横浜のFP大家が、お客様からいただいた質問を元に、
お金や不動産についてお話し致します。

CONTENTS


80 2024年の不動産市場

 
年末年始になると経済誌などで、
「大予測」的な企画、
特集が組まれることが多いです。


エコノミストと言われる方々が、
「日経平均がいくらくらいになる」などを、
思い思いに語られているような内容ですが、
皆さんはそのような
特集記事を読むのは好きですか?


私個人の想いを伝えると、
あまり好きではありません。
未来のことは誰にも分からないからです。


とは言え、少しでも未知の未来のヒントを
つかみたいということで、
手に取られる方、興味を持たれる方も多いからこそ、
企画、特集として成り立つのだと感じます。


そこで、勝手ながら、私斎藤なりの雑感として、
2024年の不動産に関して考えてみました。


あくまでも個人的な見解、私見ですので、
1つの参考として、
お目通し頂ければと思います。


みなさんがどんなことを
読んでみたいと思うかも分からないのですが、
不動産の価格が上がるのか、下がるのか、
みたいな内容にしてみたいと思います。


最初に大枠として感じている想いとしては、
上がるか下がるかは、金利次第ということです。


つまり、日本銀行がどんな金融政策を打ち出すかに
左右される部分があるのではないか、ということです。


金利の動向に関しても、いろいろな方が、
それぞれの立場で予想を語られていますが、私としては、
4月にゼロ金利政策は解除されるのではないか、
と感じております。


日銀総裁が、
物価と賃金上昇の確度という点に、
事あるごとに触れられていることを勘案すると、
賃金の動向が出揃う3月以降の近い時期に、
判断を下されると思うからです。


釈迦に説法かもしれませんが、
金利と不動産価格の一般論に触れておきます。


教科書的に言えば、
金利が上がれば不動産価格は下がり
金利が下がれば不動産価格は上がる
です。


これは、金利が上がると、
年収が同じだとしても、借りられる金額が下がるので、
物件価格が高いと購入できる人が限られ、
下げないと買い手がつきにくくなるというのが理由です。


現金で購入する方にとっては影響のない話ですが、
不動産は融資を利用して購入される方が、
マイホームでも賃貸用物件でも多いからです。


例をあげてお伝えします。
年収600万円の方が、
35年のローンを借りてマイホームを購入する場合、


・金利が0.5%であれば、約6,700万円。
・金利が 3%であれば、約4,500万円。


計算上では、
上記が借りられる金額の上限になります。


つまり、金利が上がると、
借りられる金額が下がり、
購入できる物件の価格も下がるので、
高額の物件が売れにくくなるというイメージです。


ゼロ金利解除の話に戻りますが、
これが現実になると、
マイホームであれば変動金利のローン、
賃貸用物件の場合はほぼ変動金利なので、
少なからず金利上昇という変化は生じると思います。


とは言え、上がったとしても、
0.●%などという小幅な変動にとどまり、解除後、
金利がぐんぐん上がり続ける可能性は低いのではないか、
とも感じています。


ゼロ金利が解除されて、
いわゆる「金利ある世界」に入るかもしれませんが、
昨年のアメリカのように
日本で政策金利が5%近くまで上昇する可能性は
低いと感じています。


と、ここまで書かせて頂き、
ゼロ金利解除で金利が少しでも上がるなら、
不動産価格は下がる、というのが、
教科書的な見立てにはなると思いますが、
私はそう感じていません。


金利と別の所で、
価格が上がる要因もあるからです。


それは、
資材費や人件費などの上昇です。


これは、主に、
新築物件にあてはまることですが、
仮に金利が少しあがって
不動産価格が下がる要因があったとしても、
ゼロ金利の解除は、
賃金上昇の確度がキーワードの1つです。


となると、


不動産の建築に関わる方の賃金が上がることは、
不動産価格にも反映されるとなってきます。


そのため、差し引きトントンか賃金アップの分、
ゼロ金利が解除されたとしても、
不動産価格はアップするかもしれない、と感じます。


中古物件に関しても、
不動産会社で働く方の賃金上昇、
部屋のメンテナンスやリノベーションなどに
携わって頂く職人さんたちの人件費上昇
などの要因が考えられます。


そのため、
ゼロ金利解除があったとしても、
それで不動産価格が下がるか、と聞かれれば、
私はうなづくことができないな、と感じます。


なので、2024年の不動産に関しても、
全体として見れば、価格の面では、
昨年までと大きく変わらないのではないか、
というのが、私の私見です。


79 マンションの第三者管理

 
私は、自分でできないこと、
苦手なこと、不得手だと感じることは、
それを好きで、得意だと感じる方にお願いして、
お任せすることが多いです。


費用とのバランスを考える必要はありますが、
お任せすることで、自分の悩みが軽くなり、
時間をかけて自分でやる以上の結果を
もたらしてくれるからです。


苦手を克服して、
できることを増やすことも必要だと感じるのですが、
私の場合は、意志が弱いのか、
やろうという気持ちが全然湧いてこないのです…


あなたは、自分でできることを
増やせるように行動できますか?
私のように、任せてしまうことが多いですか?


どちらが良い、という話ではないので、
どんなスタンスで過ごすのが
自分らしく過ごせることになるか、
今一度考えてみても良いかもしれません。


少し前置きが長くなりましたが、
今回取り上げたいテーマは、
マンションの「第三者管理」についてです。


先日、NHKのクローズアップ現代で取り上げられており、
改めて、マンションをどこまで任せるのか?
ということを考える機会となりました。


マイホームにせよ賃貸用物件にせよ、
あなたのマンションは、
第三者管理が取り入れられていますか?
もし、取り入れられているマンションの場合、
総会や修繕などは円滑に行われていますでしょうか?


当たり前のように
「第三者管理」という言葉を使ってしまいましたが、
「第三者管理って何?」
という点に、触れておきます。


どこまで任せるかに違いはありますが、
大枠としては、
マンションの組合運営や共用部分の維持管理を
区分所有者に代わって、
計画や方向性などを示すまとめ役を
外部の専門家や建物管理会社に任せる、
というのが第三者管理のイメージです。


つまり、
区分所有者と直接利害関係のない「第三者」に
マンション管理の方向性などを委ねる、
と言い換えても良いかもしれません。


メリットとしては、
理事を誰かがやらないといけないという
心理的な負担から解放されること。


区分所有者の1人として、
総会での議決権を行使する権利は残りますが、
基本的な運営にはノータッチで、
外部の第三者が行ってくれる動きに関して、
監督するくらいの立ち位置になります。


組合員の高齢化や日々の生活の忙しさなどから、
管理組合の役員のなり手が減りつつある昨今、
第三者管理はうまく取り入れられれば、
資産価値を保つ点なども考えると、
良い方法の1つであるとは思います。


とは言え、第三者管理は
良いことばかりではありません。


むしろ、気を付けておかないと、
管理費や修繕積立金を、
いいように使われてしまう危うい可能性も
はらんでいるのです。


まず、第三者に管理を委託する
基本料のようなものが必要になるので、
委託する前よりも管理費は上がります。


誰に委託するかにもよるのですが、
最近増えつつあるのが、建物管理会社です。


あなたがマンションを持っていれば、
毎月、管理費・修繕積立金を、
建物管理会社に収納代行という形で
払っているケースが多いです。


自主管理のマンションでない場合、
管理組合の運営を補助してもらう立ち位置として、
建物管理会社が入っている場合が多いです。


その補助的立場の建物管理会社が、
管理組合の管理も担うことになるのが、
第三者管理です。


先程、危うい可能性もあると伝えましたが、
第三者管理を取り入れて、
組合の理事長的存在と建物管理会社が同じとなると、
極論、建物管理会社の
やりたい放題になる懸念もあるのです。


つまり、他の区分所有者さんも含めたみなが、
毎月払っている管理費、修繕積立金のお財布状況を見ながら、
理事長的立場の建物管理会社が
自社に修繕工事などの発注を行うことができるようになる、
というイメージです。


もちろん、
必要に応じて総会や臨時総会などを通し、
審議することにはなります。


ただ、もし多くの区分所有者さんが

「委任状の提出で済ます」
「内容を吟味せずに賛成の議決を行使する」

ことが常態化すれば、
払う必要のないお金を使われてしまい、
区分所有者が負担した大切なお金を、
いいように使われてしまう事態になりかねないのです。


その結果、お金が足りなくなれば、
管理費、修繕積立金の値上げという形で、
区分所有者に負担は回ってくるという流れです。


第三者管理のメリットと
最悪のシナリオ、両面からお伝えしましたが、
どう感じましたか?


もしあなたのマンションで、
第三者管理を取り入れることが議題にあがった場合、
賛成したいと思いますか?
反対したいと思いますか?


私は、冒頭でも伝えたように、
自分よりうまくできる人がいるなら、
任せたい気質の人間なので、
決して第三者管理を否定している訳ではありません。


いい意味で、計画的に、
適時適切なタイミングで修繕などを行い、
資産価値を維持し続けてくれることにもつながる
という利点はありうるとは感じています。


ただ、第三者管理にしたことを良いことに、
区分所有者が、
マンションの管理に無関心になってしまうと、
手痛いしっぺ返しをくらう可能性があるということを
伝えたいのです。


どうしても、マンションを買う時は、
自分が所有する部屋のことばかりに意識がいきがちですが、
マンションの価格には、
部屋だけでなく、エントランス、廊下、
エレベーターなどの共用部分も一緒に購入していることを
忘れないで頂きたい。


不動産投資、大家業で区分マンションを選ぶことは、
手離れが良い仕組みができることになる、
ということは、
私もセミナーなどで良くお伝えする内容ではあります。


ただ、これは、
ほったらかしで良いという意味ではありません。


日常生活に影響を及ぼすことなく、運営がしやすい、
取り組みやすいという意味合いであって、
購入後、何もしないで良いということではありません。


借りて住みたい、という方に選んでもらい続ける部屋、
マンションであり続けられるように、
管理に無関心にならず、
任せられる所は外部の知見を活用しつつ、
これからも不動産投資、大家業を
末永く続けていきたいですね。


78 節税について

 
今回は、税金関連に関してですが、
不動産投資、大家業を開始したい方のサポートをしていると
必ずと言って良いほど聞かれることがあります。


それは「節税」についてです。


「どれくらい、
 税金の支払いを抑えることができるのか?」

「経費は、どのくらい入れて大丈夫なのか?」


私は税理士ではないので、
個別具体的な計算をすることができませんが、
一般的なことをお伝えさせて頂いています。


不動産投資、大家業のメリットの1つとして、
節税があげられていることが多いことも、
上記の質問につながっているのかな、と感じます。


そこで、最初に私がお伝えすることは、

「所得税や住民税という、
 今払う税金を抑えるという点では、
 不動産投資は期間限定」

「相続税に関しては、節税効果が出やすい」

という内容です。


節税の質問をしてくる方の多くは、
前者の意図、つまり、今の所得税や住民税を抑えたい
という意図で話されてきます。


そのため、私が、
長期的な視点にたったお話をさせて頂くと、


「節税を一番の目的として、
 不動産投資、大家業をしようと考えるのはやめます」


とおっしゃられる方が多いです。


賃料収入<経費」となり不動産所得がマイナスとなることで、
給与など本業の収入と相殺し、
所得税、住民税を下げられるというのが、
大枠としての仕組みにはなりますが、

「相殺できない利息分がある」
「減価償却も、築年数に応じた期限がある」

ことにより、思ったほどの節税効果、
つまり相殺できるマイナスが生まれにくかったり、
生まれても数年で効果が切れたり
ということが、往々にしてあります。


皆さんにもぜひこの点は、
抑えておいて頂きたいな、と思います。


また、経費をどこまで入れられるかに関してですが、
教科書的な言い方をすれば、
収入に関連するものです。


いろいろな領収証を
経費に入れ込もうとする方もいらっしゃいますが、
万が一、税務調査などがあった場合は、
手痛いしっぺ返しをくらうこととなりかねません。


そもそも、不動産投資、大家業は、
あまり経費がかからない業種だと私は感じています。


遠方に物件を保有していて、
視察、管理で現地へ行くなどであれば、
旅費などが経費になるかもしれませんが、
基本的には、利益が出やすい業種だと私は感じています。


そうなると、利益が出る=税金を払う、
にもつながるのですが、
私個人的には、それで良いのでは?と考えています。


税金を払った後、手元に残ったお金は、
税務署など誰に文句を言われることなく、
自由に使えるからです。


例えば、税率が30%の方だとして、
利益が100万円出た場合。


単純計算すれば、30万円を税金として
払うことになりますが、
70万円は自由に使えるお金として
手元に残すことができます。


少々極端な例ですが、
その利益100万円を減らすために、
100万円の経費を用意するとします。
(減価償却費は加味しません)


この場合、経費に相当する100万円を、
なんらかの形で使う、つまり、
お金として支払う必要が出てきます。


そう考えると、最初の逆で、
税金として出ていく予定だった30万円は手元に残せますが、
経費として100万円支出しているので、
結果としては、差し引き70万円の
お金が出ていっていることになります。


税金を払えば、70万円お金が残る。
税金を抑えれば、70万円お金が減る。


節税を第一目的に意識して取り組んでしまうと、
このような本末転倒な結果が生じかねないのです。


お金を税金で払いたくない意図で行う節税が、
ふたを開けてみたら、
お金が減ってしまっていた。


このような結果には陥らないように
皆さん、気を付けてください。


節税するのであれば、
限られた範囲にはなってしまいますが、
所得控除」を活用するのが良いと私は考えています。


資産形成という意図であれば、
イデコが一番の選択肢になるかと考えます。


私のような個人事業主や法人役員の方であれば、
小規模共済も良い選択肢だと考えます。


その他は、ふるさと納税や寄付を行ったり、
ご両親や配偶者、お子様が、扶養の範囲でいらっしゃれば
漏れなく控除を受けること。


今年の私のように、
医療費が多くかかった場合は、医療費控除も活用する。


所得控除で節税していくメリットとして私が思うのは、
お金を借りられる余地を残しておきやすいことです。


金融機関が融資の審査をする場合、
給与は額面の収入になりますが、
事業や不動産に関しては、
所得(利益)をベースに判断されます。


そのため、所得控除は、
その所得(利益)からマイナスして、
税金がかかる課税所得を下げる効果はありますが、
融資審査などの判断には影響を及ぼさないのです。


節税は、どうお金を使い、どうお金を残していくか、
を考えるポイントになってきます。


皆さん私も、自分が持ち合わせているお金の経営者です。
お金をどう采配して、
使っていくかを考えるという意味で。


無理に多くの税金を払う必要はありませんが、
できる範囲で節税は行った上で
生じた利益に対しての税金はそのまま払う方が、
実はお金を残せることにもつながる可能性もあるという点、
お考えの選択肢のひとつとして
頭の片隅に入れて頂ければと思います。


77 お金の終活って?

 
今回はお金の終活、
についてです。


資産運用、資産形成で増やしたお金を、
どう使い、過ごしていくか、
ということを考えると言い換えても良いかもしれません。


例えば、子育てにお金がかかるなどで、
自分の将来のお金のことにまで考えられない
という時期もあるかもしれません。


ただ、あなたが今、
どんな過ごし方をしていたとしても、
引退時期は、必ずやってきます。


落ち着いたら考えよう、
と先送りしてしまうことは、
時間を味方につける点からもデメリットしかないので、
金額の多少にかかわらず、
意識して、行動に移すことは必要ではないか、
と私は考えています。


もし、現状、どんな準備や行動ができるのか、
などが分からない、というような時は、
ぜひファイナンシャルプランナー
という存在を利用してみて下さい!


私でなくても良いですから、
相性が良さそうと感じる人に話をしてみる、
聞いてもらうことで、
考えや気持ちを整理できると思いますよ。
(ちょっと宣伝めいた話をしてしまいごめんなさい。)


さて、お金の終活のことに話題を戻しますが、
頭では理解して頂いたかもしれませんが、
具体的に、どうして良いか分からないかもしれません。


そこで、僭越ながら、
私自身が取り組み、考えていることに関して、
シェアしてみたいと思います。


最初に確認していることは、
ねんきん定期便」です。


通常、誕生日の月に届く、
払った実績や見込額などが書かれている
ハガキ、封書です。


65歳まで20年弱あるので、
受け取れる金額が変わる可能性などもありますが、
0円になることはないと思うので、
ベースの収入のひとつの目安として
考えるようにしています。


公的な年金でまかなえないと感じる部分に関しては、
自助努力で用意している金額をあてることになります。


私の場合、その自助努力にあたるものとしては、

イデコ
小規模企業共済
NISA

をメインに備えています。


皆さんも、上記制度のどれかを
利用しているかもしれませんが、
取り崩して使う順番を考えることも大切ではないか、
と私は考えています。


これは、税制の兼ね合いもあるので、
今後税制が変われば、
修正する必要があるかもしれませんが、
現時点での私の計画としては、


① 60歳になったらイデコを取り崩して使う。

② 65歳になったら小規模企業共済を取り崩して使う。

③ NISAは、非課税期間も2024年から無期限になるので、
  できる範囲でつみたてを続けながら、
  必要に応じて取り崩して使っていく。


上記のような順番で、形成してきた資産を使い、
活用していこうと考えています。


イデコに関しては、FPを学んだタイミングで知り、
2004年の27歳から始めて継続しています。


60歳までの33年間で運用してきた資産不動産からの収入
そして、仕事を継続することで、
65歳までの5年間は過ごしていけるだろう
というイメージです。


65歳で取り崩そうと考えている小規模企業共済は、
非課税で受け取れる分は一括で受け取り、
それを上回る分は、分割で受け取ろうと考えています。


公的年金は繰り下げて、
最後まで受け取るのを待つ予定なので、
65歳から70代前半くらいまでは、
65歳までのイデコ資産の残りや不動産からの収入に加えて、
仕事の継続収入、そして小規模企業共済を使いながら、
過ごしていこうと考えています。


その後、繰り下げた年金を受け取りながら、
NISAで運用した資産を取り崩し、仕事もしつつ、
不動産からの収入も活用しながら過ごしていく。


状況に応じて、不動産は一部売却して、
まとまったお金を手にすることも
視野に入れながら過ごす。


上記のような流れで、
資産運用、資産形成をしてきたお金を活用し、
将来過ごしていこうというのが、
私のお金の終活のアウトラインです。


もちろん、上記でお話したことは、
現時点で意識し考えていることなので、
今後の生活スタイルや状況等により、
変わることも十分ありえます。


運用状況などにより、予定が変わったり、
計画の修正を迫られることも十分ありえます。


とは言え、目安というか、
アウトライン的な考えを持っておくことは、
お金の不安を安心に変えるひとつの
方法であるとは思います。


ぜひ皆さんも、
資産運用や資産形成を行った先にある、
ご自分のお金の終活、
考えてみてはいかがでしょうか?


76 コストについて


金融商品のコストに関して、
できる限り抑えることだと、私は考えています。


実物資産である不動産のコストは、
抑えられるに越したことはないですが、
ケチらない


と考えています。


金融商品に関してですが、
新年から始まった新NISAの
話題を耳にすることが多いと感じます。


枠組みとして、かなり拡充はされるので、
無理ない範囲で利用していくのは、
資産運用の手段の王道の1つになると考えています。


私は、個別株式を選んで投じることは苦手なので、
投資信託のつみたてをメインに、
来年以降も続けていきます。


そこで、意識するのは、投資対象もそうですが、
信託報酬」と言われる、
保有している間に継続的にかかるコスト、
に目を光らせています。


仮に、年利3%の運用成果があがったとしても、
信託報酬が0.2%と1.5%であれば、
資産残高には、長期目線で見ると差が出てきます。


運用成果が、信託報酬のようなコストを
大きく上回って上げられているのであれば良いのですが、
そのような商品、
いわゆる市場平均を上回っている商品というのは、
全体の3割くらいと言われています。


そのため、
その3割くらいのアクティブ型と言われる
投資信託を探して投じるよりも、
平均点を安定的に狙える可能性の高い、
インデックス型を選んだ方が、コストが低い商品も多く、
長期的に資産も目減りしにくく、
失敗しにくいと私は考えています。


なので、コストが最安のものを選ぶということでもないのですが、
最安に近い商品の中から、
自分が投じてみたいと思う投資信託に
絞ったつみたてを続けるというのが、
金融商品に対しての私のスタンスです。


一方、不動産投資、大家業に関しては、
基本的にはコストの出し惜しみはしない
くらいのスタンスで考えています。


理由としては、部屋の中で生活をされている、
生身の「」がいらっしゃるからです。


予防接種や健康診断とは異なりますが、
不動産投資、大家業は、人を相手に行う、
住まい提供サービス業だと私は考えています。


だからこそ、
部屋の中で安心してお住まい頂ける環境を、
しっかりと整えて差し上げることこそ、
安定した収入につながると私は思っています。


その点で、コストが多少かかったとしても、

「どうすることが、入居者さんにとって、
 より良いことにつながるのか?」

を考えた上で、何か起きた時などの
判断は行うようにしています。


コストがかかることで、
一時的には支出が膨らむことにはなりますが、
受け取る賃料収入が途絶える期間を
最小に抑えることができるなら、
その方が長期的に良いと考えているからです。


昨年、こんなことがありました。


ユニットバスから水漏れが発生して、
お風呂が使いづらい、
という事態が発生しました。


賃貸管理会社さんから状況を伺い、
選択肢をいくつか提示頂きました。


その中で、コストとしては一番高くつく、
ユニットバスの交換と
その工事期間中の数日、
ホテルに仮住まいをして頂くという選択肢を選びました。


コストを抑える方法を選ぶと、
ある程度の応急処置的な修理を行い、
入居者さんには気を付けて頂きながら、
お風呂を使って頂くという方法もありました。


ただ、ストレスがかかってしまうような状態のまま、
お住まい続けて頂き、賃料を払って頂くのは、
自分が入居者の立場なら避けたいな、と感じたのです。


また、今、応急処置的に修理したとしても、
根本の解決にはならず、
今度はお風呂がまったく使えなくなる
という事態も生じかねません。


であれば、入居者さんも私も、
双方が気を遣うことなく、
すっきりした気持ちでいられる方が良いと判断し、
コストはかかるけれど、交換&仮住まい、
という根本解決できる方法を選んだのです。


その後、
ご結婚されて退去にはなってしまいましたが、
次の方にお住まい頂くときには、
何も気にすることなく
募集活動を進めて頂くこともできました。


このように、不動産投資、賃貸業は、
リアルな人相手なので、
予防接種などと同じように、
未来のマイナスシナリオを回避するためにも、
コストは出し惜しみしない方が良いと私は考えています。


コスパが良いなど、
支出に対してシビアに考えるという視点は大切だし、
忘れてはならないとは思います。


ただ、出し惜しみしてしまうことで、
今後の安心感を得られなくなってしまうのであれば、
本末転倒だと思います。


資産運用、投資の面などを中心に、
コストに対しての私の想いを
今日はお伝えさせて頂きました。


あなたが、
NISAや不動産投資などを行う際に、
少しでも参考に感じて
頂ける部分があれば嬉しく思います。


75 どんな方に住んで欲しいですか?


