に回すことができれば、
住まいとしての価値を伸ばせることにもつながりますよね。


大規模修繕工事で、
資金が不足する可能性があるなどの懸念が出てくるのは、
2回目以降だと言われることが多いです。


築年数にすると、
20~30年前後になるでしょうか。


もし、皆さんの保有しているマンションが、
大規模修繕をしないといけない時期に入っているのであれば、
長期修繕計画含めて、
検討していくのも良いかもしれません。


税制改正大綱に盛り込まれただけなので、
実際にスタートはしていませんが、
検討をする時期なのであれば、
これを機にスタートするのも良いのではないか、と思います。


また、減税の対象期間が示されてはいますが、
今後、期間限定ではなく、
延長する可能性も高いのではないか
とも私は感じています。


マンションは、住まいとして、
大切な社会インフラとして、
欠かせない存在になっているからです。


住まいとしてにせよ、投資としてにせよ、
マンションを保有しているのであれば、
区分所有者として、
社会インフラの一部を担う役割も持っている、
と私は考えています。


税制改正大綱を通してですが、
マンションという社会インフラを、
税制の面でも後押ししようという動きが見えてきました。


皆さんがお持ちのマンションも、
住まいとしての価値を末永く維持できるように、
区分所有者の1人として、共用部の管理に関しても、
意識を向けることを忘れないで頂きたいです。