不動産投資、大家業をする上で、
大切なことのひとつに、
「どんな方が借りて下さるか?」があると思います。


借りて住んでくださる方がいなければ、
売上にあたる賃料が入らず、支出ばかりがかさんでしまい、
成り立たないからです。


あなたが自分の部屋を貸すとした場合、
こんな方に住んでもらえるといいなぁ、
と想い描いているイメージはありますか?


「滞納をしない」

「隣近所に迷惑をかけない」

「少しでも長く住んで頂ける」

「上場企業にお勤めの方」


などなど、考えていくと、
いろいろなイメージが湧くと思います。


ただ実際は、私もそうですが、
賃借人さんを探す時、賃貸管理会社さんに、
募集の依頼をしている方が多いと思います。


そうなると、よっぽど変な条件などでなければ、
最初に申込みが入った方に決めるケースが
多いのではないかと思います。


さらに、
賃貸保証会社の審査も通過している、となれば、
基本的には賃料がとりっぱぐれる可能性も低いですから、
その方で進めて下さい、
となるケースが多いと思います。


とは言え、先程伝えた、
理想の入居者さん像を思い浮かべておくことは、
空室になった時に、
そういう方からの申し込みを頂けるような、
引き寄せにもつながるかもしれないので、
イメージしておくことは良いのではないか?と思います。


一方で、
こんな入居者さんはできれば避けたい、
というイメージを持たれている方もいらっしゃると思います。


よくあるのは、
「年配の方」や「外国籍の方」
ではないか、と感じます。


私自身は、
気にしたことがありません。


実際、今、
70代の方にお住まい頂いている部屋もありますし、
外国籍の方にお住まい頂いていたこともありました。


私は運が良いだけなのかもしれませんが、
そのような方が住まわれていても、
滞納が起きた経験はありませんし、
退去された後、部屋を見に行っても、
すごく綺麗に丁寧に住んでくださっていた、
という経験しかありません。


こればかりは、老若男女、国籍問わず、
個人差の問題だと思いますが、
今後を考えた場合、
年配の方や外国籍の方の賃貸需要は
高まってくると私は考えています。


理由としては、単純に、
そのような方々の人数が増えると思うからです。


なので、もし皆さんが、
年配の方や外国籍の方にお部屋を貸すことに
マイナスイメージを持たれていたら、
賃貸の機会損失につながるかもしれないので、
見方、捉え方を、見直してみるのも良いのではないか、
と私は思います。


私自身、気にしていないとは言いながらも、
自分でもケアしていることはあります。


1つは、主に年配の入居者さん対策ではありますが、
家賃補償保険」というものに加入しています。


とは言いながら、この保険には、
入居者さんの年代、性別問わず加入しています。


少額短期保険と言われる、
1年~2年単位で加入するタイプの保険です。


内容としては、
部屋の中で亡くなられた場合に、
賃料の6か月分を補填してくれたり、
特殊清掃など次の方にお住まい頂く環境を
整えるのにかかった費用を補填してくれる(上限あり)
という内容です。


また、数年前に、
いわゆる事故物件のガイドラインも変わったので、
年配の方へお貸しする心理的ハードルも
下がりつつあるのではないでしょうか。


外国籍の方に関しては、
来日される事情も様々だとは思いますが、
どのような背景があるにせよ、
日本に少なからず好意的な想いを抱いて頂いているのではないかな、
と思います。


例えばですが、
語学留学で来日のような方であれば、
日本で仕事、ないし、日本語を使って仕事がしたい、
という方だというようなイメージです。


また、現実問題として、
人手不足などと各所で言われていますが、
その部分の戦力として、
外国籍の方が担われる機会も増えてくるのでは、と感じています。


円安で日本を避ける傾向がある
などとも言われたりしていますが、
報酬だけにとどまらない魅力が、
日本にはあるのではないでしょうか。


労働で来日される方と、
同系列で考えるのは違うかもしれませんが、
インバウンドで来日される方が増えているのは、
円安で割安に感じているだけではない魅力が日本にあるから
だと私は考えています。


だからこそ、労働で来日された方も、
職場との相性もあるとは思いますが、
日本人の優しさを感じながら働き、
職を失いたくない思いから、
住まいの賃料を滞納するようなこともしない方が
多いのではないか、と思います。


さらに、今後は労働で来日された方が、
転職しやすくなる環境を整備するという検討も
政府で進められています。


来日されて働いている方は、
多くの方は賃貸に住んでいらっしゃると思います。


だからこそ、
日本での働きやすい環境が整えば整うほど、
外国籍の方の賃貸需要も高まるのではないか?
と私は考えています。


不動産投資、大家業に対しては、
今後空き家が増えるなど、
ネガティブな話題の方が耳にすることが多いですが、
どんな方に住んでもらいたいか、という視点から、
見方、捉え方を変えたりしてみれば、
今後も末永く続く投資、というよりは
事業であると私は思っています。


74 不動産投資の出口


「築15年から20年の物件を買った後、
 築50年前後で売却するのが
 ベストのように感じているのですが、どう思いますか?」


先日相談の中で聞かれた質問です。


あばたは、どう思いますか?
共感できますか?できませんか?


正解がある訳ではないので、
皆さんがどう判断するかというのが、
私なりの答えと言えば答えです。


とは言え、これでは元も子もないので、
私なりに考えていることをお伝えします。


私の考えとしては、

「賃料収入を継続的に得ることが目的なので、
 原則は売らずに持ち続けるスタンス」

「築年数で区切って手放す判断はしない」

「建て替え、取り壊しの話題が上がってきた時、
 組合の話し合い状況や自分の手持ち資金、物件の立地などを考えて、
 保有継続でも問題ないと考えれば、
 建て替え期間中の賃料収入はなくなるけれど、
 賛成の意向を示す。

 賃料収入が途絶える建て替え期間を過ごしてまで、
 組合とのやりとりをしたいと思わないなど、
 ネガティブな想いが強い物件の場合は、
 早目に売却判断するか、敷地売却を通して、
 手放すことを考える」

少し、長めの文面に
なってしまいましたが、
上記のように考えています。


冒頭で伝えたご質問をされた方の
想いを伺うと、


「取り壊しや建て替えの話し合いが
 まとまらない可能性に備えたいという意味で、
 築50年くらいでの売却がちょうど良いのではないか、
 と思うから」


ということでした。


区分マンションのデメリットは、
まさにここにあると私も考えています。


自分の部屋の中は、
自分の想いでなんとでもできるけれども、
建物全体は、
自分の想いだけではどうすることもできないという点です。


その点で言えば、
一棟アパートや戸建てなど、
建物がおひとりの所有であれば、

「取り壊して建て替えるのか?」
「基礎、躯体を残して、リノベーションなどを施すのか?」

など、自分の意向、判断で、
保守、メンテナンスが行えます。


一方で、区分マンションのメリットだと
私が感じているのは、
適時に適切な建物管理ができていれば、
一棟アパートや戸建よりも、
長く住まいとしての価値を失わずにいられるという点です。


一例として、税法上の耐用年数をあげます。
木造の場合22年ですが、
区分マンションに多い鉄骨鉄筋コンクリート造の場合は47年です。


もちろん、税法上の耐用年数を過ぎた時点で、
利用価値や資産価値がなくなる訳ではありませんが、
一般論としても、区分マンションの方が、
強固で頑丈で長持ちだということの現われではないか、
と私は考えています。


だからこそ、
築40年とか築50年という古めのマンションであっても、
売買取引が成立しているのです。


実際に私自身も、
築30年超の物件でも、立地と管理状態が良ければ、
購入した経験もありますし、
現時点で耐用年数である築47年を
超えたマンションの部屋も保有しています。


私が不動産投資、大家業を始めた2007年に購入した、
来年、築50年になる東京都中央区の物件の部屋があります。


古さを感じる部分があることは否めないですが、
給排水管などのインフラ設備に不具合が生じることもなく、
購入当初より、今の方が賃料をあげた状態で
貸し続けることができています。


今でも、不動産会社さんから
「物件売りませんか?」の
電話やDMが届くくらいです。


なので、築50年前後でも住まいとしての役割は充分に果たせるので、
建て替えなどでの合意形成が図れそうにない可能性を踏まえて、
築50年前後で売却して手放すというのも、
選択肢のひとつとしては、ありだと思います。


ただ一方で、
売却して手放す=賃料収入も失うことになる、
という点にもつながるので、
どちらを選ぶのが良いか、天秤にかけて判断することが、
何よりも大切だと感じます。


実際の所、
鉄骨鉄筋造のマンションであれば、
少なくても60年、今の技術などをもってすれば、
80年とか100年など、耐用年数を超えても、
住まいとしての価値を失うことはないと、
私は考えています。


取り壊し、建て替えをせずとも、
適時適切に修繕を行っていけば、
売却という選択肢をとらずとも、
安心して保有継続ができる、という意味合いです。


マイホームにせよ、賃貸用にせよ、
区分マンションを所有するということは、
そのマンションの他の部屋の
所有者さんとの運命共同体的な
枠組みに入ることを意味しています。


だからこそ、購入する前に、できる範囲で、
建物の状態管理状態などを見て、

「この物件なら安心して保有継続ができそうだ!」

と確認を行うことが、築50年になった時でも、
売却する、保有継続するなど、
あなたの選択余地のある、
失敗しない物件選びにつながると私は考えていますが、
皆さんはどう思いますか?


73 インフレの影響を感じていますか?


最近のインフレ傾向


いろいろな要因があるとは思いますが、
モノやサービスの値段があがっていますよね。


消費者の声に応えたいと
値下げに踏み切る企業なども一部にはありますが、
じわじわと値上げをしている
会社の方が多いと感じています。


そんな中、住まいを提供するサービス業である、
不動産投資、大家業には、
変化が起きているのでしょうか?


修繕工事が必要になった時にかかる
材料費や人件費などが上昇傾向にあると感じます。


その点に関しては、
マイナスインパクトだとは思います。


ただ、一方で、今後を考えた時には、
プラスのインパクトも生じる可能性があると
私は考えています。


それは、賃料のアップです。


インフレ傾向にある世の中に沿う形で
賃料を上げるというだけの話ではありません。


賃料を上げたとしても、
それを受け入れてくれる素地が
整いつつあるのではないか?ということです。


その一番の要因になりそうだと
感じているのが、「賃上げ」です。


国としても、賃上げに伴う税制を整えるなど、
賃金アップということに
本腰を入れている印象があります。


しかも、一過性のものではなく、
継続的にという流れにもなりそうな様子です。


もちろん、個々の企業の事情により、
必ずしも賃上げが行われるとは限りません。


ただ、世の中的には、
心理的に賃上げの風潮が広がり、
給与を受け取る人の気持ちにも
変化が出てくるような気が私はしています。


その心理的な部分が広まってくると、

「少し賃料が高くても、
 利便性の良い部屋を選びたい」

「設備が良いならば、
 賃料が少し高くてもそっちが良い」

という形で、
住まいにかけたいと思う財布のひもも、
少しずつゆるんでくる可能性が高まるのではないか、
ということです。


中でも朗報ではないか、と私が感じているのは、
新入社員の初任給をアップさせている
企業が増えていることです。


会社勤めの方の場合、
住宅手当や家賃補助のある企業もあります。


福利厚生的な補助があることは、
今でも少し高めの賃料の部屋を
選んで頂ける一因になっていますが、
手当や補助以外の、基本給の部分があがることで、
より一層、賃料が少し高めでも
選んで頂ける可能性が高まるのではないか、
と私は感じています。


また、新入社員という点で考えると、
20代前半の単身者が多いと思います。


その点で、私もそうですが、
単身者向けの部屋で不動産投資、大家業を行っている場合、
部屋を探される方のニーズと
マッチしやすいとも感じています。


不動産に関しては、世の中の動きから、
少し遅れて動き出す傾向があると私は考えています。


株価などは、その時々の状況や
見通しなどを先読みして先行的に動きますが、
不動産に関しては、実際の生活が伴って初めて動く、
遅効性があるという意味合いです。


空室期間を少しでも抑えるという点を考えると、
賃料をあげるのは、
今の入居者さんが退去された後の
募集時に行うのが良いとは思います。


ただ、もし入居者さんが長年にわたって住まわれていて、
賃料が相場とズレてきている、と感じる場合は、
更新のタイミングなどで賃料アップの提案をするのも、
今後という点では、
選択肢としてありかもしれない、とも思います。


そして、賃料アップが実現できると、
収益物件としての価格のアップにもつながるので、
もしも売却して換金したいという
時にも、その効果は及んできます。


今回の内容は、
賃上げ機運が広まりつつある昨今を踏まえて、
今後起こりうる可能性に関して考えてみました。


不動産の場合、
インフレ傾向にあるからと言って、
それが株価のようにすぐに反映する訳ではない
遅効性がある点等も考えると、
賃料に関しては、世の中の情勢などを踏まえながら、
今後じわじわと上げられる可能性がある
と私は考えています。


72 賃貸管理会社、うまく頼っていますか?


購入を検討している、
賃貸用物件についてお話しします。


久しぶりに、ネットで見つけた
仲介物件を購入することに決めたのですが、
その一番の決め手が、
表題にもしている「賃貸管理会社」です。


タイミング良く
売り物件を見つけられたこともあるかもしれませんが、
今回の私のケースは、


「この会社に賃貸管理をお願いしたい」
というのが、出発点にありました。


今からさかのぼること約2年。


場所は、淵野辺。


「どこですか?」
と言われてしまうかもしれません。


ここを目的にして足を運ぶような街ではない、
マイナーな街、駅だと思います。


数年後にリニア新幹線が「橋本駅」を通ることを
ニュースなどで耳にされた方もいらっしゃるかもしれませんが、
その橋本駅から3駅くらい隣の、
神奈川県相模原市にある街です。


淵野辺は、木造アパートなども多く、
東京23区のような都市部と比べると、
空室率は高めのエリアです。


そんな場所にも関わらず、
入居率98%近くをキープしており、
会社の看板に「空室募集」とまで書いている管理会社。


思い立ったら行動するがモットーの私は、
不躾にも問い合わせをし、食事をしながら、
社長さんにお話を伺う時間を作って頂きました。


その後、タイミングを見ては、
「この物件、どう思いますか?」
と、管理受託して頂いた後のことを考えて、
不定期にやりとりをさせて頂きました。


その結果として、2年が経った今、
管理会社も私も良いと感じる物件と出会うことができ、
購入に向けて進んでいる、という流れです。


どんな賃貸管理会社か知りたいですか?


ご興味あれば、
こちらの書籍を手に取ってみて下さい。
https://www.amazon.co.jp/%E3%83%88%E3%83%BC.../dp/4770900783


さらに、今回購入物件を検討するにあたって、
探していた所、私が購入進めているA物件の他にも、
この管理会社が仲介で売りに出している
B物件も掲載されていました。


「あれ?紹介の声かけ頂けず、
 ネットに仲介で売りに出てるよ」

と、私は感じました。


そこで、


「A物件とB物件だったら、
 どちらが良いと思いますか?」

と伺いました。


すると、


「斎藤さんに紹介せず、
 ネットに掲載しているということで、
 ご理解頂ければ、と」


端的にまとめると、
そのような返答を頂きました。


そのお返事を踏まえて、
私はA物件に決め、話を進めることにしました。


短期的な利益を求めるのであれば、
会社の立場とすれば、B物件を販売し、
仲介手数料を受け取った方が、
収益が大きくなることは明らかです。


にもかかわらず、
A物件の方が良いと背中を押してくれた。


このような応対からも、
信頼を寄せるに値するとさらに想いを深めることになりました。


正直、ふたを開けてみないと、
今回の淵野辺という賃貸需要の弱いエリアに物件を持つことが、
本当に良いのかどうか分からない、
という想いもあります。


ただ、信頼を寄せるに足る管理会社の
応対や意見を踏まえて選んだ物件であれば、
賃貸経営面で、大きな失敗にもならないのではないか、
という想いの方が現時点では強いです。


ちょうど、私自身の現在進行形の実体験があったので、
それと合わせて、賃貸管理会社とのやりとりなどを
お伝えさせて頂きました。


ただ、私の場合、
今回の淵野辺に限らず、他の物件であっても、
賃貸管理の担当者に、


「この物件って、
 管理引き受けてもらうこと可能ですか?」


ということを、今までに何度も相談したことがあります。
(実際は、相談はしたけれど、
 購入に至っていない物件の方が多いです)


販売後、
そのまま自社で賃貸管理まで引き受けるという会社の場合は、
今日お話したような面倒なことはしません。


自社で管理できないような物件であれば、
そもそも販売しないからです。


なので、今日お伝えしたのは、
融資付けの面など踏まえれば、
進め方としておススメはしにくいですが、
ネットに掲載されている物件で魅力があると感じる。


ただ、その仲介会社がどんな所かも良く分からないから、
管理は、いつもお願いしているE社にお願いしたい。


そんなケースがある時に、
ぜひE社さんを、いい意味でうまく活用し、
やりとりし、コミュニケーションを取ることが、
失敗しにくい不動産投資、大家業にもつながる、
ということを伝えたかった、
というのが主旨です。


また、物件購入時以外でも、


「賃料設定のこと」
「設備の交換のこと」
「空室時に部屋をリフォームしてみるかどうか」


など、賃貸管理会社は、
不動産投資、大家業を継続していくにあたって、
きってもきれない大切なパートナーです。


毎月、賃料が振り込まれてくるから安心だ。


それだけにとどまらず、
聞きたいこと、確認したいことが生じた時は、
賃貸の現場を一番良く分かっている、
賃貸管理会社に確認することが、
懸念や不安を解消してくれる存在になる、
と私は考えています。

71 不動産投資で相続税対策


不動産投資、大家業のセミナーでは、
年金対策節税対策生命保険代わりなどを
耳にすることが多いかもしれません。


それぞれの立場に応じた効果はありますが、
今回は、相続と生命保険という視点から、
お伝えします。


題して、団体信用生命保険を利用して、
資産承継を考えてみませんか?です。


数年前に、初めてご相談を受けたお医者様と
話題になったテーマでもあります。


ご自分が50代、60代で、
お子様や配偶者などに資産を遺したい。


あるいは、50代、60代のご両親がいらっしゃり、
普段話題にしない相続のことを
話してみたいと思っている。


そんな方にとっては、
参考にして頂けるかもしれません。


最初に結論をお伝えしてしまうと、
団体信用生命保険に加入して、
ローンを組んで、
個人名義で賃貸用不動産を買うことで、
相続対策、相続税対策にもなる、
ということです。


現預金で3,000万円あったとした時に、
相続が発生すれば、3,000万円そのままの金額が、
相続税の課税対象になります。


NISAを利用するなどして、
株式や投資信託を保有している場合も、
株式の評価方法は数パターンありますが、
基本的には、その時の時価が、
相続税の課税対象になります。


金融資産の場合、
資産形成という点では
複利の効果などが目に見えて分かりやすいですが、
相続税という点では、
行える対策はないに等しいです。


換金しやすいので、納税資金にはあてやすいですが、
含み利益があれば、
課税の対象になる金額は増えることにもなります。


一方で、賃貸用不動産の場合、
不動産というだけで、
いわゆる時価よりは低い場合が多いです。


賃貸中であれば、評価額がさらに下がるので、
相続税の課税対象になる金額は下がる、
ひいてはかかってくる相続税が
下がることになります。


と、ここまでは教科書的な
内容をお伝えしました。


この賃貸用不動産を50代、60代の方が、
団体信用生命保険を利用してローンを組んだ場合、
どんなことが起きるか、
をここからお伝えします。


内容のイメージがしやすいように、
新築の賃貸マンションを購入したと仮定します。


団体信用生命保険は、
完済時80歳くらいまで、
という条件がついている金融機関が多いです。


そのため、50代、60代であれば、年齢によりますが、
15年から30年くらいの期間、
加入できる可能性があります。


頭金をどれくらいいれるかなど
条件によって変わりますが、
存命中は、定期的な収入を得られる
資産活用の手段として利用できます。


また、物件を具体的に検討する時は、
お子様や配偶者に遺すことになる。


とか、


親に相続が発生したら
自分が受け継ぐことになる。


という視点から、物件を選ぶ際にも、
お子様や配偶者、ご両親と一緒に行うのが
良いのではないかと思います。


仮に20年後に、相続が発生したとします。


一例をあげますが、
当初2,500万円のローンを組み、
金利2%、期間30年で借りた場合、
20年後の残債は、約1,100万円になります。


ただ、この残債は、
団体信用生命保険に加入していることで、
ゼロになります。


つまり、相続発生時に、今回の例で言えば、
築20年の賃貸不動産を、
ローンなしで受け継ぐことになるのです。
あるいは、お子様や配偶者に
遺して差し上げることになるのです。


引き継いだ時、築20年の物件であれば、
まだまだ末永く、賃貸物件として活躍してくれます。


売却して手放しても、
まとまったお金を手にすることができ、
教育費に充てたり、マイホームの購入に充てたり、
相続税の納税資金にあてたりすることも
可能になります。


あえて、団体信用生命保険に入らず、
ローンの残債がある状態で、
相続の発生を迎えることで、もしかしたら、
不動産の評価額 < ローンの残債
という状態になり、他の金融資産などと相殺して、
納税額を下げられる可能性もあるかもしれません。


ただ、もし私だったら、
遺される側としても、遺す側だったとしても、
ローンなどの負債がない状態で引継ぎたいし、
引き継いでもらいたいと考えています。


引き継いだ後、引き継いでもらった後、
その不動産をどうするかという
自由な選択肢があった方が良いと思うからです。


ローンが残った状態で、資産も負債も引き継ぐのは、
相続税対策にはなるかもしれませんが、
気持ちの良い相続対策にはならない
可能性も考えられます。


だからこそ、
ローンを使って賃貸不動産を手に入れる時は、
加入ができるなら、そして加入するのに、
あまりにも不利な条件にならないのであれば、
団体信用生命保険には加入しておくのが、
50代や60代の方が個人名義で購入する場合には、
良いのではないかと私は考えています。

※法人の場合は、違った視点があるので、
ケースバイケースですが、
今回は長くなるので割愛させて頂きます。


ある程度まとまった現預金や金融資産がある年配の方の場合、
ご自身で考える使い道があるのであれば良いのですが、
いつ使うか分からないから貯めておく、
いずれ相続で配偶者やお子様に引き継ぐことになるから、
使わずに貯めておく、というのは、
ご自分にとっても、遺されたご家族にとっても、
あまり効果的なお金との向き合い方ではないのではないかと
私は感じてしまいます。


現預金などの金融資産を
一定額保有しておくことはもちろん大切ですが、
引き継ぐということが視野に入ってきた時には、
ローンを組めるなら
団体信用生命保険に加入しながらローンを利用して、
仮にローンを組まないとしても、
賃貸不動産という資産に変えておくことで、
存命中の私的年金対策、
あるいは相続対策や相続税対策として、
活きたお金の使い方にもつながるのではないでしょうか。


ぜひ一度、
親の立場、配偶者の立場、子どもの立場など、
それぞれの立場に置き換えながら、
考えてみて頂ければと思います。


70 利回り4%で運用を続けられますか?


先日、海外にお住まいの方から、
繰上返済」について相談を受けました。


海外で生活をされている中で、
円安の恩恵を実感しての相談という感じでした。


日本国内で過ごしていると、
円ドル相場のニュースなどを通してしか
感じにくい為替の世界ですが、
外貨で生活している方にとっては、
インバウンド需要ではないですが、
日本が安く感じていることの一端を垣間見た気がしました。


さて、あなたが、
マイホームにせよ、賃貸物件にせよ、
融資を受けて不動産を所有しているなら、
購入した後、繰上返済はしていますか?
それとも、まったくしていませんか?


繰上返済をすれば、融資残高は減るので、
気分的にはラクになるけれど、
手元のお金が減ることへの抵抗や不安感がある。


そう考えて、
繰上返済をされていない方のほうが
多いかもしれないな、
と個人的には感じています。


するしない、
どちらが正解という訳ではないので、
したいと思えばする、したくないと思えばしない、
というご自身の判断が、
一番優先すべきことだとは思います。


ただ、繰上返済するかどうかの
判断基準が分からないという方も
いらっしゃるかもしれません。


そこで、今日は、私なりに考えている目安を
お伝えしようと思います。


そのキーワードが
冒頭の「利回り4%」です。


どういうことか?


最初に繰上返済には、
期間短縮」と「返済額軽減」の
2種類があります。


● 今の返済額は変えずに
 残りの返済年数を短くするのが「期間短縮」

● 残りの返済年数は変えずに
 今の返済額を下げるのが「返済額軽減」

です。


それぞれに一長一短はありますが、
私は「返済額軽減」をおススメしており、
私自身も繰上返済する際は、
返済額軽減を選んでいます。


賃貸用不動産の場合、
保有を続けている中で、安心感が高まる方法の1つに、
毎月のキャッシュフローのアップがあると
私は考えています。


例えばですが、
毎月のキャッシュフローが1万円増えれば、
年間で12万円通帳残高が
増えることになります。


少しずつかもしれませんが、
毎月、毎年のお金の流れが増えることは
嬉しさと安心を感じることに繋がると思うのです。


これを実感できるのが、
返済額軽減型なのです。


では、返済額軽減型と利回り4%は、
どう関係しているのか?


例をあげてお伝えします。


金利2%、借入年数35年で2,000万円を
借りたとします。


この時、元利返済額は毎月66,252円です。


では、返済額軽減の繰上返済を100万円
したとすると、毎月の返済額は、
いくらになるでしょうか?


答えは、約62,940円で、
差額は3,312円です。


これは毎月の差額なので、
年間にすると12倍して39,744円になり、
この金額分、繰上返済で
キャッシュフローが増えることとなります。


ここまで伝えて、気づいて頂けましたか?


100万円繰上返済して、年間39,744円増える。
約4万円と考えると、
100万円の繰上返済に対して、
約4%のリターンを得ていることになるのが、
返済額軽減の繰上返済なのです。


しかも、この約4%のリターンは
相場など関係なく、確実に得られるリターンです。


これは、一例で、金利や年数による違いは出てきますが、
もし2%前後で30~35年のローンを借りているならば、
返済額軽減の繰上返済で、
おおよそ4%に近いリターン
になってくるケースが多いです。


なので、考え方の基準の目安として、
約4%のリターンを確実に得たいのであれば、
返済額軽減の繰上返済を選ぶ。


株式やつみたて投資などで、
4%を上回るリターンを目指す運用に
取り組んでいくのであれば、
資金効率としても繰上返済は劣るので、
運用に回す方を選ぶ。


繰上返済に関して、
4%を上回る運用をできそうかどうか、
という視点で考えてみるというのが、
今回、私が一番に伝えたかったことです。


例として100万円の繰上返済をあげましたが、
金融機関によって、
最低50万以上からできたり、
1万円からでもできる所もあります。
金額は異なっても、
4%という「率」は変わりません。


繰上返済を急いで、
手持ちのお金が心もとなくなるのは、
本末転倒です。


なので、無理なくバランスを考えて、
繰上返済から生まれるキャッシュフローを、
利回りという視点で考えながら、
やるかやらないか考えてみるのも、
選択肢の1つとして良いのではないか、
と私は考えています。


69 NISAについて


私は不動産のご相談をメインにお受けしていますが、
先日はNISAについてのご相談をお受けしました。


不動産投資だけの人間ではないですよ!
というアピールも兼ねて(笑)
今回はNISAについてお伝えしようと思います。


ニュースなどでご存じかもしれませんが、
2024年から利用できる金額が増え、
期間の制約もなくなるので、
使い勝手が良くなると私は考えています。


本文では、

2024年からのNISAを「新NISA」
2023年までのを「現行NISA」

と呼ぶことにします。


あなたは、
NISA利用していますか?
利用して、資産形成したいと思っていますか?


最初に、私自身のことをお伝えすると、
現行NISAでは
つみたてNISA」を
上限の年間40万円、継続して行っています。


新NISAでも、
個別の銘柄を選んでお金を投じることに
苦手意識があるので、
「つみたて投資枠」「成長投資枠」
いずれでも「投資信託のつみたて」を
ベースに制度を利用していこうと考えています。


制度そのものに関しては、
書かせて頂くと長くなるので、
確認したい方は、個別にメッセージ頂くか、
下記URLご参照下さい。
https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/about/nisa2024/index.html


さて、
この時期で聞かれる良くあるご質問が、


「新NISAを待って始めた方が良いか?
 現行NISAを利用して今から始めた方が良いか?」

という内容です。


現行と新、
制度としては別物になるので、
新がスタートする2024年は、
ゼロからのスタートにはなります。


ただ、たとえ残り数ヶ月だとしても、
現行NISAから始めるのが良いと私は考えています。


その理由は、ただひとつ、
時間は待ってはくれないから。


少しでも早く始めることで、
長期投資の恩恵を受けやすくなるから、です。


ただ、ここでまた受ける質問があります。


新NISAは無期限だから良いのですが、
現行NISAは非課税の期限があります。
現行で投じている商品はどうしたら良いですか?


という内容。


私自身も、新と現行が、
別制度として分断されることを知った時に、
どうしようと思い巡らせました。


その結果、私が思い至った考えは、

「新NISAでのつみたてを開始した後、
 現行NISAでつみたてている商品に関しては、
 少しずつ売却して、
 新でのつみたてに回していく」

という結論。


現行でも新でも、
メインとしてつみたてる投資信託を
変える予定は、今の所ありません。


であれば、
複利効果の雪だるまの元本にあたる部分を、
早いうちに少しでも増やしておきたい。


そのために、
新でつみたてる金額に上乗せするなどして、
現行の枠内でつみたてている投資信託は、
遠くない将来にゼロにして、新に一本化する、
というイメージです。


あるいは、まずは預貯金などの手元資金をNISAに回し、
手元予備資金的な預貯金が一定金額を下回るまでは、
そのままほったらかしで
現行の制度内に置いたままにしておく。


どちらにするかは、その時々の手元資金と相談しますが、
いずれにしても、NISAの非課税元本枠は、
無理ない範囲で、優先して活用していこうと考えています。


将来的には、年金の上乗せとして、
一定割合ずつ取り崩しながら使うことも良いですし、
例えば、マイホームにせよ、賃貸用不動産にせよ、
不動産の残債があれば、その繰上返済に回すのも、
良いのではないか、と私は考えています。


本来、税金を徴収したいと考えている国が、
特別待遇的に設けてくれた制度であるNISA。


税金上の特典がある=お金をその場に置くのが有利ですよ、
というメッセージではないか、と
私は捉えています。


その点で、イデコとNISAは、
金融資産投資で優先して活用するのが
良いと私は考えていますし、
実際、どちらの制度も活用しています。


私のようにつみたてで利用するのも、
個別株を買って配当や優待を目的にするのも、
ありだと思います。


金融資産投資の醍醐味は
複利効果」にあると私は考えています。


そのためにも、時間を待たずに、
できる時から、無理なくできる範囲で行い、
継続して行うことが大切だと考えていますし、
税金面の優遇がある制度は、
優先して利用することが、
皆さんの複利効果をより高めてくれると
私は考えています。
 

68 FPは保守的だと思いますか?

   
「FPで不動産投資をしている人が少ないのは、
 なぜだと思いますか?」


先日、相談にお越し頂いた方から、
そんなご質問を受けました。


いろいろな方から伺って、
統計をとっている訳ではありませんが、
私の肌感覚としては、
不動産投資に取り組んでいるFPは、
少数派ではないか、という気がしています。


その理由として、私が思うのは、

銀行や証券会社、保険会社など
 金融機関出身のFPが多いこと

● 不動産に対する誤解が多いこと

ではないか、と感じています。


つまり、株式や投資信託、
債券や保険などの金融商品に携わる機会は多く、
長けていらっしゃる一方で、
不動産に実務的な面で触れた経験は少ない。


そのため、相談でアドバイスを求められた際に、
自分が長けている金融分野を中心に
話される可能性が高いのではないか、
ということ。


そして、
自分自身で不動産運用のご経験がないことで、

「不動産は換金性が悪いから、
 ポートフォリオの一部に組み入れるのは
   避けた方が良い」

「借金をして不動産をポートフォリオに組み入れる
 ことはおススメしにくい」

というようなお気持ち、
考えになられている方が多いのかもしれないな、
ということです。


そのことを実感した出来事があります。


ある不動産会社の方と話していた時に、

面談したお客様から、
「FPに今度相談に行くんです。」
と言われた場合、相談後、大体のケースで、
検討を見送るとお返事頂くことが多い。


と言われたことがあります。


もちろん、相談を受けたFPさんが
悪い訳ではありません。


資産運用、運用効率などを勘案して、
取り組むべきではないような内容の
提案を受けていることもあるからです。


ただ、
不動産投資の提案を受けているというだけで、
否定から入られてしまう方もいらっしゃるということも
耳にしたことがあります。


不動産投資=悪、
みたいなバイアスがある方も、
一定数いらっしゃるのかもしれないとも感じます。


そうでなければ、
多くのケースで検討見送りになることはないと、
感じるからです。


私の場合、
同じようなケースで相談に来られた方に対して、
純粋な視点で資料などを拝見し、
セカンドオピニオンという立ち位置で、
良いと伝えるケース、
良くないと伝えるケース、
それぞれ経験したことがあります。


私自身も、
2007年から不動産投資を行っていますが、
区分マンションに特化した経験しかないため、
一棟アパートや戸建ての不動産投資に対しての知見は、
そこまで深くはない、というのが正直な所です。


とは言え、性格による向き不向きは、
資産運用の世界に限らず、何にでもある話です。


また、何を目的にされたいか、
という相談者様の立ち位置から考えた時に、
区分マンションよりも、
一棟アパートや戸建てが向いている
というケースもあります。


FPという存在は、
ご相談者様のお考えを伺い、
お気持ちを汲ませて頂きながら、
極力主観を挟まずにお話させて頂くことが
必要な存在だと私は考えています。


金融商品にせよ、不動産にせよ、
メリットやデメリットを伝え、
選択肢を提示させて頂きながら、
相談にお越し頂いた方の、
これからの道筋を一緒に描く
お手伝いをさせて頂くような存在、
と言い換えても良いかもしれません。


保険は悪い、とか、不動産は悪い、など、
何かを否定することは
一番してはならないことだと考えています。


FPという存在は、ご相談者様のお金の
お話というデリケートな内容を扱うからこそ、

成功というよりは 失敗させたくない

と考えて、
保守的なお話をするケースが多いかもしれません。


不動産投資にも中立的で、
自分でも運用している私の場合でさえも、

「斎藤さんの提案は堅実すぎる」

というご指摘を受けたことさえあります。


先日頂いた冒頭のご質問を、
再度私の中で整理し、紐解きながら
今日はお伝えさせて頂きました。


FPも、私含め、
様々な立ち位置の方がいらっしゃいます。


また先程お伝えしたように、
やや保守的なアドバイスや提案をされることが、
もしかしたら多いのかもしれません。


もし、皆さんが、
FPに相談したいと思われる際は、
相談しようとしているFPさんが、
どんな想いを持っている方なのか、
そして、どんなバイアスがありそうなのか、
という点を意識しながら、
話して頂けると良いのかと思います。


そして、何より大切にした方が良いと思うことは、
話していてストレスを感じないなど、
ご自分との相性が合うかどうか、という部分を見ること。


相性が合わないと感じる方に、
自分の資産状況などを
信頼して伝えたいと思わないですよね。


FPは中立な存在と言われることが多いですが、
人次第で、考え方もバイアスもスタンスも異なるのだ、
ということを忘れずに意識して頂き、
相談する相手を選んだり、話を聞いたりすることが、
失敗しにくい相談につながると
私は考えています。


67 不動産売却を考えたことはありますか?

   
「あなたの物件を、●●万円で買いたい
 法人様がいらっしゃいます」


「●●万円の予算のある方が、あなたの
 物件を買いたいと言っています」


ニュアンスに違いはありますが、
不動産を保有していると、
上記のような内容のDMが届くことがあります。


しかし、DMでのアプローチは、
基本スルーして頂くのが良いです。


例えばですが、
先程伝えた●●万円のような金額の提示には
根拠が薄いからです。


登記簿謄本で所有者は分かっても、

「いくらの賃料で貸し出しているのか?」
「管理費・修繕積立金はいくらなのか?」

などまでは確認しにくく、
特に賃料に関しては確認できないからです。


ありがちなケースとしては、
高めの金額を提示して、
専任媒介契約を結んだあと、
購入希望者が現れないと言いながら、
少しずつ金額を下げていくパターンです。


そうなると、
売却まで時間もかかりますし、
思っていた金額で売却できないことにもつながり、
メリットがかなり薄くなってしまいます。


DMの金額は高めに書かれていることが多いので、
心が動くことがあるかもしれませんが、
もし売却を考えていたとしても、
DM経由では依頼されないことをおススメします。


では、売却することを具体的に考えた場合、
どのようにするのが良いのか?


私なりの結論、意見を申し上げると、

購入した不動産会社さん
賃貸管理を依頼している不動産会社

へ連絡をすること。


この方法が、
王道ではないかな、と考えています。


私の実例も踏まえながら、お伝えします。


実は今、私は1部屋、
売却に向けて動いています。


理由は、管理組合の総会で耳にした話、
やりとりなどを踏まえると、
長期的に修繕積立金が不足する可能性が高いこと。


仮に、
回避するために値上げをするとした場合、
受け取っている賃料に対して、
毎月の管理費・修繕積立金の合計額が
40%くらいになる可能性が高いと感じたからです。


あくまでも長期修繕計画をもとにした話なので、
工事時期の調整をするなどで、
不足は回避できる可能性もあります。


修繕積立金の値上げの話も、
まだ検討事項としてあがっていないので、
現行のまま推移するかもしれません。


「もし」とか「かも」という
推測の話にはなってしまうのですが、
保有継続に対して、前向きな想いが抱けなくなった時も、
売却を考えるきっかけの1つではないかと私は考えています。


そのタイミングがいつ訪れるか分からないので、
不定期にではありますが、
自分の保有物件の査定をして頂くようにしています。


基本、物件の価格は利回り換算で決まる、
というお話はしたことがありますが、
自分と不動産会社さんとの見立ての違いを
知っておきたいという想いも兼ねています。


さて、
現在進行中の売却検討物件の件ですが、
購入した会社以外の所で、
査定をしてもらったことがありました。


査定に関して申し添えておくと、
ネットで良くある「一括査定サイト」を
利用するのは避けた方が無難だと私は考えています。


登録してしまうと、その後、
営業の電話やメールを頻繁に受けるようになるからです。
(過去に経験済です・苦笑)


なので、依頼するのであれば、
信頼できる担当者、会社に、
個別にお願いするのがベターだと考えています。


話を戻します。
その時は、2社に依頼していたのですが、
おおよそ近い金額が両社から提示されていたので、
その価格をひとつの目安にしていました。


今回、具体的に売却検討をするにあたり、
購入した会社さんへ査定をお願いしました。


すると、その査定額は、
予想を上回っていました。


先程伝えた2社から提示されていた
「仲介」での目安価格を、購入した会社では
「買取」の価格時点で上回っていたのです!


一般論の話にはなりますが、
買取価格は、仲介価格の、
おおよそ7~8割くらいになると言われています。


つまり、
仲介価格の方が査定評価は高く出るのですが、
他社で提示された仲介価格を、
購入した会社での買取価格が上回っていたという、
一般論では考えにくいことが今回起きたのです。


そのため、私自身の目線とも合う金額だったので、
今回はあえて仲介で売りに出さず、
買取でお願いすることにしました。


仲介の方が、成約した場合、
価格は高くなるのですが、

●いつ購入希望者が現れるか分からない。

●購入希望者が現れても、
  提携ローンなどの融資を基本的には使えないため、
  現金購入でない場合、
  自分で融資先を探してくる必要がある。

●仲介で成約した場合、成約価格から、
  3%強の仲介手数料がマイナスになる。

などを考えた時に、
仲介手数料をマイナスした価格と買取価格に
大きな差がないのであれば、
買取という選択肢もありだと私は考えています。


実体験をもとにしたお話をお伝えしましたが、
過去に売却を経験した時、
仲介を選んだことも
買取を選んだこともあります。


ただ、いずれにも共通しているのは、
最初にお伝えした、

購入した会社
賃貸管理を依頼している会社

に連絡を取り、
売却のサポートをして頂いたことです。


購入した会社さんにしてみれば、
自信を持って販売したという自負があるからこそ、
売却時にも価格面含めて、真摯に向き合って頂ける。


私は、自分の経験も踏まえて、
そのように感じています。


66 リターンだけを意識していませんか?

   
投資をする上でどのくらいのリターンを求めるかは、
皆さんの考え方や目標によって変わります。


ただ、リターンと合わせて意識した方が良いこと。


それは、「コスト」です。


毎月、ないし、毎年かかってくる「経費」
と言い換えても良いかもしれません。


私が、収入(リターン)を増やすことと
支出(コスト)を減らすこと、
どちらを大切にしますか?ともし聞かれたら、
収入を増やす、と答えます。


支出を減らすことは、もちろん大切ですが、
削れる部分には限界があるからです。


とは言え、収入が増えても、
それに合わせて支出も増える状態になってしまうと、
手残りは変わらないか減ってしまうことさえあります。


だからこそ、支出、コストへの意識も、
必ず持っておく必要があると考えています。


例えば、投資信託を使って、
つみたて投資をする場合。


投資信託には、
保有している間かかってくるコストがあります。
信託報酬です。


投資信託の目論見書などを見れば、
例えば年1%のように必ず記載されています。


拙著でも触れさせて頂いていますが、
年利3%のリターンがある投資信託があった時。


コストにあたる信託報酬が0.2%であれば、
差額の2.8%が実質的なリターンになります。


もし信託報酬が2%であれば、
実質的なリターンは1%になってしまいます。


リターンを求めることを優先する意識は大切なのですが、
保有している間にかかるコストも見ておかないと、
経費倒れのような状態になってしまいます。


長期間保有すればするほど、
リターンが同じくらいの商品の場合、
コストの差によって、実質の手残りの差は広がっていきます。


イデコやNISAなどで、
投資信託を使った資産形成を行っているのであれば、
一度、信託報酬は確認をしてみて下さい。


私の考えとしては、
年利0.5%以上の信託報酬がかかる投資信託は、
ちょっと高いなぁ、と感じてしまいます。


変額保険、変額年金など、
生命保険の中で投資信託を運用するような商品もありますが、
それこそ、コスト倒れになっていないかを、
確認してみることをおススメします。


コスト負けしない、
大きなリターンを得られていれば良いのですが、
変額保険のような商品の場合、
投資信託の信託報酬というコストと、
生命保険会社に払っているコストという
二重のコストがかかっています。


死亡保障がメインだというケースもありますが、
「保障」と「運用」は、同じ箱の中で行わず、
分けて行う方が良いと感じています。


リターンというよりも、
コストの負担を抑えたいというのが、その理由です。


保険も分かりにくいコストがかかっている商品です。
もし今まであまり意識したことがなかったのであれば、
一度確認されてみることをおススメします。


最後に、不動産投資にもコストはつきものです。
不動産の場合は、目に見えて分かりやすいので、
コストへの意識は向けやすいかもしれません。


例えば、区分マンションの場合。


コストで言えば、

● 管理費・修繕積立金
● 賃貸管理委託料
● ローンの利息
● 火災保険
● 固定資産税
● その他設備不具合の交換

などが、主だった所として考えられます。


その中でも、一番意識した方が良いコストは、
毎月払う 管理費・修繕積立金 です。


キャッシュフローとして、
毎月の収支に響き続けるからです。


賃料に関しては、
場所による差が見受けられます。


例えば、都心部であれば10万円超の部屋もありますし、
少し郊外の方へ眼を向けると、
4万円台とか5万円台の部屋もあります。


では、管理費・修繕積立金は、
場所によって、値段の違いはあるでしょうか?


答えは、Noですね。


東京中心部のマンションと郊外のマンションで、
賃料のように、立地の違いで、
管理費・修繕積立金に大きな差が生じることは
考えにくいです。


築年数が経過すれば、修繕の必要性などに応じて、
修繕積立金は値上げされる可能性もあります。


先程の例を使いながら話すと、
仮に、管理費・修繕積立金が月20,000円の場合、
賃料が10万円受け取れるのであれば、手残りは8万円ですが、
5万円の賃料であれば、手残りは3万円です。


この手残りの差は、
物件の価格という点に反映はされるので、
必ずしもどちらが良い、という話ではありません。


ただ、収入に対してのコストの割合という点を考えた時、
コストの割合が抑えられている、
つまり収入の多い部屋の方が、
長期的な視点で見た時には安心感があるのではないか、
と私は考えています。


金融商品、そして実物資産の代表である不動産を例にしながら、
今日はお伝えしました。


様々な投資対象、資産運用の商品は存在しますが、
リターンだけでなく「コストの面」から、
長期的にどんな影響が出そうか。


そんな視点から、一度考えてみるのも
良いのではないでしょうか?


65 金利、気にしていますか?

   
7月末に、
日銀決定会合が開催されました。


結果を端的にまとめると、

● 金融緩和、短期金利はそのまま継続
● 長期金利の変動幅は広げる

という内容でした。


幅を広げると言っても、
0.5%なので、現状を踏まえると、
1%くらまでが、容認する長期金利になる
というイメージです。


私個人の意見として言えば、
まだまだ低金利だな、と感じています。


むしろ、政府や日銀としても、立ち位置的に、
金利を上げたくてもあげられない、というのが、
本音なのではないか、と感じてしまいます。


さて、不動産には融資がつきものです。
マイホームの住宅ローンにせよ、
賃貸用のアパートローンにせよ。


日銀決定会合のニュースなどを見て、
もし金利が上がって、
困ったことになるかもしれない、と感じた場合。


最初にすることは、
金銭消費貸借契約書
を確認することです。


融資を受ける時に、
金融機関と交わしたローンの契約書のことです。


ここでは、変動金利で借りている方を
前提にして話を進めます。


確認する箇所は「基準金利」の所。


短期プライムレートになっていますか?
長期プライムレートになっていますか?


『短期プライムレート』であれば、
現状、気にする必要はありません。


先程お伝えしたように、金融緩和継続で、
短期金利は政策に変更なしなので、
今すぐに影響が出ることは考えづらいです。
※金融機関内部で変更があった場合は、
個別の話なので割愛させて下さい。


当面、今借りていらっしゃる、
低金利を享受しながら、
住宅ローンの返済、アパートローンの返済を続けて下さい。


『長期プライムレート』になっている場合。


今の所、先程伝えた、変動幅の上限である、
1%にまであがっていないので、
いきなり大きくあがることは考えづらいと思います。


ただ、金融機関の個別判断で、
例えば9月とか10月とかに、
若干上げてくる可能性はありえます。


とは言え、それほど大きく、
困ったというような影響が生じてくるとは考えにくいのでは?
と、私は考えています。


例として、今回広がった変動幅と同じ、
0.5%の金利アップがあったとします。


当初、2,000万円を2%の金利で35年
借りた方が、5年返済が進み、
残高が1,800万円になったケースを考えてみます。


この場合、当初の返済額は毎月66,252円です。


その後、5年経過して、残高1,800万円の時に、
金利が0.5%アップして2.5%となった場合、
毎月の返済額は、いくらになるでしょうか?


答えは、71,121円です(2.5%、残り30年)


5年後に0.5%金利があがることで、
毎月の返済額は、
約5,000円増えることになります。


あなたは、毎月の返済が5,000円増える、
つまり、毎月のキャッシュフローが
5,000円少なくなると聞いて、
そんなに減るのと感じましたか?
そこまでインパクトないと感じましたか?


どのようにローンを組まれているかなど、
立場によって感じ方は異なると思いますが、
5,000円キャッシュフローが減ることで、
ものすごく大打撃、来月から生活が成り立たなくなる、
ということには、
なりにくいのではないでしょうか?


また一方で、
金利が0.5%あがったとしても、
毎月の返済額をあげないように、
この5年の間に、繰上返済の原資を作って備えておく、
という方法もあります。


先程の例を使って伝えますが、
仮に5年後に2.5%にあがった時でも、
毎月の返済額を、
当初の66,252円のまま据え置くためには、
いくら繰上返済をする必要があるでしょうか?


答えは、約120万円です。


5年で120万円ということは、
1年あたり24万円、月当たり2万円
ということになります。


そう考えると、例えば、月に2万円、
NISAでつみたてなどを行っておくことが、
結果的に金利上昇への備えになるかもしれません。


仮に、毎月2万円をNISAでつみたてて、
5年間、年利3%で運用できた場合。


5年間の元本120万円は、
いくらになっているでしょうか?


答えは、約129万円です。


短期間なので、そこまで大きく
増えている訳ではないですが、
預貯金に置いておくよりは良いのではないか、
と私は感じます。


もし金利があがって、
キャッシュフローを保ちたい場合は、
NISAで運用していたお金を
繰上返済の原資にしても良いですし、
仮に、金利があがらなかったり、
あがっても許容できる範囲であれば、
そのままNISAの運用を継続していけば良い話です。


このように考えてみると、
不動産ばかりに資産が偏るのは避けて、
金融資産での資産形成も並行して行うこと。


全体のバランスを考えて、
資産運用、資産形成に取り組むことが大切だということを
改めて感じて頂ければと思っております。


先々の金利がどう変わっていくか、
どんな推移をしていくかなどの未来ばかりを考えて、
不安な想いになるのは、
今を楽しめないことにも繋がってしまいます。


だからこそ、低金利が続くならそれを享受し、
仮に上がり始めたとしても、
それに対応できるように備えておくことが大切だと
私は考えています。


その意味で、大谷選手ではありませんが、
不動産とNISAの二刀流で資産運用を行っていくことが、
面白味はないかもしれないですが、
王道ではないか、私はそのように感じています。


64 不動産投資と相性の良い制度

   
私は、不動産のご相談をメインにお受けする、
ファイナンシャルプランナー
として活動させて頂いております。


資産運用、資産形成という点でも、
2007年より、区分マンション投資をスタートし、
途中でやめることなく、続けています。


これも、自分が楽しく取り組むことができ、
相性が良かったからだと感じています。


不動産投資、大家業は好きだし、
メインとして行ってはおりますが、
資産運用、資産形成という点では、
不動産だけに取り組んでいる訳ではありません。


今でいうイデコは2004年から行っていますし、
つみたてNISAや金の積立など、
お金の置き場の分散にも注意を払って取り組んでいます。


そんな私が、不動産投資、
大家業と相性が良いと感じている制度。


それは、
NISAでのつみたて」です。


短期間で大きな利益が出るようなことはないですが、
10年、20年という時間を活用した資産運用の方法、
という点で、
不動産投資と共通しているな、と感じています。


不動産投資とNISAでのつみたての二刀流が、
どんな効果を生むのか?


考え方の1つとして、今日はお伝えします。


融資を利用して物件を購入し、
不動産投資を始めた方を例にあげます。


45歳で、2,000万円を金利2%、
35年借りたケースを考えてみます。


65歳で年金を受け取ると想定し、
20年後を考えてみます。


当初借り入れた2,000万円の元本は、
途中で繰上返済をしなかった場合、
20年後の65歳時点で、
いくらになっているでしょうか?


答えは、「約1,030万円」です。


空室の期間が発生することがあるので、
100%入居者さんに返してもらったとは
言えないかもしれませんが、
20年間で、借り入れた金額の約半分を、
他者の力を借りて資産が増えたことを意味します。


つまり、20年で約970万円のつみたてを、
自分の元手をほぼ使わずにできた
ということを意味しているとイメージして下さい。


また、このケースの場合、
元本と利息の毎月の返済額は
「約66,000円」になります。


途中で返済額軽減型の繰上返済をした場合、
100万円ごとに、年間の手取りは約4万円増えます。


つまり、繰上返済をすることは、
約4%のリターンを得ることにもつながるので、
他に良い資金の運用先などが思い当たらない場合は、
返済額軽減型の繰上返済を行うことも、
資産運用の1つの方法だと私は考えています。


次に、
NISAでのつみたての話をします。


仮に、毎月3万円を20年間、
年利3%の複利運用ができた場合、
20年後、元本の720万円はいくらになっているでしょうか?


答えは「約980万円」です。


20年で、約260万円の運用益が出ることになりますが、
NISA口座内の利益なので、課税はされず、
運用益をまるまる享受することができます。


ここで、
気づいて頂けましたでしょうか?


不動産投資で借りた残債は、
20年後に約1,030万円に減っている。


NISAでつみたて運用したお金は、
20年後に約980万円に増えている。


約50万円の差額は生じていますが、
20年運用を続けたことで、
金融資産を残債とほぼ同額に近い金額を用意できるのです。


この時に、一括完済をすれば、
借入のない不動産からの賃料収入を
年金の上乗せとして受け取ることができるようになります。


あるいは、20年後の時点で不動産を売却する。


残債以上で売れる可能性が高いので、
そこで得た手取り金額を、
NISAでの運用に回し、
NISAでの運用を継続しながら、
年金の補完として毎年一定割合ずつ、
取り崩しながら使っていく、
という選択をすることもできます。


このように、
不動産投資とNISAでのつみたては、
相性の良い組み合わせだと私は考えます。


今回は、イメージしやすいように、
20年でNISAでつみたてた資産と
残債の残高がほぼ同額になるケースをお伝えしましたが、
必ず20年必要と言う訳ではありません。


10年でも15年でも効果はありますし、
皆さんの資産背景なども考えると、
個別にいろいろな選択肢が考えられます。


例えば、

● 退職金を受け取った(受け取る予定)
● 相続などで資産を引き継いだ
● イデコや小規模共済などの制度で
 築くことができた資産がある

などです。


今日の内容が、あなたの資産運用、
資産形成のひとつのヒントになれば嬉しいです。


63 相続税の試算、したことはありますか?

   
「マンション節税 防止へ」
先日の日経新聞の1面の見出しです。


どうしてもメディアなどは、
目をひくことを意識しながら記事を書くと思われるので、
致し方ないとは思います。


ただ、不安を煽るかのような書き方だけは、
できれば避けて頂きたいな、というのが、
1読者としての願いです。


さて、冒頭の「マンション節税」ですが、
相続税に関しての評価の計算方法を改訂しよう、
という国税庁の動きがあることが背景です。


株式相場とは異なり、
不動産は個別性が強いです。


仮に同じマンションだとしても、
階数や部屋、売りたい事情などが異なれば、
価格にも差が出てくるのが、
不動産の個別性であり面白さでもある、
と私は考えています。


ただ、税金的な観点からは、
個別性という恣意性を持たせてしまうことは
公平性に欠けるという視点からでしょうか。


建物に関しては、固定資産税評価額。


土地に関しては、
路線価と土地の持ち分で計算した価格。


これが、相続税の評価額になることで、
実際の売買価格と相続税の評価額に乖離が生じている。


この乖離の差を小さくし、
過度な相続税の節税を防ごう、
というのが今検討中の内容です。


と、ここまでは、今回の概要的な部分を、
かいつまみながらお伝えしました。


ただ、私がここでお伝えしたいことは、

「今回の見直しで、
 計算ルールが変わることで、
 影響が及ぶのは、ごく一部ではないか」

ということ。


つまり、インパクトのある見出しで注目は集めていますが、
実際に影響を受けるのは、
いわゆるタワーマンションの高層階を、
投資、節税目的で購入しているような方に、
ある程度は絞られてくるのではないか、ということです。


これを機会に、参考として、
所有している賃貸物件の1部屋を試算してみました。


横浜駅から徒歩8分、11階建ての9階。
築37年の23平方メートルの賃貸中の部屋です。


固定資産税評価額は約210万円。


土地の評価額は、
土地の持ち分が、約5平方メートル。
路線価が53万円なので、
53万×5=約265万円。


合計すると、475万円でした。


建物割合が約45%。
土地割合が約55%です。


実勢価格がいくらになるのか、というのが、
正確には不動産鑑定士さんなどに
依頼する必要があるのかもしれませんが、
購入したのが7年前くらいなので、
当時の購入価格より少し高く見て1,000万円と仮定します。


すると、
1,000万円÷475万円=2.10
となり、
今回の計算方法の見直しに該当してしまいました。


この場合、
実勢価格の約60%で計算されることとなるので、
相続税評価額は約600万円。


当初の475万円より、
約130万円増えてしまいました。


とは言え、
この600万円に対して相続税が計算される訳ではなく、
借家権や借地権という割合が差し引かれることとなります。


すると、

● 建物:600万円×45%×(1-30%)=189万円
● 土地:600万円×55%×(1-70%×30%)=260万円 
合計で約449万円。


今までの計算方法だと、
約360万円だったので、約90万円くらい、
計算上の相続税評価額は増えることが分かりました。


実際には、複数部屋所有していますから、
合計した時にどうなるかまで
まだ試算はできていませんが、
相続税の基礎控除を勘案したり、
他の金融資産や借入の残高などを加味しても、
実勢価格との乖離が大きい部屋を持っているような方と比べれば、
影響は最小限に抑えられるな、と感じました。


不安や怖さ、恐れは、
理由や内容が分からないことが原因で
生じることがほとんどです。


なので、
もし今回のような記事や内容が出て、

「私は影響ないかな…大丈夫かな…」

と、感じるようなことがあれば、
試算してみることで、気持ちや心構えにもつながり、
不安な想いを安心に変えることにもつながります。


先月には、
2023年の路線価も公表されました。


場所にもよりますが、
上昇傾向だとも言われています。


今すぐ相続は関係ない、相続税は影響ない、
と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、
自分が保有されている物件を見て、
評価額の試算、不動産に限らず、
金融資産もどのくらいあるのかなどの確認などをしてみること、
おススメします。


62 キャッシュフローの大切さ

   
「3泊4日!」と聞いて、
何を思い浮かべますか?


私もそうですが、
「旅行」などを思い浮かべる方が多いのではないか?
と感じます。


そういう前向きな休暇であれば嬉しいのですが、
「3泊4日」の入院をすることになってしまいました。


小学校の時に、扁桃腺の手術で入院して以来です。


唯一加入している「医療保険」から、
はじめて、入院給付金を受け取る機会にもなりそうです。


ずっと保険料を払っていただけだったので、
こういう時には、少し受け取らせて頂いても良いのかな、
などと楽しみにしています(笑)


と、少し前置きが長くなってしまいましたが、
入院するということは、
仕事から離れることとなり、
収入が途絶えることにつながります。


会社勤めの方であれば、
有給休暇や健康保険からの「傷病手当金」などを活用することで、
収入の補填ができるかと思います。


FPらしく(笑)、
傷病手当金について、少しだけ触れておきます。


おおまかに言えば、
3日連続して病気やケガなどで働けなかった時に、
4日目から最長1年6ヶ月、
月額給与の3分の2を支給してもらえる、という制度です。
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g3/sb3040/r139/


仕事上で病気やケガをした場合は、
労災保険からの給付があるので、
この傷病手当金は、
仕事と関係ない所で病気やケガなどをされて、
休むことになった場合が対象です。


また、上記で私がお伝えしたように、
保険会社の「医療保険」に入っていらっしゃれば、
保障内容に応じた給付も受けられます。


と、会社にお勤めの方の場合、
収入減を補える仕組みがあるのですが、
私のような自営業の人間にとっては、
有給休暇も傷病手当金もありません。


ただ、私の場合、
このメルマガをお読み頂いている方はご存じかと思いますが、
不動産投資、大家業を2007年から行っています。


空室にならない限り、
保有している部屋が稼ぎ出してくれる
賃料収入」というキャッシュフローがあります。


他にも、株式などの金融資産にもお金を置いており、
そこから少額ではありますが、
配当金や分配金を受け取れる仕組みも作っています。


私自身が休まざるを得なくなったとしても、
お金を運んでくれる仕組み、
キャッシュフローが途絶えにくい仕組みがあることで、
ありがたいことに、入院のことを言われた時でも、
お金のことを過度に気にかけることはありませんでした。


そう考えると、資産運用の中でも、
キャッシュフローを意識して取り組むというのは、
私的な保険を作っているようなことなのかな、
とも思ったりしました。


先程お伝えした、
「傷病手当金」のような仕組みを、
自分で作っているようなイメージです。


最近、株式投資の世界では、
高配当株の存在が注目されていますが、
不動産からの家賃にせよ、
お金の流れを産み出すことを意識した資産運用は、
保険のような気持ちの安心感を抱かせてくれるのだな、
と改めて最近思いました。


よく用いられる例として分かりやすいので、
コップの例を使います。


コップに入っている水。


そのコップからあふれ出た水を飲んで、
中身を減らさなければ、
あふれる状態を継続できる。


これが、
キャッシュフローを意識した運用スタイルです。


配当金や分配金のようなあふれた水を飲まず、
それがあふれないように、
コップそのものを大きくしていく、
水の入っている器を大きくしていくというのが、
再投資、複利効果を得られる運用スタイルだと
私は考えています。


仕事を休まざるを得なくなるなど、
自分が動きにくくなった時に、
効果のある運用スタイルは、
コップからあふれた水を味わうキャッシュフロースタイル。


そして、コップそのものを大きくしていく複利、
再投資スタイル。


これらのスタイルは、効率的ではありません。
1ヵ月とか1年とかでできる仕組みではないので、
時間と忍耐が必要にはなってきます。


ただ、これらが積みあがってくれば、
私的な保険のような安心感があり、
お金面の不安を和らげてくれる、
大きな効果をもたらしてくれるのではないかと私は思うのですが、
どう思いますか?


61 マンションに係る固定資産税の減額措置

   
昨年12月に発表があった「税制改革大網の内容」。


その中に、
マンションに係る固定資産税の減額措置
というものがありました。


区分マンションの大家をしている私としては、
見逃せないテーマです。


さて、どんな内容か?


令和5年4月1日~令和7年3月31日までの間に、
マンションの長寿命化を図る大規模修繕工事を行い、
市町村に申告すると、
翌年度のマンションの家屋の固定資産税が
6分の1~2分の1減額される。


という内容です。


とは言え、
ただ大規模修繕工事を行えば良い訳ではなく、
都道府県から長期修繕計画を認めてもらったり、
指導を受けて見直した場合、
という条件もついています。


つまり、
マンション全体の未来の維持管理の計画を適切に立てて、
それに沿った形で行った大規模修繕を行った時には、
その翌年の固定資産税を減額します、
という内容だと私は捉えました。


● 管理が行き届いていないマンション
● 修繕積立金が貯まっておらず、
 修繕したくてもできないマンション


があることを、
あなたも耳にしたことがあるかもしれません。


そんな状態が続くと、
マンションは朽ち果てる方向に進んでしまい、
住む方もいなくなり、廃墟と化してしまいます。


そうなる事態を未然に防ぎ、
築年数が経過しても、
住まいとしての維持管理ができるように保つことを
後押ししようという意図のもと、
税制改正大綱に
固定資産税の減額という形で盛り込まれたものと思われます。


偶然ではありますが、
私が保有しているマンションで、
現在大規模修繕工事の計画が進んでいます。


住宅供給公社のサポートを頂きながら、
工事業者さんの選定など含めて進めており、
もしかしたら結果的に、
タイムリーに恩恵を受けられるかもしれないと感じました。


私の場合、現在築36年で長期修繕計画もあり、
修繕積立金が不足する可能性も低いので、
安心感を持って、
大規模修繕工事の実施に向けて動いて頂いています。


それでいて、もしかしたら、
固定資産税が1年だけだとしても、
減額の恩恵を受けられるかもしれないのであれば、
これは嬉しい話だと感じています。


修繕積立金が不足するようなマンションだったとしても、
建物全体で抑えられる固定資産税の各部屋の負担分を
大規模修繕に回すことができれば、
住まいとしての価値を伸ばせることにもつながりますよね。


大規模修繕工事で、
資金が不足する可能性があるなどの懸念が出てくるのは、
2回目以降だと言われることが多いです。


築年数にすると、
20~30年前後になるでしょうか。


もし、皆さんの保有しているマンションが、
大規模修繕をしないといけない時期に入っているのであれば、
長期修繕計画含めて、
検討していくのも良いかもしれません。


税制改正大綱に盛り込まれただけなので、
実際にスタートはしていませんが、
検討をする時期なのであれば、
これを機にスタートするのも良いのではないか、と思います。


また、減税の対象期間が示されてはいますが、
今後、期間限定ではなく、
延長する可能性も高いのではないか
とも私は感じています。


マンションは、住まいとして、
大切な社会インフラとして、
欠かせない存在になっているからです。


住まいとしてにせよ、投資としてにせよ、
マンションを保有しているのであれば、
区分所有者として、
社会インフラの一部を担う役割も持っている、
と私は考えています。


税制改正大綱を通してですが、
マンションという社会インフラを、
税制の面でも後押ししようという動きが見えてきました。


皆さんがお持ちのマンションも、
住まいとしての価値を末永く維持できるように、
区分所有者の1人として、共用部の管理に関しても、
意識を向けることを忘れないで頂きたいです。


60 資産と資産の違い

   
資金と資産。


私なりに考えている異なる点としては、


「保有していることで、お金を産み出し、
   価値が高まる可能性があるかどうか」


です。


その点で言うと、
お金という状態で保有しているのは、
私は、「資金」だと考えています。


預金通帳に預けたり、外貨をFXなどで保有することで、
利息やスワップポイントなどが少なからず産まれるので、
資産と言えるかもしれません。


ただ、円貨や外貨という状態で保有しているだけでは、
価値そのものがあがることはありません。


外貨の場合、円高や円安で価値が変わるかもしれませんが、
それはあくまでも相場の変動で、
円換算した時の価格が変わるだけであって、
1ドルは1ドルのまま変わらないという点で、
価値があがらない、と私は捉えています。


そう考えると、
資金の状態である円貨や外貨を、そのまま保有しておくのではなく、
他の「資産」と考えられるものに変えておくことが大切ではないか、
と私は考えています。


王道、代表的な資産として考えられるのは、
「株式」や「不動産」です。


配当や賃料が産み出され、
需要と供給のバランス、会社の業績、
物件の管理状態などの客観性を踏まえながら、
資産価値が変動するというのが理由です。


もしお金のようなものであれば、
せめて貨幣ではなく、
アンティークコインや金貨など、
日本円やドルなどの印字がなされていないモノなら、
まだ良いかもしれません。


※保有しているだけではお金を産み出さないので、
その点で資産であるとは、私個人的には考えていません。


客観的な評価、需要と供給のバランスで資産価値が決まり、
保有を継続していることで、資金を運んできてくれるモノ、
それこそが、
金銭的な面での「本当の資産」であると私は考えていますが、
皆さんはどのように思いますか?


59 野球に例えると中継ぎです

   
先日、勉強会に参加しました。
その時の話がすごく参考になったので、
シェアしながらお伝えします。


大枠としてのテーマは、
「老後資金の準備を不安なく行うには?」
というイメージで、お読み頂ければと思います。


キーワードとしては、「WPP」

「Work longer」
「Private pensions」
「Public pensions」

この3つのワードの頭文字が「WPP」です。


野球に置き換えながら伝えると、

就労延長が先発
私的年金が中継ぎ
公的年金保険が抑え

という内容です。


元気なうちは少しでも長く働き、
公的年金保険は可能な限り繰り下げて受給額を増やし、
リタイア後と繰り下げ、
受給開始までの間のつなぎに私的年金を投入する。


というのが、内容のイメージになります。


つまり、
不動産投資をはじめとして、
自助努力で作り上げた資産は中継ぎで投入し、
公的年金までのつなぎを補えるように準備しましょう
という内容です。


FIREのような言葉が広まり、
それを目指したいという方も増えているかもしれませんが、
私は、この「WPP」の話を聞いて、
うなづける部分が多かったです。


就労延長の部分に関しては、
収入面ももちろんありますが、
自分自身が社会から必要と感じてもらえるという、
心身の健康という側面にもつながるので、
良いと感じています。


嫌な仕事をやらざるを得ないという状況で
続けるのは避けたいですが、
将来的には、それこそ月に5万円でも10万円でも、
体と頭をつかって、
やりたい、好きだと感じる就労を継続するというのは、
社会的にも良いことではないか、と私は考えています。


できる所までやる、という意味で、
先発投手的な位置づけが、就労延長です。


抑えにあたる、公的年金保険に関しては、
「繰り下げ受給」を活用しましょう、
という意味合いです。


現状、65歳以降の繰り下げ受給を選んでいる人の割合は、
どのくらいだと思いますか?


厚生労働省の発表によると、
基礎年金で2.6%、
厚生年金で1.6%とのこと。


私自身、20年くらい先になるのですが、
繰り下げ受給を選ぼうと考えているので、
思ったよりも少ないな、という印象を受けました。


繰り下げをして、
受け取れる年金を増やすということは、
収入が増えることにつながります。


収入が増えることは、
健康保険や介護保険、所得税などの負担が増えることにつながる
という側面はありますが、
それを差し引いても、
公的年金の受給額が増えるというのは、
安心感をもたらしてくれると思うからです。


公的年金の良い点は、
亡くなるまで一生涯受け取れること。


つまり、残高などを気にすることなく、
生涯にわたって収入をもたらしてくれる仕組みというのは、
精神的な不安を和らげてくれるのではないか、
と感じています。


繰り下げの場合、
65歳から1ヶ月ごとに、
受け取れる年金額は0.7%増額されていきます。
1年に換算すると8.4%です。


資産運用で、
年利8.4%のリターンを得ようとすると、
なかなか大変ではないでしょうか?


そのリターンを、
国が保証してくれているのが、
公的年金の繰り下げ受給です。


しかも、増額された年金額は、
生涯にわたって受け取れるので、
一考の余地はあると私は思います。


これが公的年金が抑え、
と位置付けられている理由です。


そして、
就労延長と公的年金の間の、
中継ぎに位置付けられているのが、私的年金。
運用など自助努力でつくる資産です。


イデコやつみたてNISAなどが
話題として取り上げられることが多いですが、
外貨の保有や金の積立、
実物資産の代表格である不動産など、
種類、方法は様々です。


どれを選ぶかは、
その人の好みによるので正解はありませんが、
この私的年金の中継ぎ対策としては、
「インカム対策」を行うのが良いのではないか、
と私は考えています。


一番思いつきやすいのは、
株式の配当や不動産の賃料収入ではないかと思います。


この配当や賃料収入に焦点をあてて、
中継ぎ対策をすることのメリットとして私が思うのは、
中継ぎだけでなく抑えにもつながる
と考えているからです。


お金は使ってこそ価値があるので、
貯め続けるだけは良くないです。


ただ、今まで積み上げてきた資産を
使うのが良いと頭では分かっていても、
精神的な側面としては、
残高が減ることは不安感の種にもなりかねないと思います。


抑えとしての繰り下げた公的年金が
あると分かっていたとしても、
一定の資産は、何かの時のために備えてとっておきたいのが、
心情ではないでしょうか?


そう考えた時、
定期的な収入を産み出してくれる
株や不動産のような資産を中継ぎ対策として持っておくことは、
この残高の減少という不安感を和らげてくれると思います。


仮に売却して取り崩すにしても、
そのペースを遅らせることにつながると思います。


さらに良いと感じている点は、
中継ぎとして取り崩さずに済んだ資産があれば、
抑えである公的年金の上乗せとして、
定期収入を継続できるという点もあります。


だからこそ、
私的年金づくり、資産運用や資産形成は、
そのプロセスにおいても、
実際に活用することになる将来においても、
「インカム収入」
つまり定期的な収入をもたらしてくれる資産を中心に行い、
積み上げていくことが
安心感につながるのではないでしょうか。

58 資産運用の目標を決めていますか?

   
お会いする方から、
「今後、どんな風に事業展開したいと考えていますか?」
「どんな夢や目標があるのですか?」
と聞かれることがあります。


そんな時、私はいつも答えに窮しています。


その時々で、
自分に求められている役割をこなしていくこと。


その積み重ねを経て、新しい何かを見つけていく、
としか考えられていないからです。


そうなんです。
私には、かっちりとした夢や目標がないのです。


皆さんには、
夢や目標、ありますか?


はっきりと想い描けることがあるのは素敵だな、
と思いますが、
みんながみんな、言葉で言い表せるわけではないのでは?
と私は感じています。


これは生き方に限らず、
資産運用や資産形成でも同じだと考えています。


なので、はっきりとした目標、
決めなくても良いのではないでしょうか?
というのが、私のスタンスです。


セミナーなどでは、闇雲の行うのは良くないので、
ある程度、考え方のヒントなどをお伝えすることはあります。


例えば、不動産投資、大家業で、
将来に備えて資産運用を行う場合。


ねんきん定期便などで知ることができる、
公的年金の受け取れる見込額



生活費としてかかるであろう支出の見込額


その差額を、賃料収入で補えることを目標に、
何部屋保有するのを目指すかを考える。


という具合です。


あるいは、
65歳までの20年間で2,000万円を貯めたい場合。


イデコやつみたてNISAなどを利用しながら、
年利3%の運用を複利で行うことを目指す時、
毎月の積立金額は約63,000円になる。


という具合です。


目標を決めれば、それに向けて努力するのが人間です。
その点で、はっきりとした夢や目標を描くことができる方は、
それがエネルギーややる気につながります。


ただ、目標をかっちりと決めすぎてしまうことが、
反対にプレッシャーになってしまう方も
いらっしゃるのではないでしょうか?


先程の例で言えば、


「差額を埋めるために、
不動産の部屋を何部屋持たなければいけない…」


とか


「毎月63,000円、積立に回さないといけない…」


みたいなイメージです。


ある程度の目標がなければ前に進めないので、
方向性を決めることはもちろん必要です。


ただ、一度決めた目標を貫くために、
今が厳しく、しんどく感じてしまうのであれば、
それは本末転倒としか言えません。


今できること、今でないとできないことを
楽しむために使うお金が、
つみたてに回し過ぎてなくなってしまう。


とか


良い物件と出会えず、日時が過ぎていくことに、
焦りを感じてしまう。


みたいなイメージです。


資産運用や資産形成は、
今の楽しみをある程度犠牲にして
将来に備える行為ではあると思います。


ただ、そのバランスが崩れてしまい、
備えることばかりに注力してしまうのは、
大切な今という時間を充実させられない
ことにもつながりかねません。


備えることは必要ですが、
今に無理や焦りが生じてしまうのであれば、
最初に決めた目標は、
その時に応じて微修正しながら進んでいくという、
柔軟なスタンスでいることが良いのではないか、
というのが、今日一番伝えたかったことです。


「present」という英単語があります。
「今」という意味と共に、
「贈り物」という意味もあります。


今生きていることは、
時間というプレゼントを
受け取っていることなのかもしれません。


57 管理会社との付き合い方

   
先日、日本賃貸住宅管理協会によるセミナーがあったので、
足を運んできました。


名前の通り、入居者さんとのやりとりなど、
「賃貸管理」をする会社が会員として
主に所属している団体です。


そのセミナーの中で、
全国賃貸住宅新聞社の編集長でいらっしゃる、
永井さんのお話が、特に参考になりました。


この全国賃貸住宅新聞社さんは、
「週刊全国賃貸住宅新聞」や
「月刊家主と地主」
などを発行されています。


ご縁があって、
数回、私も取材頂いて、掲載頂いたことのある媒体です。
https://ameblo.jp/jigen112jp/entry-12605210335.html


私自身、定期購読まではしていませんが、
「家主と地主」は発売されると
書店で立ち読みか購入して目を通しています。


どちらかというと、
一棟の賃貸経営に関する目線が多い内容の媒体ですが、
一度、目を通してみることをおススメします。


そんな媒体の編集長、
永井さんのお話のテーマは、
「管理会社と上手に付き合う 家主の共通点」
でした。


賃貸管理会社は、
大家である私たちの収入の源泉、
家賃の回収入居者さんとのやり取り
最前線にいて下さる方達なので、
安定した不動産投資、大家業には欠かせない存在です。


だからこそ、上手に付き合うことが大切ですし、
私も本当にそう感じています。


永井さんがセミナーの中であげられていた共通点は、
次の3つです。


(1)話を聞く
(2)必要経費をケチらない
(3)事業パートナーという意識


全体として、
人間関係や仕事を円滑に進めていくために必要なことと
相通ずる点が多いな、と感じました。


1つずつ、お伝えします。


1つめの「話を聞く」ですが、
最初に言われていたのが、
「頭ごなしに怒らない」ということ。


例えば、管理会社の対応にミスが生じたような時、
原因は何か、対応をどうするかを一緒に考え、
どのように改善していこうとしているかをまずは聞く。


怒りの感情に任せて、荒い言葉遣いをせずに、
冷静に対処を考えていく姿勢が大切。
とおっしゃっていました。


管理会社の担当者さんは、
あなたの部屋だけを
担当している訳ではありません。


他のお部屋の管理などと並行して
対応をして頂いています。


そんな中、無理難題を伝えたり、
荒い言葉遣いをされるような大家さんのお部屋だと、
心証を悪くしてしまいます。


「報告したくないな…」
「あまり話したくないな…」


そうなってしまうと、
長期的に継続した信頼関係は築きにくくなってしまいます。


あたりまえ過ぎるように聞こえるとは思いますが、
これって本当に大切だな、と改めて感じました。


2つめの「必要経費をケチらない」ですが、
空室になった時に行う工事を提案された時などに、
金額だけを見てすぐに判断しない、
ということです。


例えばですが、
80万円の工事と聞いて内容を勘案せず、
金額だけで高いと判断し、
必要最低限の工事だけをしてもらう。


その後、仕上がった状態を見てから
「ああした方が良かった。こうした方が良かった…」
と感じて、追加工事を発注することになった。


その結果、手間もかかり、
1回であれば80万円で済んでいた工事が、
むしろ高くついてしまった、
そんな事例をあげられていました。


不必要に過剰な工事をするのはご法度ですが、
空室はむしろバリューアップなどができるチャンスだと
私は考えています。


空室時だからこそ、空室時でないとできないことを、
金額という額面通りのことだけで判断せず、
長い目で見て、入居者さんに選び続けて頂ける部屋作り、
という視点も含めて判断することが必要だ、
と改めて感じる事例でした。


それが、ひいては、
管理会社さんとも長期的に良好な関係を築けることに
つながると感じるからです。


3つめの「事業パートナーという意識」、
これは、原因を確認して紹介しやすい環境を作る、
ということです。


具体例で言えば、
入居者さんがなかなか決まらない時、
管理会社さんを頭ごなしに責めたりするのはNG、
という意味合いです。


決まらない原因が、
「賃貸募集そのものにあるのか?」
「内見をしに来てくれているのに、決まらないのか?」
など、入居者が決まらない原因を、
お互いに一緒に考えていく。


その上で、管理会社、大家、
それぞれがお互いにやれることは何かを考えて動く、
というイメージです。


リノベーションをしてみることで、
賃料をあげて募集をかける。


とか


家賃設定・相場を再確認して見直す


などの対策を一緒に考えることで、
大切な収入源である家賃を、
少しでも早く発生できるように努める。


入居希望者さんに選んで頂ける部屋、
賃貸募集で紹介してもらいやすい部屋にすること。


賃貸管理会社さんも、
入居者さんがいてはじめて管理手数料を得られるので、
そのような対策をすることで入居者さんが決まれば、
自分たちの収入にもつながる。


その点で、管理会社さんと私たち大家は、
同じ方向を見据えている事業パートナーなのです。


そんな視点を忘れないことの
大切さを改めて感じました。


以上、3つの共通点を
あげながら話をされていました。


再度伝えてしまいますが、
管理会社と上手につきあう共通点の3つは、
話として聞けば、
すごくあたりまえのことのように聞こえます。


ただ、自分がその渦中の当事者になった時、
できるだけ支出は抑えたい想いから、
必要経費を出し渋る。


反対に賃料に関しては、
少しでもたくさん得られるように、
金額をあげて募集して決めて欲しいと、
管理会社さんが頭を悩ますような要望を
伝える方がいらっしゃるということを、
私自身、管理会社の方から耳にしたことがあります。


他人のふり見て我が振り直せ、ではないですが、
100部屋でも50部屋でも1部屋でも、
賃貸用の部屋を保有されていれば、
大家さんであることに変わりはありません。


賃貸管理会社さんとの付き合いがあるのであれば、
良好な関係を長く継続できるように、
少しでも参考になる部分があれば、取り入れてみて下さい。


ぜひ一度、
アンコンシャス・バイアスのせいで、
動けていないことがないかなど、
考えてみるのも良いのではないか、と思います。


56 縛られてる思い込みはありませんか?

   
「アンコンシャス・バイアス」


この言葉、ご存知でしょうか?


直訳すると「無意識的な偏見」という意味合いですが、
過去の経験や見聞きしたことを踏まえて、
知らず知らずのうちに備わっている
「ものの見方」「理解の仕方」
というようなニュアンスです。


1つ例をあげてみます。


トラック運転手と保育士の夫婦の場合、
家事や育児は、
保育士にばかり負荷がかかるから大変だ!


上記の文章を読んで、
どのようなことを思い浮かべましたか?


いろいろな捉え方があると思いますが、
私が初めてこの文章を読んだ時に、
思い込んでしまったこと。


それは、
トラック運転手=男性、
保育士=女性
ということです。


家事や育児が保育士に負荷がかかっている、
という表現にひきずられてしまったからだと
今振り返ると感じています。


ただ、この文章には、
そんなこと、どこにも書いていません。


今回の場合、
トラック運転手=女性、
保育士=男性
ということもありえますし、
保育士に家事や育児の負担がかかるとも
当然言い切れません。


この文章の場合、
男女に対するアンコンシャス・バイアス、
職種に対するアンコンシャス・バイアスが働いた結果、
勝手な思い込みが生じる可能性を示してくれる、
ひとつの例だと考えています。


そんな、
アンコンシャス・バイアス、思い込み。


資産運用や資産形成、お金に対しても、
いろいろとあるのではないか、
と私は思っています。


資産運用という言葉を聞いた時、
「怖い…」
「損しそう・・・」
「必要だと思うけれど、お金がないからまだ始められない…」


など、ネガティブなことを思い浮かべる方が
多いような気がしています。


不動産投資という言葉を聞いた時には、
「借金をするのが怖い…」
「空室になったら困る…」
「不動産屋さんに騙されそう…」


みたいなことを思い浮かべる方が、
多いように感じています。


この言葉を目にしたり、耳にした時、
あなたならどう思いますか?
どのように感じますか?


今の私であれば、
それは、「思い込み」
今までに見たり聞いたりした情報だけから生じている
「アンコンシャス・バイアス」ではないですか?
と、感じます。


今は、様々な媒体で色々な情報があふれているので、
だいぶ変わってきているとは思いますが、
メディアなどでニュースとして
取り上げられる話題としては、
ネガティブなことが多いです。


そのため、無意識的に、
資産運用や不動産投資などに関しては、
ネガティブなインパクトを
知らず知らず受けている方が、
まだまだ多いように感じています。


日本人の金融資産の約半分が、
預貯金に偏っているという事実の一端に、
資産運用やお金に対してのマイナスイメージが
思い込みとして根付いていることも
あるような気がしてなりません。


人は、居心地が良いと感じたり、
現状維持したりすることを選びがちで、
変化を嫌う生き物だと思います。


だから、
資産運用や不動産投資へのアンコンシャス・バイアスを、
無理に変えた方が良いとまでは考えていません。


ただ、ここ数年、
イデコやつみたてNISAの口座数が増えていることからも、
興味や関心を持ち始めている方は、
増えているとは感じています。


その中で、よくありがちなのは、
「口座は開設したが、その先の一歩が踏み出せていない」
というパターン。


興味を興味のままにしてしまい、
具体的な行動に移せていないような方も、
多いように感じています。


そのような方々には、気持ちのどこかに、
資産運用へのマイナスなアンコンシャス・バイアスが
あるような気がしています。


私は、そんなお金のアンコンシャス・バイアスにとらわれて、
動きたいのに動けないような方を、
無理なく行動に移せるサポートを、
これからもしていきたいと考えています。


皆さんも自分の中で抱えていそうな思い込み、
アンコンシャス・バイアスはありそうでしょうか?


ぜひ一度、
アンコンシャス・バイアスのせいで、
動けていないことがないかなど、
考えてみるのも良いのではないか、と思います。


55 22%と33.2%

   
先日、FPとしての学びを深めるために、
セミナーに参加してきました。


セミナーへの参加も、
お金をコトに使う体験の1つかな、と捉えています。


私の場合、自分=商品のような状態なので、
商品価値を少しでも高め、保つためにも、
興味がある学びの場には、定期的に足を運ぶようにしています。


さて、そんな学びの場に参加した時に聞いた数字に、
私は驚いてしまいました。


その数字が、
22%」と「33.2%です。


この数字は、
金融資産を保有していない世帯の割合」です。


22%は2人以上の世帯、
33.2%は単身世帯での数字です。


つまり、
2人以上の世帯では約5世帯に1世帯が、
単身世帯では約3世帯に1世帯が、
金融資産の蓄えがない、というイメージです。


そのため、この世帯の方は、
毎月の給与や年金などの収入が入ってくると、
それをその月内ですべて使い切ってしまい、
貯蓄などができない世帯、
ということになります。


あなたはこの数字を聞いて、
金融資産を保有していない世帯が
多いと感じましたか?少ないと感じましたか?


参考として私の感想を伝えますと、
個人的には多いな、と感じました。


そして、先程の状態にあるということは、
家計が火の車状態、
収入が途絶えてしまったら、
生活がたちゆかない状態を意味しています。


なので、少なくとも、
ご縁あって私と接点を持って頂いた方、
相談にお越し頂いた方、などに関しては、
そのような状態にならないように、
一緒に考えさせて頂き、サポートさせて頂こうと、
改めて感じたりしました。


ちなみに、これは、
世帯主が20代~70代までという、
幅広く全体を集計した結果で、
金融広報中央委員会という所が出しているデータになります。


今までは、少々インパクトも感じる、
「金融資産を保有していない世帯」
についてお伝えしましたが、同時に、
保有している世帯の方が、どのくらい保有されているのか、
も公表されています。


細かな内容は割愛させて頂きますが、


2人以上世帯の
平均は「1,563万円」、中央値は「450万円」


単身世帯の
平均は「1,062万円」、中央値は「100万円」


とのこと。


平均は、その名の通り、
保有していない世帯も含めた、
各年代を単純に平均した金額です。


中央値は、
金融資産保有0円の方を起点にして、
保有している金額順に並べた時に、
ちょうど真ん中になる方が、
いくら保有されているか、という数字です。


分かりやすくお伝えすると、
例えば、金融資産保有額
「0円」「100万円」「2,000万円」
という3人の方がいらっしゃるとします。


平均額は、
「0+100+2,000」÷3=700万円となります。


中央値は、
3人の中で、真ん中になる方の数字なので、
今回の例の場合は100万円、になります。


皆さんは、
「平均値」と「中央値」、
どちらの方が気になりますか?


これも、先程と同じように、
正解がある訳ではありませんが、私であれば、
「中央値」を気にかけて見ます。


平均は、先程の例のように、
たくさん保有している方が1人でもいれば、
平均額はあがります。


それに対して、中央値は、
全員の真ん中という意味合いなので、
中央値の方を中心に、
半分の方はそれ以下、半分の方はそれ以上
ということになり、
人数の絶対数を、より信憑性をもって捉えることができる、
と感じるからです。


その点から改めて見てみると、


2人以上世帯の中央値は「450万円」
単身世帯の中央値は「100万円」


金融資産を保有していない世帯が
2人以上で22%、単身生体で33.2%なので、


2人以上世帯の場合、
約28%の方が、
金融資産の保有額1万円~450万円


単身世帯の場合、
約17%の方が、
金融資産の保有額1万円~100万円


ということになると、
中央値は示しています。


数年前に、「老後2,000万円問題」と言われるワードが
メディアなどで取り上げられ、話題となりました。


世間にひとつの問題提起を投げかけた
という点では良かったのかな、と思いますが、
この2,000万円を計算するモデルになっている世帯は、
現在では、少数派になっていると感じるので、
あくまでも参考にとどめた方が良いと私は考えています。


とは言え、先程の「中央値」を目安に考えた、
金融資産の保有金額で、
お金の不安が解消されるかと言えば、
心もとないのではないか、とも感じます。


いくらあれば安心か?という金額は、
収入と支出のバランスや資産状況で変わります。


だからこそ、絶対の正解、
このくらいあれば安心、と
ハッキリした金額をお伝えすることはできません。


ただ、今回、私が、
金融資産を保有していない世帯の割合に驚きを感じたように、
今回お伝えした平均や中央値などの数字をご覧になられて、
何か感じて頂けることがあったのではないか、とも思います。


事実の数字はひとつでも、
それをどのように捉え、解釈するかは様々です。



54 区分所有者になる覚悟

   
先日、法務大臣が「所有者不明」対策として、
マンションの建て替え要件を緩和する方向で諮問する、
との発表がありました。


今後、相続登記の義務化がスタートすることは決まりましたが、
築年数が経過したマンションの防災対策などが、
円滑に進まないことを懸念しての対応かな、と感じます。


特に、現状で言えば、所有者不明は、
総会などでの決議において「反対」とみなされることになっており、
5分の4以上や4分の3以上の賛成が必要という要件を満たせずに
対策ができなくなるからです。


マイホームにせよ、賃貸用にせよ、
マンションの部屋を所有されているのであれば、
総会などの案内が届いた際は、会場出席せずとも、
議決権の行使委任状の提出などの行動は起こして頂ければと思います。


出席数や議決権数が要件を満たせるように、
ひいては、それが、
あなたの物件の資産価値賃貸需要を維持することにもつながると、
私は考えています。


どうしても、賛成しかねる内容があれば、
その旨を正々堂々と伝えること。


多数決の世界なので、
必ずしも意見が通るとは限りません。


ただ、物件の規模にもよりますが、
いわゆる上場企業の株主総会で意見を伝えようとするよりは、
マンションの総会での意見の方が、
伝わる可能性は高いと思います。


マンションは、区分所有者同士が、
運命共同体的な感じで所有し、
維持管理していく、コミュニティーだと感じます。


マンションを購入するということは、
マイホームにせよ、賃貸用にせよ、
そのコミュニティーに属することを主体的に選ぶ、
ということも意味していると私は考えています。


なので、
議案書が送られてくる、目を通す、議決権行使をする、
あるいは委任状を提出する、などから目を背けたい、面倒だ、
と、もしあなたが感じるのであれば、
区分マンションの不動産投資は不向きなのかもしれないな、とも感じます。


デジタルの時代にあって、
まだアナログ的な部分が多く残っていると感じる不動産の世界。


資産運用、資産形成の観点から、
少しでもラクに、ということであれば、
不動産の場合、上場しているREITや小口化商品、
クラウドファンディングのような仕組みもあります。


生身の人間の「住」に関わる
空間を、実際に扱うことになるのが、
マイホームであり、不動産投資、大家業です。


購入する時でも、売却する時でも、
手間や時間がかかることが多くて、
面倒だな、と感じる場面もあるかもしれません。


では、なぜ、そんな面倒な部分があり、アナログな部分の残る、
不動産賃貸業は今でも存在しているのか?


生きている限り、人間は住まいを必要としているから
ということもあるとは思いますが、
私の中で思うことは、
住まいの提供のリターンとして、
安定収入という精神的な安心感をもたらしてくれる点があるからではないか、
と考えています。


過去にさかのぼると、
大家業のスタートは、江戸時代の長屋だと言われています。


その後、形を変えた部分はあるかもしれませんが、
住まいを借りる人が、貸す人に家賃を払う、
という根本の仕組みは変わっていません。


この仕組みがシンプルで、分かりやすいことが、数百年にもわたり、
不動産賃貸業が継続している理由ではないかな、と私は思います。


そして、他の事業と異なり、
 売上にあたる収入が安定して見込める、という点が、
重宝されている部分でもあるのではないか、とも思います。


もちろん、入退去に伴う、一時的な空室、
収入が途絶える時期は発生しますが、その時期は、

「いくらで賃貸募集するのか?」

「何か不具合が起こりそうなところは、この機会に直しておこうか?」

「賃料をあげてでも、快適に住んで頂くために、
 こんな対策をしたらどうだろう?」

など、いろいろと考えることができるチャンスでもある、
と私は考えています。


また、空室の部屋を見ることで、
それまで住まわれていた方が、どのように生活されていたか?
部屋のことをどう考えてくれていたか?
なども、推測ではありますが、イメージすることもできます。


先日開催させて頂いた、空室内見会のお部屋。


女性の方が6年くらい住まわれていたとのことでしたが、
退去直後なのに、大変綺麗だな、という印象を私は受けました。


きっと、モノを大切に扱われる方なんだろうな…
などという想像が働いたりしました。


退去の理由も、ご結婚されるから、とのこと。


オーナーの立場からすれば、
空室が生じてしまうのは、残念なことではありますが、
この部屋を大切に使って下さったように、
今後新たなご家庭を丁寧に築き上げて頂きたいな、
と応援したい想いにもなりました。


人が好き。
人に興味がある。
そんな方にこそ、不動産投資、
大家業はおすすめできるのかな、と私は考えています。


その中でも、いい意味で、アウトソースがしやすく、
手間や時間がとられにくいのが、
区分所有マンションだと私は考えています。


それにひかれて、¥私自身も取り組んでいます。


ただ、それと引き換えに、
管理組合というコミュニティーに所属して、
一緒にメンテナンスを考えていく役割の一端を担うことになるという点も、
忘れないで頂きたいです。


53 ニーズがある部屋の大きさ

   
先日、懇意にさせて頂いている、
不動産会社の1社を訪ねた時のこと。


たまたま、その日から販売がスタートした物件の情報を、
共有して頂きました。


「どの部屋が、人気ありそうでしょうか…」
「どの部屋を気に入る方が、多そうでしょうか…」


など、間取りや資料などを見ながら話していました。


その流れの中で、

「賃貸募集を、
 実際にやっている方のリアルな声を聞きたい!」

と私が伝えたところ、
ちょうどお時間的にゆとりがあった方に同席して頂いて、
お話を聞くことができました。


立地と賃料のバランスで、
借りて住んで頂く方に選んで頂きやすいかどうか、
という視点はもちろんあるのですが、
それ以外のキーワードも出てきました。


それが、今回の「広さ」です。


結論から先に伝えてしまうと、

「可能であれば、20平方メートル以上の部屋が良いですね」

という内容です。


ここでは、単身者向けのワンルームをメインに考えていますが、
単身者向けであれば、
20平方メートル台くらいが、住みやすさなどを勘案して、
選んで頂きやすいし、提案やおすすめもしやすいという話でした。


私も、自分が保有している賃貸用のワンルームの部屋に関しては、
すべて、20平方メートル台を選んでいます。


私の場合、賃貸管理をメインで
お願いしている会社の担当者さんに以前相談した時、

「最低でも16平方メートル以上にして欲しいですが、
 20平方メートルあれば、賃貸管理がしやすい」

と言われました。


その相談での話を聞いた後、
広さを考えながら物件選びを行い、大家業を進めてきましたが、
今回は、賃貸募集の現場で、
借りたい入居希望者さんと直接接している方からも、
同じような言葉を聞けたので、答え合わせができた、
そんな想いになりました。


今まで進んできた道が、
失敗ではなかったと背中を押して頂けたような、
そんな感覚です。


私の話を、セミナーなどで耳にして頂いた方には、
似たような話をお伝えしたことがあるかもしれません。


「賃貸用のお部屋を購入するのであれば、
 20平方メートル以上が良いですよ」と。


私が、そのようにお伝えしている理由の1つとして、
不動産のポータルサイトのことをあげています。


最近は、借りて住みたい方も、まずはネットで検索をして、
ある程度絞った上で、内見に行くケースが増えていると耳にします。


だからこそ、賃貸募集をするときは、

「いかにネット上で魅力的に部屋を魅せられるか?」

が大切なポイントになると感じています。
写真での魅せ方などを通して。


ただ、それと合わせて、ネット検索する場合、
駅や賃料などの条件を入れながら、部屋を探していきます。


その時に、某サイトの場合、
部屋の広さに関しても、検索条件を設定することができます。


そのサイトの場合、
指定なし」の次に出てくるのが、
20平方メートル以上」になっています。


もし借りたい方が、
その「20平方メートル以上」にチェックを入れてしまうと、
皆さんの部屋の方が、
駅に近かったり、設備が新しかったりしても、
その検索をした方のページには、
残念ながら表示されない、という結果になってしまいます。


もちろん、すべての借りて住みたい方が、
広さを条件に設定するとも考えにくいですが、
可能性のひとつとして、そういうこともありえる、
と覚えておいて頂いて損はないと思います。


決して、16平方メートルとか18平方メートルなどの
20平方メートル以下の部屋を否定している訳ではありません。


コスパなどを考えて
駅近であれば広さは気にしない

とか

払える賃料が優先で
広さの優先順位は低い

という方も多数いらっしゃるからです。


また、20平方メートル以上の方が良いと感じるという話の中で、
別の観点から「あっ、なるほど」と思ったこともありました。


それは、部屋をリニューアルするなど、
工夫を加えたいと感じる時です。


リノベーションを行ったりして、
賃料アップを図る施策をしたい、ような場合でしょうか。


例えば、築年が30年以上とかの少し古めの部屋の場合、
お風呂とトイレが同じ部屋にある、ユニットバスのタイプが、
ワンルームの場合多かったりします。


私自身、大家業を始めた頃は、
そのような部屋が築20年前後だったこともあり、
バストイレ一緒のタイプの部屋を購入することが多かったです。


その後、今の入居希望者に選ばれやすい部屋に
リニューアルしたいということで、
バストイレ別の工事を行ったりした結果、
賃料を維持、むしろ上げることができたケースがあります。


そのような工事をしたいと相談すると、
比較的スムーズに応対頂けたことが多かったので、
気にしていなかったのですが、
先日の話の中で、

「リノベーションなどを行う時は、
 20平方メートル以上ないと、
 工事をしづらかったり、できないこともある」

と言われたのです。


たしかに、今まで私自身ほとんど意識していませんでしたが、
おっしゃるように、少し狭めの部屋で、
バストイレ別の工事を行うと、居室のスペースが圧迫され、
狭さを感じさせてしまうことになるかもしれないな、と感じました。


20平方メートル以下のお部屋でも、先程も伝えたように、
払える賃料とのバランスで選んで頂ける方はいますので、
わざわざリノベーションなどの工事を行う必要もないとは思います。


ただ、20平方メートル以上だと、
部屋に何か手を加えたいような時の選択肢が増える可能性がある、
という点で、時代に合わせた手を打ちやすくなる、
ということはあるのかもしれない、と感じてもいます。


不動産投資、大家業に取り組む際。
最初に考える必要があることは、

立地」と「賃料

そして、

どんな方に住んで頂けそうか

というイメージだと私は考えています。


今日、お伝えした「広さ」は、
それをクリアした上での付加価値的な視点にはなるとは思いますが、
某サイトでの検索条件のことや、
リノベーションなどを行う可能性という選択肢などを考えた場合、
頭の片隅に入れておいて頂くのも、良いのではないか、
と私は考えています。


52 相続の準備、していますか?

   
近年「相続」というキーワードを、
雑誌などで目にすることが増えたな、と感じます。


あなたは、ご両親やご兄弟姉妹などと
相続の話をしたことはありますか?


前触れがない中で、相続、資産のことを考えたいとなると、
ご両親からすれば、


「私たちの財産をあてにしているのでは?」
「死んだ後のことは、お前たちで好きにやってくれ!」


みたいなお気持ちになる方が多い気がします。


そんな相続財産などの話をしにくい方へ、私がお伝えしたいこと。
それは、「モノの整理を、ご両親と一緒にすること」です。


不動産のご相談サポートの幅を広げたいという想いも込めて、
2022年に入ってから、相続診断士などにも視野を広げてみました。


その中で、最近、
生前整理」という視点を知る機会がありました。


この生前整理のポイントは、
ご両親が元気なうちに、一緒に作業などを通して、
コミュニケーションを取ること、そして想いを共有することが、
今後の関係を良くすることにもつながる点にある、
と私は捉えています。


遺言などを通して、
財産を誰に残すか、という資産の観点からだけでなく、
ご実家にある「モノの整理」などを通じて、
ご両親の心の整理をしていく、というイメージです。


相続が発生した後、
残されたご家族は、様々な手続きを行うことになります。


公なことで言えば、
葬儀遺産分割必要に応じて申告などがありますが、
金銭的な価値では測れないこともあります。


その最たることが、家の中に残された様々なモノ、
いわゆる遺品整理、です。


「これは、捨てて良いものだろうか…」
「これは、どんな想いで残しておいたのだろうか…」


亡くなられた後だと、
そのモノへの想いや気持ち、考えを、直接聞くことができません。


聞けないので、推測して進めるしかありません。


それが原因で、
ご兄弟姉妹が仲違いするようなことが起きてしまった、
という話を耳にしたこともあります。


なので、金銭的な価値ではかれないモノの整理こそ、
最初に相続準備として行うことが大切ではないか、
と私は感じています。


時間はかかると思います。


優柔不断なご両親を前にして、
いらだつ気持ちを抱くこともあると思います。


ただ、それに付き合って差し上げて、
モノの整理をしながら、ご両親の想いを共有することで、
ご両親も心の整理ができ、スッキリできるのではないか、と思います。


プライスレスなモノの整理ができることで、気持ちが整理され、
子供たちとの新たな信頼関係も徐々に深まり、
資産の整理の話もスムーズにしやすくなるのではないか、と感じます。


実際に、ご実家などのモノの整理を、生前に行えることで、
残されたご家族にとっても、遺品整理にとられる時間が減る、
という負担減にもつながります。


そして、この生前整理は、
ご両親に限った話ではありません。


誰もが、いつかはこの世から旅立つ日が来ます。
そして、それがいつになるのかは、誰にも分かりません。


だからこそ、独身にせよ、ご家族がいるにせよ、
自身の身辺整理は、
今からでもできる時に向き合っておくのが良いと、
私自身も、最近、改めて考えるようになりました。


モノを整理することは、
自分の心、気持ちを整理すること。


そんな想いを持ちながら、
あなた自身、そして、ご両親などご家族と、
「モノ」について一度、整理したり、
考えたりする機会を設けてみるのも良いのではないか、
と思いますが、いかがでしょうか?


話を切り出すきっかけが見つからなければ、
知り合いのFPが、将来困らないように、
生前にモノの整理をするのが良いと言っていた、
みたいに、この内容をネタに使って頂くのは、大歓迎です!


51 新築が中古より安いことってあるの?

   
先日、日経新聞を読んでいたら、
新品・中古 価格が逆転」という記事が掲載されていました。


そこで取り上げられていたのは、スマートフォンや車でした。


円安の影響や半導体不足による納期の遅れなどの要因により、
新品、新車が品薄で、中古価格があがっている、という内容でした。


一般論で言えば、
新品、新車の時が価格としては1番高く、
年数が経つにつれて価格は下がっていくので、
昨今はそれに逆行した動きが見て取れるという内容です。


これは、不動産でも、一般論は同じです。


新築物件の場合、建築した時のコスト、
販売にかける経費などが販売価格に
勘案されることで、中古より高くなることが多いです。


ただ、一般論はあくまでも一般論。


先日、私は、ある現場に遭遇しました。


もう少しで、築後1年経過するので、
新築、とは言えなくなるマンション。


1年経過後に、銀行評価を勘案すれば、
新築時価格より、販売価格を4~5%は高く設定できるマンション。


中古で売った方が、会社としては、
利益も取れて有利になるにもかかわらず、
新築価格よりも、下回る価格で、お譲りいただけた。


そんな現場に遭遇しました。


これは、私が主にサポートさせて頂いている、
投資物件で起きた出来事でした。


まだ、中古として実際に売りに出されたお部屋は他にありませんので、
確証はありませんが、
設定された賃料などを勘案すると、
たしかに「新築<中古」になるという話が、うなづけるお部屋でした。


その話なども踏まえて、
同行させて頂いた方は、購入することを決断されました。


なぜ、こういうことが起こったのか?


それは、
「新築時賃料の設定がかなり保守的だったから」
というのが、大きな要因だと私は感じました。


新築時には、新築プレミアムと言われて、往々にして、
少し高めの賃料設定がされることが多いです。


私もセミナーなどでお話させて頂くことがありますが、
賃料は、新築時を100とすると、
築10年で90、築20年で80くらいになるケースが多いです。


今回のお部屋の場合、新築時の賃料設定が、
おおよそ95~96くらいの設定だと感じました。


周辺相場から見ても、
新築時としては1~1.5万円くらい低い賃料です。


もしかして訳アリなんじゃないの?という想いもあり、
その後、物件の現地を見に行きましたが、
かなりしっかりとした、いわゆる今風の新築物件。


総戸数も60部屋近くあり、駐車場も平置きのみで、
単身向けワンルームと、
少し広めのDINKS向けタイプが混在するマンション。


そして、1階と2階には、
金融機関の支店がテナントとして入っているということが、
安心感を高めてくれました。


周辺環境が悪いということももちろんなく、
いわゆる下町っぽさの残る、住宅街という感じの街並みでした。


「新築は高くて、収支が合わない。」
と思われる方もいるかもしれません。


私も、基本的には、そのように考えています。


ただ、今回のように、何かの設定がズレていて、
いい意味で、有利に手に入れられる可能性があるのが、
不動産の面白い所だとも思っています。


これは、今回のような新築物件に限った話ではなく、
中古物件でも往々にしてよくある話です。


同じマンションの中で、階数による違いなどはあるにせよ、
同じような部屋で、価格に大きな違いがあることもあります。


不動産は、株式などと違い、
相対取引、個別性の強い取引だからこそ、
何らかのズレみたいなことが生じる可能性が高くなります。


今回は、「新築価格<中古価格」に限りなく近い事例を、
現場として実感することがあったので、このテーマにしました。


話は少し変わりますが、融資を受ける時の金利も、
金融機関としての表向きに表示されている金利より、
一定の不動産会社さん経由で申し込むと、
優遇された金利で借りられるケースもあります。


これも、いい意味でのズレだと感じています。


不動産は、このような「ズレ」が起こりやすいと、
私は感じています。


賃料にせよ、価格にせよ、金利にせよ。


皆さんも、マイホームにせよ、投資物件にせよ、
今回の「新築<中古」ではないですが、
何かしらの「ズレ」が潜んでいないか、みたいな視点で、物件情報を見ていくと、
違った見え方、面白さを感じられるかもしれないな、と私は思います。


50 火災保険の見直し

   
マイホームにせよ、賃貸用にせよ、
不動産と関わりながら、脇役的な存在になっている、
それが、火災保険ではないか、と私は感じています。


皆さんは、所有されている不動産に、
火災保険はかけていますか?地震保険はつけていますか?


マイホームでも賃貸用でも、ローンを組んで購入する場合、
金融機関から、火災保険への加入を求められ、
保険の担当者に案内されるまま、
手続きをしているケースが多いのではないか?と感じています。


そもそも、保険って、どういうものでしょうか?


大きなくくりで言うと、生命保険損害保険がありますが、
加入する意味として、


確率は低い出来事だけれど、万が一起きてしまった場合に、
自分で金銭的な用意ができないことに対して、備えておくもの。


と、私は捉えています。


例えば、自動車保険


事故を起こさないように運転していても、いつ何が起きるかは分かりません。


人命や建物、お店の営業などに、加害者として影響を及ぼしてしまった時。


人命は金銭ではかれないのが正直な気持ちですが、
裁判などを通して、金銭の価値として、判決が下されたりします。


そして、その金額は、高額になるケースが多いです。


その金額を、保有していて払えるのであれば、
保険に入らなくても良いかもしれません。


ただ、そのような方は少数派だと思うので、
運転をする方であれば、自動車保険は加入が必要ではないか、と考えています。


このように、金銭的に負担なく備えられる出来事かどうか、という視点で、
保険に加入するかしないか、を考えていくと、
入りすぎとか保険料の支払いが多くて大変、
などという悩みから、少しは解放されるのではないか、と私は考えています。


さて、表題の火災保険


基本的には、すすめて頂いた内容で加入するので、
問題は少ない、と私は考えています。


物件の所在地や構造などをもとにして、
保険会社で算出している保険金額をベースに、提案して頂けるケースが多いからです。


なので、気にするポイントとしては、

補償をどこまでつけるのか」
特約をどこまでつけるのか」

ではないかと思います。


ここでは、大家の立場で火災保険をかけるときに、
私が気にしている点について、お伝えします。


私の場合、マンションの1階以外を選んでいることもあるので、
「水災」に関しては、つけていません。


最近は水害などもニュースなどで目立つので、気にされる方も多いかもしれませんが、
室内まで水浸しになるような懸念が少なければ、つけなくて良いと考えています。


数年前、タワーマンションの地下にある電気設備などが、
豪雨の影響で稼働しなくなる、という出来事がありました。


これはもちろん水災になるのですが、
誰がカバーするのかと言えば、マンションの管理組合になります。


エントランスや階段、エレベーターなど、
共用部と言われる所は、所有者みんなで出し合う
管理費」や「修繕積立金」をもとにして、
組合として維持管理を進めていくことになります。


なので、あなた自身がカバーすべきなのは、
自分の部屋の中と、部屋の中から生じる出来事で大丈夫なのです。


その点で、「施設賠償」とか「賃貸所有者賠償」など、
保険会社によって名称は異なりますが、
賠償の特約は必ずつけるようにしています。

例えば、下の階に、あなたの部屋から水漏れが発生してしまった場合。


入居者さんの責任なのか、配管などの経年劣化が原因なのかによって変わりますが、
いずれにしても、階下の方へ、
ご迷惑をおかけしてしまったことには変わりがありません。


階下の方にしてみれば、ご自分の火災保険でまかなえるかもしれませんが、
原因、責任は、水漏れを発生させてしまった部屋、という事実は変わりません。


そのようなことが起きた時、
どのくらいのご迷惑をおかけしてしまうかは、あらかじめ分かるものではありません。


だからこそ、確率は低いかもしれないけれど、
金銭的にいくらかかるか分からない、という事態に備えて、
賠償の特約を、私はつけるようにしています。


最後に、今、この時期だからこそ、今一度見て頂きたい点があります。


それは、火災保険の満期日です。


ごあいさつの中でもお伝えしましたが、
2022年10月、 火災保険料の改訂 がありました。
そして、 加入期間も5年が上限 になります。
保険料も上昇傾向にあります。


保険料の上昇に、少しでも備える方法の1つとして、
長期の契約をすることが考えられます。


保険に限らずですが、
毎月払いより年払いの方が、少し安くなること、ありますよね。


それと同じように、火災保険も毎月払いより年払い、
年払いより複数年払いという順で、保険料は抑えられます。


支払うタイミングだけで言えば、
複数年分をまとめて支払うので、少し多めだと感じるかもしれませんが、
今、長期の手続きをしてしまえば、値上がりなどの影響を、
当面の間は受けないで済ますことができます。


なので、必ずお得になるかは分かりませんが、満期まで残り1~2年くらいであれば、
今解約して10年の長期契約に入り直すか、
そのまま継続して満期日に5年の契約に入るかを、
比較検討してみるのは、一考の価値があるのではないか、と私は考えています。


マイホームでも大家業でも、
支出(経費)を少しでも抑えることができれば、手残りが増えます。


小さなことかもしれませんが、
9月までの2ヶ月の間は、火災保険を通じた見直し、
節約ができるチャンスかもしれません。


更新の案内を待つだけでなく、こういう機会に、一度、火災保険の証券を取り出して、
確認してみるのも良いのではないか、と私は考えています。


49 決断はスパっと!!

 
不動産投資、大家業においては、
「決断力」という時間を味方につけられるかどうか、
も大切な要因のひとつだと、私は考えています。


皆さんは今までに、購入したい、という物件があったにも関わらず、
他の方に先手を取られて、ご縁に至れなかった経験って、ありませんか?


物件に限らず、欲しい!と感じたものが数量限定などで、
買おうとしたら売り切れだった、みたいな経験はありませんか?


手に入れられた人手に入れられなかった人を分ける要因が、
私は「決断力」ではないか、と考えています。


時間を効果的に使えているかどうか、にもつながるかもしれません。


ここでは、私の不動産での経験談を踏まえつつお話します。


私は、30歳だった2007年に、不動産投資、大家業を始めました。


早いもので、始めてから15年ほど経ちます。


今でこそ、信頼できる担当者や会社を見つけ、お付き合いさせて頂いていますが、
最初の頃は、右も左も分からない状態です。


拙著などでも触れたことがありますが、
有料無料のセミナーへ足を運んだり、本を通じて学んだりなどをしましたが、
具体的な物件との出会いは、ネットを通じて探す、
ということを最初はメインに行っていました。


そんな中で、良いなと感じた物件を見つけて、
問い合わせをした時によくあったのが、


「すでに、申込が入っています」とか
「3番手になりますが、それでも良ければ」みたいな対応です。


もしかしたら、おとり広告だった可能性もゼロではありませんが、
今振り返って思うのは、往々にして「決断が遅かったなぁ」ということ。


以前の私は(今もそのような面がなくなった訳ではありませんが・・・)、
あれこれといろいろ考えすぎてしまい、
石橋をたたきすぎてしまう性格でした。


問い合わせをするだけにもかかわらず、
ああでもない、こうでもないと、うじうじと考え、
時間がかかっていたことで、先程のように、
先手を取られてしまうことが多かったのだと思います。


その時の想いとしては、

「損したくない…」
「失敗したくない…」

という、マイナスな面にスポットをあてて考え過ぎてしまい
決断が遅かったのだと、今振り返ると思います。


慎重に考えることは、大切な性格の1つだとは思いますが、
何事にも裏表があるように、慎重さのマイナス面が出ると、決められない、
という先に進めないことにつながってしまいます。


そんな性格を、少しずつでも変えていきたいという想いから、
自分の決断力を、少しでも早めるトレーニングをするようになりました。


日常のささいなことかもしれませんが、それを積み重ねることが、
失敗しにくい決断を早めることにもつながると考えたからです。


少し例をあげると、例えば、飲食店で食事を頼む時。


特にひとりでお店に行くときなどは、
メニューを見て、さっと決めるようにする。


中華のお店に行きたい、と思う時は、
中華の中でも、例えばチャーハンを食べたいなぁ、などと思ったからこそ、
足を運ぶのだと思います。


であれば、席についた後に、ラーメンなど他のメニューを見ることなく、
チャーハンのページを見て、すぐに決める、みたいなやり方です。


そんなトレーニングというか習慣を
意識して過ごすようになってからというもの、最近では、
複数回足を運んだことのあるようなお店の場合は、
お店に入る前に、何を頼むかを決めて、
お水が出てくるのと同時に、注文ができるようになりました。


他の例をあげると、セミナーとかイベントごとなどがあるような時も、
参加するかどうかを決めるのを、できるだけ先延ばしせず、早目に決める。


決断を先延ばししていると、
決められていないことが、頭の片隅にひっかかって残り続けることになり、
決めるまで、その迷いの気持ちが吹っ切れないという、
もやもやした時間を過ごすことになるからです。


今回は、不動産の購入判断、決断のスピード、タイミングで、
出会いのご縁を逃してしまうことにもつながる、という話題から、
決断することについて触れてみました。


決断は、早い方が自分のためになるし、
相手にも喜ばれる、と私は考えています。


皆さんも、不動産投資、大家業という点に限らず、
公私ともにわたって、いろいろと決断する場面は多いと思います。


大きなことから小さなことまで。


まずは、日常の小さな決断からでも良いので、
決断するスピードを速くするという意識持ってみること、おススメしたいと思います。


48 部屋をどんな方に貸したい?

 
区分マンションにせよ、一棟アパートにせよ、大家業を続けている限り、
どんな方に借りて頂くかは、収入に直結するので、
気にかける大切なことだと思います。


興味はあるけれど、まだ始めていない方からすると、
「こういう入居者さんだと嫌だなぁ」
みたいな、漠然としたイメージがあるかもしれません。


それでは、ここで質問をします。


次の2人の方があなたの部屋を借りて住みたい、と申し込みがあったら、
どちらの人に、貸したいと思いますか?


①年収1,000万円の、30代独身の会社員。
②在留資格を得て来日された、20代の留学生。


少し、考えてみて下さい。




… 。




いかがですか?
どんなことを思い巡らせましたか?


もちろん、この質問に正解はありません。


どんな方に住んで欲しいかを決めるのは、
大家である、皆さんが決めることだからです。


複数の部屋を持っている場合は、
部屋の立地によって、どんな方に住んでもらいたいか、
という、いわゆるターゲットみたいなのを変えるのも、
大家業の経営者目線としてはありかな、と思います。


なぜこの話を今日のテーマにしたかと言うと、
ごあいさつの中でも触れた、「多様性」に難色を示す大家さんが
まだ多いのかもしれない、と感じているからです。


外国人、高齢者、シングルマザー、障害者のような方は、
家探しに苦労することが多いと言われることがあります。


特に、外国人や高齢者に関しては、確固たる理由がなくとも、

「孤独死されたら嫌だ」
「部屋をぞんざいに利用されたら嫌だ」

みたいな、イメージ先行で敬遠されるケースがあると耳にすることがあります。


でも、本当にそうでしょうか?


先程の質問の例を使うと、

①の人が安心できて、
②の人は安心できない

と言えるでしょうか?


私は、まったくそうは思いません。


人生、いつ何が起きるか分かりません。


① の方であっても、入居後、病気などを患われて、
今回の安倍元首相のように、急に命を落とされる可能性もあります。


また、収入が高くても、支出が多い生活スタイルをしていて、
賃料を滞納する、という可能性もなくはありません。


② の方は、留学生ということで外国の方になります。
ただ、日本で学びたい夢をつかんで、
来日できた在留資格を失いたくないために、
部屋をぞんざいに扱わず、賃料の滞納は絶対にしないような、
大家の立場から見たら、安心できる入居者かもしれません。


賃貸で入居を希望される方は、「自分が払える賃料と立地」を、一番優先して考えます。


設備や築年数などは、優先順位としては下がります。


特に、先程伝えたような、大家さんに敬遠されがちな立場の方は、
自分のお財布事情を見ながら、無理なく払えそうな物件というのを、
より慎重に選ぶような気が、私はしています。


私自身、今までに、外国人(留学生と英語教師)や高齢者の方に、
お住まい頂いた経験があります。


その方々に共通していたのは、

「何も問題を起こさない、優良な入居者さんだった」

という経験です。


私の場合、入居者さんとのやり取りは直接行わず、
賃貸管理会社へお願いしていますが、滞納が起きた経験はなく、
退去時の原状回復・リフォーム費用もかさみませんでした。


退去後に部屋の中を見に行った時、
すごくきれいに使って頂いていたなぁ、というプラスの印象しかありません。


きっと、すごく気を遣って、住んで頂いていたのだろうな、
というのを感じました。


私は、もしかしたら、たまたま運が良かっただけなのかもしれません。


とは言え、入居に際し、審査を受けて保証会社に加入できているのであれば
基本的には、入居をお断りする理由はない、と私は考えています。


いつ人間の身に起こるか分からない孤独死などに関しては、
もし起きてしまった場合に備えて、対応費用などをカバーできる保険もあります。


あなたの部屋を借りたい、と感じて頂けるというのは、
すごくありがたく、ご縁のある素敵な出会いだと私は思います。


それなのに、イメージ先行だけが理由で、入居をお断りしてしまうというのは、
入居希望者さんにとっても、大家さんにとっても、
機会損失につながり、お互いにマイナスしか産み出しません。


大家という立場から、多様性のある社会みたいなことに、
どのくらい貢献できるのかなどは分からないですが、
少しでも、様々なバックグラウンドのある方同士、
心地よく暮らし、過ごせる社会になることを心に想い描きながら、
大家業をこれからも継続していきたいと私は考えています。


最後にもう一度聞きます。


①年収1,000万円の、30代独身の会社員。
②在留資格を得て来日された、20代の留学生。


皆さんはどちらの人に、入居して欲しいと思いますか?


47 路線価って気にする?しない?

 
毎年7月に入って私が思うこと。


それは、税務署の人事異動があること。


人事異動が終わると、夏から年末にかけて行う、税務調査の対象が選ばれ始めます。


今年は、今の所、コロナの行動制限もないので、
一昨年、昨年より、調査件数が増えそうだな、と感じています。


って、これは、私が勤務時代に意識していた話(苦笑)


一緒にお仕事をさせて頂いていた先生から連絡が入る度に、
ドキドキしていたのを、思い出します。


話を元に戻します。


毎年7月1日に、「路線価」の発表があります。
1月1日現在ということで、約半年のズレはありますが、
不動産を考える上で、指標の1つになると私は考えています。


特に、「相続」や「贈与」が絡む時には、税金を考えることと直結します。


なので、すぐ必要ないかもしれませんが、
マイホームにせよ賃貸用にせよ、あなたが不動産をお持ちであれば、
不動産をお持ちの場所だけで良いので、
見ておかれると良いのではないでしょうか。


路線価が高いから良い物件、低いから悪い物件、という訳ではありません。


あくまでも人の往来とかを加味した、
人気投票的なことが数値化されたものが路線価だと私は考えています。


なので、数値が高いと、賃貸需要も高い地域である可能性はあります。


とは言え、住まいとして考えた場合、静かな環境を好む方も多く、
路線価の高さ=選ばれやすい立地ということでもありません。


なので、あくまでも、目安、参考程度に
見ておくのが良いのではないか、と私は考えています。


ちなみに、路線価はどのように決まるか、ご存じですか?


それは、国土交通省が3月に出す公示地価や売買事例、
不動産鑑定士さんの鑑定評価などをもとにして、
税務署が決めている、というのが、おおよそのイメージです。


不動産を購入した経験があれば、購入の数か月後に、
「取引価格などを記入するアンケート的な書類」
を郵送で受け取った経験、ありませんか?


まさに、あれも、公示地価や路線価を決める上で、
大切な参考資料に使われているのです。


なので、面倒くさい、と捨ててしまわず、
少し時間を取られてしまいますが、
他のみなさんのために!
と思って、ぜひ提出して下さいね。


そんな背景がある中で、毎年公開される路線価。


気にして見た方が良いの?と聞かれれば、
先程伝えたように、見た方が良いと伝えますし、
私は、不動産を購入する時には、参考指標としてではありますが、
必ず見るようにしています。


理由は、土地の持ち分の価格を見ることで、
将来値下がりした時の底値、みたいなのを、考える目安になると考えているからです。


どういうことか?


イメージを伝えるために、分かりやすい数字を使います。


2,000万円の中古マンションがあり、
謄本から計算して、土地の持ち分が7平方メートルだったとします。
そのマンションの前面道路の路線価は100万円だと仮定します。


この場合、路線価で見た土地の価格は、
100万円×7平方メートルで「700万円」となります。


そして、路線価は、公示地価の8割と言われていますので、
700万円を8割で割り戻すと、875万円となります。


マンションの場合、建物と土地を分けて売却することはできないので、
建物の利用価値と土地持ち分を合わせたのが、売買価格になります。


そのため、厳密に土地の時価がいくらか、
ということは言い切れないのが正直な所です。


ただ、上記の計算で考えられることとして伝えたいことは、
仮に建物が倒壊してなくなってしまったとしても、
もし路線価が変わらなければ、
少なくとも土地持ち分の875万円は保有できていることとなり、
この値段が、最悪ケースで考えた時でも、底値になるのではないか、
という考え方です。


組合で同意して、建て替えなどにならない限り、
マンションを更地で売却する可能性は低いですが、
仮に、この部屋が、900万円で売りに出されていれば、
購入する人は、自分で住むにせよ、賃貸に出すにせよ、
建物の利用価値分を25万円くらいと、
ほぼ土地の値段で、譲り受けられることになる、というのが、
お伝えしたいイメージになります。


※実際に、このような値付けがされる可能性は限りなく低いので、
 ここまで物件価格が下がるという訳ではありません。
 あくまでも、土地を価格として計算した上での価値、というイメージです。


これは、実際に物件を購入して、土地と建物を按分計算する時に使うことが多い、
固定資産税評価額をもとに計算した、
土地価格と建物価格とは、違った考え方の計算です。


将来、路線価が下がるなどして、
土地の価値が下がる可能性もあるので、絶対とは言い切れませんが、
マンションの場合の土地の持ち分から底値を考えるというのは、
マンションを購入する時の、ひとつの安心感になるのではないか、
と私は考えています。


株式も、企業の業績や保有している資産などを加味して、株価がついています。


ただ、業績の悪化や不祥事、最悪の場合倒産など、
あなた自身がコントロールできない要因で、
価格が大幅に下がり、最悪ゼロになることさえあります。


その点、不動産の場合、
建物は利用価値がなくなることでゼロになる可能性はありますが、
土地が減価償却の対象になっていないように、
基本的に、土地、そして土地の持ち分は失われることはありません。


それはつまり、土地、土地の持ち分に相当する資産価値は、
将来にわたって、資産として価値が残るということを意味していると、私は考えています。


46 海外不動産は投資対象として有り?

 
6月のラジオ出演の時は、
最近の円安をテーマにお話させて頂きました。


改めて振り返ってみると、
2022年の年始の時は、1ドルが115円前後でしたので、
この約半年で、円安が20円近く進んだことになります。


ウクライナとロシアの戦争勃発や、インフレによる諸外国での金利上昇など、
様々な要因が絡み合っていると思いますが、
円高や円安が話題にあがることが増えると、外貨建て資産へ興味を持つ方が増えてきます。


外貨建ての資産をもつことは、資産形成の面でも良いと私は考えています。


その点から考えると、
海外不動産を資産形成に取り入れることは、あり、だと考えています。


ただ、私個人としては、海外不動産を資産形成に取り入れていません。


その一番の理由は、

「万が一何かあった時に、自分の目が行き届かなくなってしまう」

と考えているからです。


不動産、特にマンションは、管理を買え、と言われます。


その点で、不動産投資や賃貸経営では、
 賃貸管理・建物管理会社が肝になる
と言っても過言ではないと考えています。


そのため、管理会社さんへの「信頼」を、大切なポイントとして私は考えています。


裏を返すと、その管理会社さんに、もしも、万が一のことがあった時のこと、
可能性としては低いとは思いながらも、最悪の事態も想定するようにしています。


「管理会社さんが潰れてしまったら…」
「管理会社さんが賃貸管理を辞めてしまったら…」


基本、私はポジティブ、性善説的に考える人間ではあるのですが、
資産形成にあたっては、ネガティブ要素も考えて、
天秤にかけて選ぶようにしています。


今回のテーマにしている、海外不動産そのものに話を戻します。


メリットは、

● 外貨建ての実物資産を手に入れられること。
● 購入時より円安になれば、売却時に利益が出る可能性。

のように、
現物資産の場所の分散」と「通貨資産の分散」が考えられます。


数年前までは、個人名義で保有している場合、
海外不動産の収支でマイナスが出た場合、
日本国内の所得と損益通算できる制度がありましたが、
今は、個人には認められなくなったので、
いわゆる節税的な視点でのメリットは見込みにくくなりました。
(法人は、まだ規制がされていません)


デメリットは、

● 現地の本当に信頼できるパートナーを見つけられないと、維持管理が難しくなる。
● 売却したい時に円高になっていると損失が出る可能性。
● もし売却したい時、国内不動産よりも買い手を探すのが難しい可能性がある。
● 土地勘などが分からないと、どのような方に、
 いくらくらいの賃料で貸すことができるのか、などが分かりにくい。
 (管理会社任せになってしまう)


繰り返しますが、私は、海外不動産を、
資産形成に組み込むことを否定している訳ではありません。


私自身の、いわゆる「リスク耐性」の問題です。


私にとっては、
海外不動産を現物資産として保有することのメリットよりも、
デメリットに対する意識が強くなってしまい、
精神的な安心感を得られないので、選んでいない、というだけです。


なので私は、自分のリスク耐性を考えて、
海外不動産に関しては、イデコなどの制度を使いながら、
その中で「海外REIT投資信託」を利用しています。


実物を直接保有するだけの強い想いはないけれど、
少なからず自分の資産の一環に、海外不動産は組み入れたい。


その想いを実現できる運用対象が、海外REIT投資信託でした。


外貨資産、投資を考える時に、
外貨預金などはどうですか?と聞かれることもありますが、
外貨預金や保険を保有するのであれば、
海外の株式や不動産など、「資産価値のあるものを選ぶのが良い」と伝えています。


理由としては、外貨を保有することは、「資金の両替」にすぎず、
外貨そのものは資産ではなく資金だからです。


なので、投資対象を保有することで、その対象そのものが、
利益を産み出す源泉になるような資産(株式や不動産など)
直接にせよ間接にせよ、持つことが、
資産形成につながると私は考えています。


外貨を保有しているだけの状態は、
円高になるか円安になるか、
相場次第でどちらになるか分からないものに、
ある意味賭けをして待っている、
投機のような状態だと考えているからです。


海外不動産の話から、少し派生した話題にまで触れてしまいましたが、
円資産だけでなく、
「海外に裏付けがある、収益を産み出す価値のある資産を持つこと」
を検討し、実際に組み入れることは、資産全体のバランスを保ち、守ることにつながる。
私はそのように考えています。


あなたは、資産全体の内、海外資産はどのくらいお持ちですか?


ぜひ一度、ご自分の資産全体を見返してみることをおススメします。


45 「金利差」と「K%」

 
幣事務所は、
不動産に絡んだご相談を中心に承っています。


ここ最近、相続や節税、という視点を絡ませたご相談をお受けしましたが、
相談頂くみなさまに共通しているのは
「部屋を貸す」ということが、相談内容に絡んでいる点です。


そんな賃貸不動産を経営という面から見るとき、
指標がいくつかあることをご存知ですか?


もし、簿記などを学ばれた方であれば、
流動比率」などがあったのをご記憶の方もいるかもしれませんが、
それと同じようなイメージのものが、賃貸不動産にもある、という話です。


私自身は、いわゆる経営指標みたいな、
理論っぽいことは、あまり好きではありません。


なので、ご相談を承る時も、カチっとした分析みたいなことは、行っておりません。


とは言え、
 賃貸経営が安定する物件 を選んで取り組まなくては、意味がありません。


その点で、意識しているポイントが「2つ」あります。


それは、「金利差」と「K%」です。


「金利差」は、
「物件の実質利回り」と「融資金利」の差のことです。


例えば、賃料85,000円、管理費積立金12,000円の部屋が、
2,000万円の場合、実質利回りは、
(85,000-12,000)×12÷2,000万、で4.38%になります。


この部屋を、金利2%で融資を受けて購入した場合、
その金利差は、4.38%-2%=2.38%


となり、金利というコストを払っても、
利益が積みあがることになります。


この金利差の場合、積みあがる利益には、
「見える利益」と「見えない利益」に分かれます。


見える利益は、毎月のキャッシュフローと言われる、いわゆる手残り
賃料から管理費積立金や元利の返済金を払った後、
手元に残る金額、というイメージです。


見えない利益は、元本が返済されて、資産として殖えている分です。


例えば、毎月の返済金額が60,000円だとして、
その内訳として、
元本が40,000円、利息が20,000円だとしたら、
この見えない利益は、月に40,000円、年間で480,000円というイメージです。


この金利差による、
見える利益と見えない利益を長期にわたって得ていくのが、
不動産投資、大家業の醍醐味のひとつだと私は考えています。


次に、K%ですが、これは、指標的な言葉を使えば、
「資金調達コスト」や「レバレッジ」が、
購入時において健全かどうかを示してくれます。


計算の仕方としては、 元利金の年間返済額÷融資金額 です。


例えば、金利2%で2,000万円を35年で融資を受ける場合。
毎月の返済金額は、66,252円になります。
年間にすると795,024円。
K%は、795,024円÷2,000万円=3.97%


これと物件の利回りを比較して、

「物件の利回り>K%」

であれば、健全というイメージです。


先程の金利差の所で例にあげた物件を考えると、
実質利回りは4.38%でしたので、
上記の内容で融資を受けることができるのであれば、

4.38%>3.97%

なので、健全である、という考え方です。


もしこの融資を3%で受けることになるとすると、
毎月の返済金額は76,970円、年間返済額は923,640円となり、
K%は、4.61%になり、実質利回りを上回ってしまうので、
投資対象としては不適格、というイメージです。


実際に、毎月のお金の流れであるキャッシュフローを考えても、
マイナスになってしまいます。


また、同じ2%で借りることができても、
期間が35年ではなく、25年だとすると、
毎月の返済金額は84,770円、年間返済額は1,017,240円となり、
K%は、5.08%となるので、これも不適格、というイメージです。


節税などを意識して、あえてマイナスでも良いという場合は、
違った考え方になります。


また、1部屋だけで見た時は、
「物件の利回り<K%」だとしても、
他に保有する部屋も含めて全体で「物件の利回り>K%」であれば、
良いという判断もありかな、とも思います。


いずれにしても、全体的に見て、賃貸経営という視点で見た場合、
お金の調達コストであるK%を上回る実質利回りを意識することは、
大切だと考えています。


このK%を考えると見えてくることは、
お金を借りる場合、
経営の視点では「 低い金利で長く借りる 」が
有利だということです。


お金は、借りた後に、期間を短くすることはできますが、
期間を長くすることは原則できません。


金利も、交渉などで後から下げたりすることも可能性としてはありますが、
最初から低めに借りられるのであれば、それに越したことはありません。


皆さんが、融資を活用しながら賃貸用不動産を検討される場合、
「金利差」と「K%」という視点は、
意識してみるのが良いのではないか、と私は考えています。


44 コンフォートゾーンはいくらですか?

 
先日、不動産管理会社のセミナーへ、足を運んできました。


そのセミナーで聞いた話がすごく良かったので、
シェアしながらお伝えします。


登壇されたのは、菅井敏行さんという、
元大手メガバンクの支店長を勤められていた方です。
https://www.toshiyukisugai.jp/


そのセミナーの中で、自分のコンフォートゾーンを考えることが大切。
ということを話されていて、大変共感しました。


私の視点も含めながら、結論から言うと、


「いくらの手残りがあると心地良いと感じるのか?」
「どういう生活をしたいと考えているのか?」
「他者と比較せず、自身が得たいお金の流れから逆算する」


という内容です。


不動産投資や大家業、資産運用、資産形成を考える原点で、
あたりまえ過ぎる話かもしれません。


かみ砕いて言えば、

毎月、定期的に入ってくるお金の仕組み、流れがいくらあると、
安心だと感じますか?

という話です。


この話をされた原点には、
菅井さんの銀行員時代の経験がありました。


融資をする立場として、お客様と接する中で、ある時、
明るいお金持ちには特徴、共通点があることに気が付いたそうです。


その共通点は、
預貯金などの金融資産残高が多いこと、ではなく、
毎月新しく入ってくるお金の流れがあること 、
とのこと。


そのお金の流れがある人の共通点をさらに考えていくと、
多くの方が、賃貸不動産、を持っていることに気づき、
42歳の時に、菅井さん自身も大家業をスタートした、という話でした。


私自身が思っていることとも共通しているのですが、
資産運用、資産形成で、
イデコやNISAなどを使った金融資産を積み立てることも、必要だと考えています。


ただ、残高を積み上げるだけだと、
将来的に、その積み上げた資産を取り崩す、ということになります。


もちろん、取り崩して使うために、資産運用をするのですが、
いざ、取り崩す段階になると、目に見えて減っていく残高を見ることで、
少なからず不安な想いがよぎるのではないか、と思うのです。


例えて言えば、公共料金やクレジットの引き落としなどが終わった、
月末の預金残高が少ない時に感じるような不安感、みたいなイメージです。


だからこそ、菅井さんは、新しく入ってくるお金の流れがあることが、
人を明るい気持ちにさせるのだ、ということをおっしゃったのだと思います。


この新しく入ってくるお金の流れは、賃貸不動産に限りません。
株式や投資信託からの配当や分配金、
人によっては、著書からの印税などがあるかもしれません。


これは、将来だけでなく、現役時代にも、当てはめて言えること。


本業で収入を得ながら、
自分の時間を多く費やさずとも、通帳に入ってくる、
賃料収入や配当・分配金などがあると、
精神的な安心感、みたいなのを抱けると私自身も感じています。


ちなみに、私は、自分のコンフォートゾーンを40~50万円くらいと
現時点では考えています。


正直、なぜこの金額か、という明確な根拠はありませんが、
現時点で考えても、
生活費として十分おつりのくる金額を目標に据えておくのが良いかな、と考えての金額です。


この流れを、私は、

「公的な年金」
「不動産」
「配当金・分配金」

で、最終的に実現できることを目標にしながら、取り組んでいます。


車を購入するとか家の修繕が必要などの、
一時的なまとまった支出が必要な時は、
イデコやつみたてNISAなどで、形成した資産を取り崩してまかなう。


そんなスタイルにできると、経済的な面では、人生100年時代でも、
困ることなく、安心感を持って、暮らしていけるのではないか、と考えています。


今回伝えたコンフォートゾーン。
ライフスタイルによって、各人各様ですので、正解はありません。


そして、目標を持つと言われても、
なかなか明確に描き切れない、という気持ちも分かります。


なので、私なりの考え方としては、
ご自身の毎月の生活費を3~6ヶ月くらい書き出してみる。
(一時的な支出は除いて)


多少の凹凸はあると思いますが、
3~6ヶ月書き出してみると、おおよそ近い金額になることが多いと思います。


そこで出た金額をベースにして、その金額を目標に据えるとか、
その金額プラス10万円、プラス20万円とか考えながら、安心できそう、
というコンフォートゾーンを見つけていくのが良いのではないか、と思います。


あなたのコンフォートゾーンはいくらになりますか?


資産運用、資産形成をする上での、目標のひとつとして、
一度考えて見られることを、おすすめしたいです。


43 不動産投資、大家業に役立つ資格

 
ご相談をお受けする中でも、
今日の質問は、聞かれることが、たまにあります。


資格を取って、それで仕事をしていく、ということではなく、
ご自身のブラッシュアップ、という観点で、というイメージです。


新しいことを知りたい、チャレンジしたい、学びたい。


そういう、前向きな意欲、想いを聞くと、
応援というか、サポートさせて頂きたい気持ちも、より強くなります。


私が相談としてお受けするテーマとしては、

「お金」
「不動産」
「資産運用」
「節税」

などが多いですが、私と話して頂いたことをきっかけに、
新しい目標に向けて、行動に踏み出される方をサポートさせて頂くと、
本当に嬉しい想いになります。


そんな新たな行動の1つとして、
資格取得という学びに取り組む方もいらっしゃいます。


学びに関して聞かれた時に、学んでみると良いのではないですか?
とおすすめしているのは、次の3つです。


「ファイナンシャルプランナー(以下FP)」
「宅地建物取引士(以下宅建)」
「簿記」


FPに関しては、まずは3級、
興味があれば2級まで学ばれるのが良いのでは、と伝えています。


FPの学びを勧める理由は、
学んだことを、日常生活に直接活かすことができると考えているからです。


私自身、資格取得を目指して学んでいた当時、
それまで知らなかった世界が、
どんどん開ける感覚になったのを今でも覚えています。


FPを学んだから、今の私がいる、と言っても過言ではないくらいです。


株式投資などの資産運用の世界へ足を踏み入れるきっかけも、
FPを学んだことがきっかけでした。


それまで、学生時代の数学をはじめとして、
数字と向き合うことが大嫌いだった私にとって、
意外なきっかけで、今に至る道を見つけられたというくらい、
FPとの出会いは、人生の転機でもありました。


その他、身近な税金や保険のことなど幅広く学べることが、
FPをおすすめしている理由です。


宅建に関しては、
不動産に関わる法律的なことが全体的に学べることが、
良い点ではないか、と考えています。


宅建を学んだからと言って、
良い物件をみつけやすくなるということに、直結する訳ではありません。


ただ、不動産会社の担当者の方などと話をする上で、
「私、宅建持っています」と伝えるだけでも、
担当者の応対が、少しは変わるかもしれません。


「おっ、この方は、不動産のことを学んできているから、
 いつも以上に気を引き締めて応対しないと」


みたいな、本気度のようなものが伝わるという、
良い効果をもたらしてくれるかもしれませんね。


宅建で学んだ内容を、すべて覚えている必要はありませんが、
「あの時、なんか学んだような気がするな」
というベースとしての知識があるだけでも、
取引を進める上で、少なからず役に立つのではないでしょうか。


簿記に関しては、
FPと同じように3級、一歩進めたければ、2級の商業簿記まで、
学んでみると良いのでは、と考えています。


簿記を学ぶことでの利点は、
数字を経営的な視点で見られるようになる、ということです。


不動産投資、大家業の点から言えば、
個人で取り組んでいる場合は確定申告
法人で取り組んでいる場合は決算書


それぞれの元になる「帳簿」の基本に簿記があります。


損益計算書は、売上と経費、そして利益という分かりやすさがあるのですが、
貸借対照表となると、
「良く分からない」という方が多いと私は感じています。


不動産に絡んだ部分でお伝えすると、

「減価償却の仕組み」
「融資を金融機関から受ける」

などを考える時に、
損益計算書と貸借対照表のつながりなどが、大枠でも分かっていると、
より不動産投資や大家業に楽しさを感じられるのではないか、と考えています。


以上、3つの資格について取り上げてみました。


あなたは、すでに保有している資格はありますか?
学んでみたい、興味がある資格はありますか?


資格は、取得することが目的ではありません。
取得を目指して、学ぶプロセスが大切だと私は考えています。


上記の資格に限らず、学んでみたいとか興味がある分野があれば、
合否などの結果にこだわらずに取り組まれてみて下さい。


きっと、そのプロセスで、新たな気づきや発見があると思います。


42 なりたい人、憧れの人

 
今回、私は、自分が憧れの存在に出会えたという出来事があったので、
それつながりで、今回のテーマにしました。


ヒロミさんが好き、と伝えると、
「斎藤さんとは、だいぶタイプが違う人だよね」
と言われることが、よくあります。


たしかにその通りかな、と。


趣味にしても、私はインドア派で、
ヒロミさんはアウトドアなどのアクティブな感じ。


その点では、タイプが違うのですが、私が好きだと感じている点は、
「人としての魅力」です。


テレビや動画などを通して伝わってくる、
温かさのある人柄や優しさなどに魅力を感じています。


「自分がこうなりたい、こうありたい」
という存在がいることで、
意識的にせよ、無意識的にせよ、そういう存在を目指したい、とか、
目標にしたい、などと考えると思います。


そんな、自分にないものを持ち合わせている存在を意識することで、
少しずつでも、成長していけるのかな、と私は考えています。


さて、この点を、資産運用やお金のことに置き換えて考えた場合。


セミナーなどでお伝えすることが多い内容としては、

① 現状を知る
  ↓ 
② 将来の目標金額をおおよそでも決める
  ↓
③ 現状と目標の金額の差を、どのように埋めていくか。
 それを考えるのが資産運用であり資産形成です。

ということ。


やみくもに、お金を殖やしたい、
資産を殖やしたい、という思いだけでスタートしてしまうと、
どこを目指せば良いのか?など、
何のために資産運用をしているのか?
を見失ってしまうと感じるからです。


マラソンにせよ、登山にせよ、ゴールがあるから、
途中のつらさなども乗り越えられるのだと思います。


それが、資産運用になると、
目指すべき目標がないままスタートしてしまうことが往々にしてあるので、
何もせず、二の足を踏み続けているよりは良いと思いますが
途中で続けるのが嫌になったり、
継続の複利効果のようなものを味わわずにやめてしまう、
という方が、一定数いらっしゃるように感じます。


また、考える軸が定まっていないと、様々な投資対象を見て、
新しい、良さそうな投資対象が出てくると、
「今のをやめて、新しいものに乗り換える」
など、継続できずに、ふらふらとさまようことにもなりがちです。


なので、私は、資産運用を継続するために、
「目指したいと感じる人、目標にしたい人を決める」
という視点も良いのではないか、と考えています。


将来の目標金額と言われても、
なかなか具体的にイメージしにくい部分もあるかと思います。


そんな時、
「目指したい人や目標にしたい人」がいると、
その人が行っている方法や考え方を取り入れて、継続した結果、
後から振り返って、気が付いたら、ひとかどの資産形成ができていた、
ということにもつながるのではないか、と私は考えています。


ブログや動画などを通じて、共感できた人。
セミナーなどで、話が分かりやすかった人。


いろいろな所で、
そういう目標にしたいと思う人と出会うきっかけはあるかと思いますが、
私は、主に、「本」を通じて、出会う機会が多かったな、
と今振り返ると感じています。


私の経験が、皆さんのお役に立てるかは分かりませんが、
資産運用、資産形成の考え方、お金との向き合い方、という点で、
今までに私が好印象を抱いた方を、最後に一部紹介したいと思います。


●本多静六さん 「私の財産告白」
 
●ハーブエッカーさん 
「ミリオネアマインド 大金持ちになれる人」

●トマススタンリーさん 「となりの億万長者」


その他、
竹田和平さんウォーレンバフェットさんの著書や関連書籍は、
良かった、と感じています。


少しでも、参考になる、
目標にしたい人を見つけるきっかけになれれば嬉しく思います。


もしお読みになられて、良かったと感じたら、
感想、聞かせて頂けると嬉しいです。


反対に、皆さんが影響を受けた本など、
おススメがありましたら、教えて頂きたいです!


41 「セル・イン・メイ」

 
突然ですが、
セル・イン・メイ」という相場格言があるのは、ご存じですか?


「sell in May」
5月に売れ、というアメリカでの相場格言です。


株式市場での話にはなりますが、
5月に売って、9月の半ばころにまた再開しなさい、という内容です。


必ずしも、経験則通りになるとは限りませんが、
5月頃までに株主総会などが行われて一段落。

その後、お子さんたちが、
9月の学校再開までの間、長期休暇を取られたりする方がいることから、
この格言が生まれたのではないか、と言われています。


私は、株式投資はあまり行わないので、
実際どうなのか、というのを、検証したことはないのですが、
5月になると、この相場格言を、
なんともなしに思い出すことがあります。


そんな格言を思い出しながら、考えてみました。


「不動産にも、時期による違いってあるのだろうか?」と。


売るならいつが良い?買うならいつが良い?


私なりの結論を、最初に伝えてしまうと、


「買いたい時が買い時、売りたい時が売り時」


と、考えています。


賃貸の場合は、人が動く時期の前が、いわゆる繁忙時期と言われます。


10月とか4月などのスタートに合わせて、
その前に住み替えたり、転居の部屋を探す、というイメージです。


8月のお盆明け~9月。
そして、2月~3月頃。


売買の場合、マイホームであれば、
多少は、賃貸と似たような動きになるかもしれません。


自分や家族などの生活に合わせて引っ越したり、
住み替える、という需要が出るからです。


ただ、不動産投資、大家業という点で考えると、


「この時期だから、売物件が増える」
「この時期だと、買いたい人が増える」


という、投資格言的なものはないな、と感じています。


とは言え、まったくないかと言えば、そんなこともないかな、
と思います。


例えば、として考えられることとは、


「金融機関が、融資の実績などを目指して、貸し出しに積極的になる」


この場合、金融機関の締めは、
9月と3月という場合が多いです(四半期もありますが)。


なので、9月末、3月末までに融資が実行できるように、
不動産会社さんと相談しながら、購入、決済を進めていくと、
金融機関の貸し出し基準で、当落線上的な場合、
ちょっと優遇して頂きながら融資を受けられるかもしれません。



購入の場合は、年末や年度末近くであれば、
賃料収入 < 経費」という状態になるので、
不動産以外の所得や利益を減らす効果が見込めます。


売却の場合は、主に法人を運営されている方になりますが、
売却価格 < 帳簿上の価格 + 売却時の経費
という状態になれば、利益を抑えることが可能になります。


個人の場合は、物件の売却で損失が出ても、
マイホーム以外の場合は、他の所得との相殺ができないので、
この効果は期待できないです。

※不動産投資、大家業物件を2つ持っていて、1物件は売却して利益がある。
(もう1物件は損が出るという場合は、売却益と損を通算することは可能)


思いつくことお伝えしましたが、いずれにしても、
格言と言えるような内容ではなく、個別事情が強い内容です。


不動産は、個別の相対取引だからこそ、
「セル・イン・メイ」のような、広く周知されるような格言はないのだな、
とこれを書きながら、私自身、改めて思いました。


あなたは、今、物件を「売却」したいと考えていますか?
あなたは、今、物件を「購入」したいと考えていますか?


投資格言的なものは、不動産では上記のように思い当たりませんが、


売却の決断は、時間をかけて
購入の決断は、迅速に


こんな心がけが、不動産には必要かな、と私は考えています。


59 野球に例えると中継ぎです

60 資金と資産の違い